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ピザ釜からの火災
                             A3−45    10’12/04  転載を禁ず

 1,ピザ
 
   今やピザは、本格的ビザ窯で焼いたものが一般的となってきました。
   イタリアン・レストランの多くが、ピザの焼き方にこだわって、レンガを積んで作ったイタリア製ビザ窯を導入し、マキを
  使った調理により高温で焼き、「パリ・ジュワア〜」とした味わいを出す。 さらに、このピザ窯で焼くこだわりは、家庭の
  庭先などにも小型ピザ窯をしつらえて調理することが普及しつつあります。
  マキを焼いて、窯を温めて蓄熱させ、さらに火の着いているマキの一部を窯内部に押し入れて「置き火」とし、窯中央に
  ピザ生地を入れると、窯内部が約350℃の高温の均一な状態となり、置き火の影響もあって内部まで火が通った仕上
  がりとなり、アツアツのジュシーな味わいとされています。
   このピザ窯は、火災予防条例の[炉・かまど]として設置規制がなされています。しかし、ピザ窯がビル内で営業する
  多くのイタリアン・レストランなどに設置されるようになって、すでに数年以上が経過し、それにともなう維持管理の課題
  もあって火災が都内で発生しています。
   *条例規制では、まき・石炭などの固形燃料を使用するとして、また、排気ダクトは火粉を含むことから煙突
    規制をうけるため設置工事は事前に消防に相談する対象となっている。
  
    ピザ釜からの火災事例
 ピザ釜本体       釜の口 

   耐火建物3/0のイタリア料理店から出火した火災で、調理場できな臭いにおいとともに白煙が漂い、ピザ窯上側部の
  ダクトから炎が出てきたことから「火災」と気づき119番通報している。出火時、店内の客は50名近くいたが、いずれも
  避難し負傷者はなかった。

  ピザ窯とその施設周囲に焼損は見られず、窯の裏側の排気ダクトとその周囲が焼損している。排気ダクトは、他の調理
 場内排気ダクトに接続され、その屈曲部に強い焼けがみられる。 釜の裏側の排気ダクトの上部にストレーナタンクがある
 ことから、店長から説明を受けると、設置当時は水タンクのストレーナーを通して、排気していたが、排気不良となり、調理
 室内に煙が逆流することから、ストレーナーを通さずに、直接、一般用天蓋に接続させたことが判明した。
  火災の原因は、この接続工事時に、ピザ窯からの排気ダクトを屈曲させたことから、この部分にパン生地や油等がたま
 り、窯で焼いた時の火粉がダクトを経由して、出火した屈曲部で堆積物に着火して出火したものと判明した。
ピザ釜背部の排気ダクトの構造と出火部
 
 この事例のように、ピザ窯の火災は、「排気ダクトからの火災」となる。
 排気ダクト内は、ピザ窯の特性上、パン生地と油等でゴミが付着しやすく、また、マキの火粉が立ち上がるため、ダクト部
 から出火特徴がある。
 火災となった現場の排気ダクト内をファイバースコープで確認すると多量のパン屑類がダクトに付着していることが多い。
 排気ダクトには、火粉の伝送を阻止し、ゴミをと取り除くため水ストレーナー或いは水フィルターケースなどを経由して、
 屋外に排気させる構造などとし、また、窯内部とフィルター等を常に清掃していても、ピザ窯の特徴からダクト内には徐々
 にゴミが堆積して、たまたま火粉がダクト内に入るとダクト火災となることがある。
 ダクト火災は規模は、火災は小さくても当該ビル全体に波及することとなるので、消火までの時間建物全体が使用できない
 など二次的損失が大きくなる。

 
ピザ料理店に!
  
★ ピザ窯からの排気が不良かなと思った時は、清掃の専門家に見てもらうなどの手立てが必要です。ダクトの素人
    工事などはしないでください。
  
 また、調理室内にピザ釜から煙が逆流してきた時は、ムリな調理を続けないで休止し、設置業者などの専門家に
    相談してください。
 
自宅など
  
★ 自家用ピサ゜釜からの火災事例はまだありませんが、家庭で製作されるピザ窯は、排気管(煙突)の構造や設置
   方法について、火災予防条例などの規制事項を順守した構造とすることが安全です。また、条例にも定めるように
   排気管(煙突)は、容易に点検や清掃ができる構造とする必要があります。 特に、屋外の庭先でなく、室内に設置
   する時は、十分な安全方策をとってください。

                    
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