着衣着火 < (燃焼器具の火災)(高齢者) <火災原因調査 <ホーム:「火災調査探偵団」
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A2-17 07.06.30
☆ 「着衣着火」の火災 「着衣着火」の火災は、全国で多く発生している火災で、火災報告の死者の死因の中に 「項目」として、とりあげられているほどに、毎年多数の死傷者が発生している。 1989年1月。女優の浦部粂子さんがガスストーブで暖を取っている際に、着衣がストーブに 接触し、着衣着火による火傷により亡くなられた。この報道により注目されるようになった。 実際は、もっと古から、原因としてあり、特に、冬季に暖房器具や調理器具の裸火が、綿入れ などの衣服に着火して、火災となるもので、「高齢者の火災」としてあり、今もその傾向がある。 また、昔。 「股火鉢」などと言われ、寒いときに火鉢をまたいで、暖を取っている時に「股」の部分 を焦がしてしまうことなどの言葉もある。 ☆ この「火災」。ある面では、防炎製品の普及を図るうえで大きな契機でもあり、防炎協会から の出版物などで、その対策が取り上げられてる。 着ている衣類の着火性に着目して「表面フラッシュ」と言う言葉が1999年頃生まれ、 国民生活 センターでの商品テストから、“綿・レーヨン等の易燃性で、かつ、熱で分解するセルロース系繊維 素材が、毛羽っている時は、表面フラッシュが容易に起こる。” (2000年8月防炎ニュース) この「表面フラッシュ」の警告表示について業界として、掲出するようになっている。 特に、冬のパジャマ類など起毛のある袖口の広い衣類は危険とされてる。 このように、衣類の表面フラッシュの言葉が先行し、2001年の東京消防・消防科学研究所、 名古屋消防の研究などが、いずれも、「着衣に着目」している。 しかし、衣類を、どのようなものを着ていようが、「家庭の調理の場」で気をつけること自体がバカバカ しいことであり、「バジャマ姿で調理台に立っな!」とは、火災予防の視点からは、おかしな話しである。 結果、これらの実験研究データはあまり参考とはならない。(当時の消防技術者会議講演録・月刊消防 11月号などを見られれば。) ☆ と言うことで、「冬場に着膨れした、身動きの悪い年寄は、暖房・調理の際には、気をつけよう。」 「衣類は防炎製品を、使いましょう。」で終わってしまう。 が、実は、東京の火災事例は、そのような 火災現象と違う傾向を持っている。季節に関係せず、子供の被害者もあり、表面フラッシュなどと 横文字で済ませる火災ではなくなっている。 |
ガステーブルの火が 着つ着衣部位の割合。 袖 =49% 裾 =20% 胸部 =11% 腹部 =7% そのた =12% 火災原因となった ガステーブル |
☆ 着衣着火の半数近くが「ガステーブル」である。 暖房・調理器具一般が火災原因とされていた、この「着衣着火の火災」は、 1998年前後から、「ガステーブルで起こる火災」が多くを占めつつある。 ★その原因が、ハイカロリーバーナを備えたガステーブルの「あふれ火」である。 右写真の場合、やかん(ケルト)の把手そばで、300℃〜500℃を観測する。 つまり、やかんの「周り」は容易に衣類を着火させる「炎領域」となっている。 やかんの底や側面から、ガステーブルの炎が「あふれ」のである。 このため、調理中にバーナ付近に、手・腕・腹部が近づくと、衣類の繊維などに 関係なく容易に、着衣着火する。季節に関係なく、子供でも発生している。 ★ このようなハイカロリーバナーの構造に起因する危険性が黙認されている。 右のやかんで2?の水を沸かす時、中火と強火(ハイカロリー)では、時間的には 強火は少し早いが、ガス容量は強火が10〜15%も多く消費する。(たしかな目 99'08) つまり。エネルギーのムダが多くなるようにできいる。 テレビの宣伝では、中華鍋を使って、「強火で一気に」と宣伝しているが、実際の 生活では中華鍋を多用するわけではないから、ムダな「炎」を出しているにすぎない。 ハイカロリーバーナも「内炎式」のように外に「炎」を出さない構造もあり、 安全性からは「あふれ火」がないが、燃焼効率的にはあまり違わないとの テスト結果(「たしかな目」01'02)もある。 〇〇ガスとしては、ハイカロリーが本来 持っている「多くのガスを消費する・製品」が推奨され、意識的に商品化されている。 ⇒結果。 この「あふれ火」で多数の火傷者を出している。 で。せめて、天ぷら油火災用の「過昇防止装置」の広報により、天ぷら油火災防止 に取り組んでいるポーズは取っているが。実際は、装置を中火側に取り付けるので、 一般的には、ハイカロリーで油を上げるため、天ぷら油火災は減少はしていない。 ★ 左写真は、実際の火災原因となった、3口タイプのガステーブルで、こんろに鍋 がかけられており、この鍋の奥に腕を伸ばした時に、袖口に「着衣着火」している。 このように、特に3口タイプのガステーブルでの、ハイカロリーバーナの使用時は その付近は「炎領域」となり、着衣着火において「著しく、危険」との表示、又は 販売上の注意を掲示する必要があると言える。年寄りばかりでなく、幼い子供が 「火傷」で一生の傷を残すのは、〇〇ガス会社の責任にその一端はあると言える。 このような、火災の傾向を持っているのが、「あふれ火」の火災です。 |