出雲弁四方山話
(宍道町出雲弁保存会での講演要旨です)

第一回 出雲弁ててなんだらか(2003年3月8日講演要旨)
 
第二回 出雲弁の訛(2003年6月15日講演要旨)

第三回
 文化の薫り高い出雲弁(2003年8月23日講演要旨)
 
第四回
 出雲弁は話し言葉(2003年11月8日講演要旨)

 出雲弁について

私たちの使用している出雲弁は、東条操の日本方言区画図(下記参照)によると本州西部方言の一つである雲伯方言の中に位置します。

雲伯とは出雲伯耆の意味ですが隠岐も雲伯方言に入ります。


 雲伯方言は本州西部方言に見られるという「塩辛い=カライ」、「居る=オル」、「茄子=ナスビ」、「分からない=ワカラン(打ち消しの助動詞)」は使いますが、「買った=コータ」、「だ=ジャ(指定の助動詞)」、「借りてくる=カッテクル」とは言いません。

いっぽう、(1)中舌母音により「シ・ス」、「チ・ツ」音などが曖昧になる(2)「キュ」、「ギュ」等「ウ段」拗音を「キ」、「ギ」などと発音する(3)「フェ」などハ行子音両唇音が存在する(4)「シェ」音が優勢である(5)合拗音「クヮ」、「グヮ」音が存在するなど、本州西部方言の中にあって東北方言の要素を多くもつ特殊な存在です。


「出雲弁の泉」では島根県東部(出雲地方)の言葉を出雲弁として収集しています。

 「山陰方言の研究(島根県立教育研修所)」によると、出雲地方は語法のうえから次の4つに区分されています。

(1)大原郡、簸川郡(出雲市・平田市を含む)と八束郡西部地方で、「行こうよ=イカヤ」、「無くて=ナテ」など短音型を使う地帯

(2)仁多郡を中心とする飯石郡の中部・北部と能義郡南部で、「行こうよ=イカーヤ」、「無くて=ナーテ」など長音型を使う地帯

(3)能義郡北部(安来市を含む)と八束郡東部(松江市を含む)で、西伯地方の影響を受けて「行こうよ=イカエヤ」が使われている短音地帯

(4)飯石郡南部(旧赤名町・旧来島村・旧頓原町・旧志々村)中国方言地帯


<参考>

東条操を中心とする日本方言区画図
(地誌上の区域とは必ずしも一致しません)

◆日本語
○本州東部方言
 ・北海道方言 
 ・東北方言
 ・関東方言 
 ・東海東山方言
○本州西部方言
 ・北陸方言
 ・近畿方言
 ・中国方言 
 ・雲伯方言 
 ・四国方言 
○九州方言 
 ・肥筑方言
 ・豊日方言
 ・薩隅方言
○琉球方言  

*このページは「全国方言辞典(東條操 編)」、「山陰方言の研究(島根県立教育研修所)」、「新しい国語学(朝倉書店)」を参考に作成しました。

(文責:奥野栄)

 

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