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                                                               10'12/10
  2008年版の火災統計から政令指定都市の火災   

  消防白書(平成22年版)が出されたことから、この中から、統計的話題を取り上げる
  (一部、東京消防庁統計書平成22年版利用)。
  最も注目される「火災による死者」を他の国の都市統計と合わせて掲載し、下図1となる。
 
 図1 人口100万人あたりの火災による死者数
 
  他の国の都市を見ると、香港や台北などのアジア地域は、2〜3人であるが、欧米では10人前後の数値となる。
 日本国内では、全国平均は15.4人であるが、下表のように政令都市の平均では10.7となり、だいたい欧米の値
 に近い数値となる。 つまり、都市としての形態では日本が火災による死者が発生しやすいとは言えず、ほぼ世界の
 都市と同じ現況にある。
 ただ、新潟市20.0、大阪市18.6、岡山市18.3と大きく、札幌市5.3と低い数値もあり、都市により3〜4倍近い差が
 生じている。2008年に新潟市は特に死者が多かったのは確かです。
 
  上表のとおり、国内の政令都市では死者率は10.7であるが、政令都市以外の平均数値が17.1と1.7倍も大きい数値と
 なり、この数値は確かに大きい値である。
 ここで注意してほしいが、日本の火災では、「自損放火による死者」が含まれていることである。
 例えば、この表の2008年の国内の火災による死者1,969人の中には、自損の死者が549人も含まれる。
 つまり、約3割もある。その自損を除くと全国の死者発生率も11.1となり、10に近い数値となる。
 世界では、火災で「自殺する」ことは、ほとんどなく、特にキリスト教圏内ではゼロと思える。その日本の「火災による死者」の
 統計だけ持つ意味の違いを、よく理解してほしい。

    図2 政令都市の「火災100件あたりの死者発生率」と出火率「人口10万人あたりの火災件数」
 
  出火率は、全国(政令都市も同じ)平均の4.1である。政令指定都市も平均は同じ、全体を見ると、[4.1±1.2]程度
 分散と考えられるが、「火災」の発生の多い地域と低い地域特性が生まれているものと思われる。
 反面、図2の棒グラフのように、「火災100件あたりの死者発生率」を見ると、母数の火災件数が小さい値だと言え、
 京都市、新潟市は「10件の火災で1名の死者が発生する」統計結果となっている。
 ただし、新潟市の死者数は、2008年16(6)人だが、2007年は8(2)人で、平均すると少ない数値となる(( )書きは自損数)。
 しかし、京都市は、2008年が19名で、2007年が16名と死者の発生の多い傾向に変化はない(自損は統計にない)。
 このように、どの地域が「火災」に対して安全であるかどうかは、一概には言えないものがある。人口あたりの火災件数
 は低くても、火災1件あたり死者数が多いと、「市民レベルで火災発生の予防に努めていても、一端火災が発生すると
 建物構造などのハード面と発見や消火などのシステム面が脆弱で、その地域では、死者の発生を招く環境がある。」と
 言える。
  火災による死者の発生における課題は、全国の市町村別の”人口あたりの死者数の多い地域”、都市では、新潟市・
 岡山市・大阪市・静岡市などの火災による死者発生時の地域の特性を調査する中で、日本国内の傾向と対策が生まれ
 るのではないかと思える。

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