春になると、街中でもかわいい小鳥のヒナを見かけるようになります。
そんなヒナたちが親鳥とはぐれて ぽつんと路上にいる時もあります。
そんな時あなたはどうしますか?

ほとんどの人は、手を差し伸べて、ヒナたちを保護するのではないでしょうか?
お家に連れて帰る人もいれば、動物病院に連れて行く人もいると思います。
でも、ちょっと待って下さい。
そのヒナたちは本当に困っているのでしょうか・・・?

私は動物病院に勤めているので、春先はよく野鳥のヒナと遭遇します。
大体がみな「道に落ちていた」といって連れてきます。
「動物病院なら何とかなるだろう」と、期待を持って連れてこられる方が多いのですが、
残念ながら、ほとんどの動物病院では野鳥については詳しくありません。
中には野鳥の保護にも力を入れているところもあるかもしれませんが、
大抵は連れて来られても病院で死んでしまう事の方が多く、育って放鳥される確率は低くなります。

実際、「道に落ちている」ヒナたちの多くは「巣立ちビナ」で、保護の必要はありません。
巣立ってすぐのヒナは、しばらくの間は巣から離れた外の世界で親鳥から色々な事を習い、
徐々に世界を広げ、成長していきます。
そんなヒナ達は人間の目から見れば頼りない赤ちゃんに見えるのかもしれません。
でも親鳥はちゃんとヒナを見守っています。決して見捨てている訳ではないのです。

そんな成長過程のヒナを保護する事は、よけいなお世話、「誘拐」と同じ事なのです。


野鳥も自然の一部です。全部のヒナが大人になれる訳ではありません。自然の摂理に従う事も大切です。
人為的な原因で迷っているのではないなら、そっと見守っていてあげましょう。

もし、人の手によって傷ついた野鳥を見つけたら、誤った判断で野鳥の状況を悪くしてしまう前に
専門の機関に相談して下さい。ふだんからすぐに相談できる保護機関を探しておくのも安心です。


野鳥に関するHP

野生動物救護獣医師協会(WRV) http://www.ask.ne.jp/~wrvj/

財団法人 日本鳥類保護連盟 http://www.ask.ne.jp/~jspb/