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コラム「前向きに暮らしましょう」


記事04 手術後の再発について(2007.12)

骨盤臓器脱の尺度

まず最初に「骨盤臓器脱」は、POP-Q(Pelvic Organ Prolapse Quantification)という尺度があるのだそうです。


メッシュ手術後の再発率は、定義によっても変わります。通常POP-Q scale(ポップキューと言っています)という尺度が使われ、0度から4度で表現されます。術後に2度以上(膣入口部かそれ以上外への脱出)で再発ありとされているそうです。専門書からスキャンしてみましたが上の図は私たちには解りにくいですので、いろいろ考えた末に下の図になりました。

単純に下に下がるという考えで作ってみました。

左側の薄いピンクを手術前の状態とします。
右側のブルーと濃いピンクを手術後の状態とします。
0度から4度で示しています。
術後の状態とした図、右側の0度から1度のブルーは再発ではない。
2度以上の濃いピンクが再発とされる状態とします。



ただし、ここからがとても重要です。

一見同じ様に見える薄ピンクで示した手術前の状態、この中にも0度から4度があるのです。
手術前に2度で手術後2度である場合と手術前に4度で手術後2度の場合では同じ2度でもその感じ方がことなるそうです。術後の状態が、POPQの数字の上では同じ2度だとしても、4度の方が2度の状態であっても本人が満足で幸せである限り、本人にとっては再発ではないようだということです。

これは、納得できませんか?
この病気は、生活の質を低下させる病気なので、術後に悩みがなくなり、生活の質が向上していれば、本質的には問題ないと考えてよいのですね。ですから、問題となる再発は、それによって悩みや障害がある場合となります。ただし、メッシュという物は、体の組織と強く固く癒着するので、再度手術となるととても難しいものになるそうです。メッシュが、膣壁から膣内に露出して障害がある場合に限っては、そこを切除して周囲の膣壁をよせて再縫合することができ、これはメッシュが露出しているということは癒着していないという事だからだそうです。

直腸脱、直腸瘤(レクトシール)、子宮脱、人工肛門造設と再発を繰り返してきた私としては、骨盤底再建の際にTVM手術が可能であったらと望んでいました。ところが、今改めて「病状説明書」を振り返ってみてみると、「膣前壁側の手術のみを今回行います。後壁側は再手術となることもあり、人工物は不適。大腸肛門科で開腹手術」となっています。この様に、直腸側(膣後壁)へのメッシュはかなり慎重に行わなければならない様です。更に、慎重に考えておく必要性のあることとして以下の様なことがあります。

・再手術が困難になる可能性
・合併症が生じた時のこと
・メッシュの癒着が及ぶ臓器に将来別の疾患が見つかった場合には、その治療が通常より難しくなる可能性

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