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延焼火災の事例研究01[ベランダ内物件]
                              A9−34   08.10.13 

  1,延焼火災
 
 ★ 耐火建物の場合の延焼
  耐火建物火災での、他の階への延焼は、2008年(平成19年)の東京消防庁管内の火災では39件発生している。
  
    @外壁の開口部       13件
    A床の穴(炭出し穴等)    2件
    Bダクト              1件  
    Cその他の階段         1件
    Dその他            22件   となっています。(東京消防、平成20年版「火災の実態」)
 
  耐火建物の場合は、火災の出火室の火勢が強く、開口部から噴出する火炎により、上階の可燃物が接炎又は輻射
  熱により燃えて、その箇所から広がることが多くあります。

 ★ ベランダのスパンドレルを経由して、上階に延焼する事例。
   火災学会誌のVol 39 No.1,(178)やVol 42 No.1(196)の事例では、上階に強く延焼拡大しています。
   しかし、これらは、垂直スパンドレルを経由してものだした。
    


   

   2, 延焼火災事例01⇒ 水平スパンドレルを経由して、強く延焼した火災事例 
 
  4月の朝に発生した火災で、共同住宅5/0 の3階から出火した。
      火災は、上階の4階の室内へも延焼した。5階へは外壁のみ焼損した。
    
           
   現場到着時の火災の状況
  火煙は、上階に激しく噴出しており、すで
  に上階への延焼が確認された。 
  出火室の間取り。3Kのごく一般的な共同住宅の
  間取りで、上部の2つのひじ掛け窓の開口部と、
  下部の2つの吐き出し窓の開口部から火煙が噴出
  している。
  下部(南側)は、左から風呂場、台所、リビングの構
  成となっており、風呂場からの火炎はない。また、台
  所も室内の可燃物量は多くはない。リビングは右側の
  壁に沿って、タンスがあり、可燃物量は多い。
 
 ここで、下写真のように、主として、「火炎の延焼部」となっているのが、台所側であることが、この現場の
 特異性である。

    現場の状況
             
      「ハの字」は、書き加えている。
 この共同住宅は、水平スパンドルが全てに渡って
 設置されている。
 3階が出火した火災住戸の部屋。
 上階の4階には内部へと延焼している。
 5階は外壁部のみで留まった。
 現着時に、外側から「放水」をしているので、
 4階まて゜の延焼に留まったことも言える。  
 上図の部屋の平面図を参考にして見てもらえると、
 台所側の上階への「焼け」が強い。
 特に、手すりのアルミサッシュの溶融が顕著に現れ
 ており、この部分から水平スパンドレルを超えた
 「延焼」が見られる。  
              
  3階、火災階のベランダの現場状況。
  延焼媒介物として、良く、見られる「灯油缶」など
  の物件はなく、当日の洗濯物も干されてはいな
  かった。
  そして、著しい焼損物として「全自動洗濯機」が
  認められた。
  洗濯機は、全体のケースは鋼板ではあるが、そ
  の部品等のほとんどが合成樹脂で、この洗濯機
  を延焼媒介としたことが、強く認められる。
  さらに、見ると、台所の窓枠のそばから、焼損した
  カセットボンベが見られた。
  或いは、火災の進展の過程で、ボンベからの強い
  火炎の噴出があったことも推定される。
   
  ★ まとめ
   このように、上階への延焼媒介可燃物としては、「洗濯機」と「カセットボンベ」の2つが有力視される。
   これらは、どちらも、ごく一般的な物であり、今後の火災現場で、再発することもあると思う。
   耐火建物の延焼拡大防止策の「水平スパンドレル」ですら、「ごく日常的な生活環境の中での火災で
   延焼拡大する」との認識が必要であると言える。
   従来は、ベランダからの延焼の要因としては「灯油缶」の置き場、つまり、ベランダの管理不十分として
   言われていたが、そのような物でなくても、日常的な物(洗濯機など)も該当するようになってきた。
  
    すでに、防火シャッターや垂直スパンドレルの効用がないことは、火災消火活動の常識ではあるが、
    今回のように、水平スパンドレルもごく容易に延焼されてしまうこともある、との認識も持っていただきたい。
    上階の洗濯物が燃えての「延焼」もあるが、この場合は、上階のガラス戸が閉まっていると、室内への延焼へと成りにくい
    のが通例である。 
  
  

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