−− 2006.05.28 エルニーニョ深沢(ElNino Fukazawa)
2006.12.26 改訂
■はじめに − 馬頭琴はアジアのチェロ
心落ち着く秋にチェロの音色(ねいろ)をじっくりと聴こうと、第12回例会(=05年9月8日)では<チェロの欧亜>をテーマにしました。
この日はオーソドックスな西欧の −しかしアジアに近い東欧の作曲家の− チェロ協奏曲を最初に聴きましたので、次に「草原のチェロ」と言われる馬頭琴(※1)を用いたモンゴルの民族音楽(※2)を採り上げ、チェロ属楽器(→その発起源については後述)の東西聴き比べを試みました。馬頭琴はモンゴル族(※2−1)の伝統楽器で、その音楽からはモンゴルの魂が伝わって来ます。どんな音楽か先ずは聴いてみましょう、屹度心に沁みますよ。
モンゴル地方や内モンゴル自治区の地図は
地図−モンゴル国と中国の内蒙古(Map of Mongolia and Neimenggu, -Mongolia, China-)
を参照して下さい。
■曲の構成とデータ
この日聴いたのはチ・ボラグ(※3)という内モンゴル自治区東部(※4)のホルチン地方(※4−1)生まれの奏者が演奏する『草原のチェロ〜モンゴルの馬頭琴』というCD(△1)で、各々単独の楽曲が以下の様に収録されて居ます。
[1]:「ジュスレー」 ヨーチン伴奏
ホルチン地方の民謡。
[2]:「万馬のとどろき」 ヨーチン、アコーディオン伴奏
チ・ボラグ作曲(1979年)。各流派の演奏法を織り込んだ曲。
[3]:「ボー・ジンホア」 ヨーチン伴奏
ホルチン地方の民謡で男女愛の歌。曲名は娘の名。
[4]:「ムスレー」 無伴奏
ホルチン地方の民謡で婚礼歌。曲名は僧侶に養育され嫁ぎ行く養女の名。
[5]:「オヨーダイ」 ヨーチン伴奏
ホルチン地方の民謡で男女愛の歌。曲名は娘の名。
[6]:「チンギス・ハンの2頭の馬」 無伴奏
オルドス地方(※4−2)の民謡。
[7]:「ノンジャー」 ヨーチン伴奏
ホルチン地方の民謡で、東部から西部に嫁ぐ娘ノンジャーを歌った曲。
[8]:「ガダ・メイレン」 ヨーチン伴奏
中華民国(※5)に抗して憤死したガダ・メイレンを称えた近代叙事民謡。
[9]:「ガンガン・ハル」 [オルティンドー様式(※6)] 無伴奏
シリンゴル地方(※4−3)の民謡。
[10]:「ダナバル」 ヨーチン伴奏
ホルチン地方の近代叙事民謡で、夫を兵隊に取られた女の歌。
[11]:「ヤンという女」 [オルティンドー様式] 無伴奏
ホルチン地方の民謡。
[12]:「オルドスの春」 無伴奏
チ・ボラグの師サントルン作曲(※3−1)。
伝統的な奏法と西洋的要素を融合。
[13]:「マンダフ・ナル」 ヨーチン伴奏
ホルチン地方の民謡で、曲名は「昇る太陽」の意。
[14]:「3頭の駿馬」 無伴奏
オルドス地方の民謡。
伴奏のヨーチンとは中国の揚琴(ヤンチン)に由来する名称で、イランのダルシマー(※7)やハンガリーのツィンバロン(※7−1)と同系統のツィター属の撥弦楽器 −弦を撥ねて発音する楽器− です。
●データ
作曲年 :−−−
演奏時間:57分
■作曲された背景
演奏者チ・ボラグの出身地の内モンゴル −特に生まれ故郷のホルチン− の民謡を素材に自身が編曲/作曲した曲ばかりです。
■聴き方 − 草原に想いを馳せて聴く
草原に想いを馳せて聴いて下さい。目を瞑って聴くと良いでしょう。
「ジュスレー」はヨーチンの伴奏で始まり咽び泣く様な旋律が印象的です。
「万馬のとどろき」は馬頭琴が躍動的に奏で様々な演奏テクニックを披露して居ます。
「ボー・ジンホア」は切々と愛を訴える草原のセレナーデです。
「ムスレー」は嫁ぐ養女に最後に語り掛ける子守唄の様な旋律が印象的です。
「オヨーダイ」も草原のセレナーデで、何処と無く「ボー・ジンホア」と似た旋律です。
「チンギス・ハンの2頭の馬」は無伴奏で馬頭琴の抒情的表現をフルに聴かせます。
「ノンジャー」は生活環境の全く異なる西部へ嫁ぐ娘を想い、後ろ髪を引かれる様な未練が見事に表現されて居ます。
「ガダ・メイレン」は抵抗運動に散ったガダ・メイレンを静かに偲んで居ます。
「ガンガン・ハル」は拍節感(※6−1)が無いオルティンドー様式の曲ですが、唯一、小節(こぶし)(※6−2)がアクセントに成っているのが判ります。日本の馬子唄(※8)を彷彿とさせます。
「ダナバル」は女の愚痴の曲です、中国のメロディーの影響が窺えます。
「ヤンという女」も拍節感が無いオルティンドー様式で、泣き節に聴こえます。
「オルドスの春」は舞曲的な軽快なリズムで、西欧のチェロ的奏法が聴き所です。
「マンダフ・ナル」は「昇る太陽」を朗々と歌い上げた曲です。
「3頭の駿馬」は素朴な草原の牧歌で、高音から低音迄馬頭琴の音域を聴かせます。
いやぁ、どの曲も心に沁みますね。
■私の主観的感想
何と懐かしい旋律でしょう!、何と伸びやかなテンポでしょう!、中には”間延び”した様な所も有りますが広い広い草原の中で暮らして居ると音楽迄大らかに成るのでしょうか?!
私の分析では、この懐かしさの源は「四七抜きの五音音階」と小節(こぶし)に在ります。特にオルティンドー様式という旋律が「長い歌」は日本の馬子唄のルーツの様な感じがします。又、音階を移動する際にグリッサンド(※9)するのも特徴です。そしてチェロと同じ音色の馬頭琴が小節を利かせて奏されるのを聴いて居ると、何時の間にか尺八の演奏に接して居る様な気分に成り大変不思議です。
或る曲を他の曲と聴き比べることは、その曲の理解を深め視野を広めるのに大変有効です。その様な意味でこの『草原のチェロ〜モンゴルの馬頭琴』を「日本の馬子唄」や「尺八の音楽」 −今風のポップな演奏では無く伝統的な演奏の方が良い− と聴き比べることをお薦めします。
■日本人と共通の血と魂
馬頭琴の音楽は皆さんに大変好評でした。「とても懐かしさを感じる」「日本の民謡の様だ」というのが一致したご意見で、皆さんも私の感想と同じ印象を持った様です。日本人は素朴な五音音階の旋律や小節(こぶし)に言い知れぬ郷愁と親近感を感じて仕舞い、そこが心に沁みるのでしょう。それは多分、同じモンゴロイド(※10)としての血が騒ぎ魂が揺さぶられるからでしょう、正に「心の琴線に触れる」という共鳴現象です。
実は私は05年8月20日〜9月3日迄内モンゴル自治区・黒龍江省・吉林省・遼寧省と、旧満州を含む中国東北地方を旅して来たばかりで、帰国して1週間も経たない内に皆さんと馬頭琴の調べを聴いた訳です。1日中バスや列車で移動する間、全く風景が変わらない内モンゴルの茫漠とした草原の広さには呆れたものです。右の写真は8月22日の夕方、内モンゴル自治区ハイラル(※11)の草原を移動中にバスの中から撮影した羊の群れと老羊飼い(←西に傾いた太陽に向かって逆光で撮影)ですが、私にとって心に沁みる風景です。
こういう風景の中から「大らかな音楽」が生まれ出た事は実に納得出来ます。
■考察 − 擦弦楽器の”生みの親”は遊牧民族
中国政府の方針で内モンゴル自治区のモンゴル人の多くは現在定住させられて居ますが、少し前迄はゲル(gher)(※12)(←中国語では包(パオ))というフェルト製テント −フェルトも羊毛で作る(※12−1)− で羊と共に移動生活をして居ました。そう、彼らは気儘に暮らす遊牧民族なのです。そしてヴァイオリンやチェロなどの擦弦楽器(※13) −共鳴胴に張られた弦を弓弦で擦って発音する楽器− の”生みの親”も実は彼等なのです。
擦弦楽器の起源を解く鍵は弦の材質に在ります。ヴァイオリン属(←チェロ属を含む、※13−1)の元と成る楽器の胴弦には羊の腸の繊維で作られるガット弦(腸線とも言う)(※14)が使われ、弓弦には馬尾毛(ばす)(※14−1)が使われました。流通が未発達な古代に於いて羊や馬を原材料とする物品を生産出来るのは羊や馬を飼って暮らして居た民族、即ち遊牧民族(←騎馬民族を含む)の他には在り得ません。クラシック音楽と言うと兎角ヨーロッパ中心に成り勝ちで、それが延(ひ)いては日本人の欧米崇拝・アジア蔑視という潜在観念形成を助長しましたが、西欧クラシック音楽の中で中心的な役割を果たすヴァイオリンやチェロなどの擦弦楽器は西アジア・中央アジア辺りの遊牧民族の手に依ってその祖形が作られたという歴史的事実を忘れては為りません(△2のp350、384)。膝上に立てて奏するアラビアのラバーブ(rabab)という楽器が祖形に近いという説が現在有力(△2のp360〜361)で、それが徐々に東西に伝播・拡散し、西洋ではフィドル(fiddle)やレベック(rebec)(←胴が西洋梨の形)を経て現在のヴァイオリン(violin)やチェロ(cello)に変化(△2のp361〜364)、東洋では伝播・模倣関係に不明な点が有るものの中国の胡琴(→一般的な2弦のものを二胡と言う)やモンゴルの馬頭琴(※1)やトルコのケマンチェ(kemance)に変化したと考えられて居ます(△2のp356〜361)。
尚、北インド地方のサーランギ(sarangi)(※13−3)は共鳴弦が多く一部地域では指奏される(△2のp341)ので、ラバーブとは別系統の可能性が高く元々は撥弦楽器だったものを後に伝わった弓で弓奏を始めたと考えられます。それを裏付ける様に、【脚注】※13−2の如くイランや北インド地方にはシタール(sitar)(※15)の様な多弦の撥弦楽器が数多く存在します。又、日本の胡弓(※1−1)は中国の胡琴を手本として江戸時代に三味線を改造して作ったものです(△2のp356)。
{この章は06年12月26日に追加}
■結び − 内陸アジアは東西の架け橋
私はこの会で、単なる”西洋気触れ”に陥らない様なアジアの一員たる「日本人としてのクラシック音楽の聴き方」を心懸けている旨を前に書きましたが、西欧クラシック音楽の高度な洗練も決して孤立した存在では無く、素朴な民族音楽の広大な土壌から養分を吸い上げて初めて咲くことが出来た花なのです。そういう裾野の広がり −モンゴロイドの分布も広い(※10)− や日本の音楽との関連性を具体的に「体感」して戴くめに、東西の架け橋と成る中央アジアの伝統的民族音楽や日本の音楽を今後も採り上げて行く積もりです。
【脚注】
※1:馬頭琴(ばとうきん)はモンゴルの擦弦楽器。皮を張った箱型の胴に長い棹を持つ、胡弓の一種。棹の先が馬の頭の形をして居るからこう呼ぶ。2弦で、馬尾毛(ばす)を使用。モリン・フール(morin khuur, morin huur)。
※1−1:胡弓は東洋の弓奏弦楽器の一群の総称。中国では一般に胡琴(こきん)のこと。中国では2弦〜4弦で二胡・四胡・京胡・椰胡など。
日本のものは中国伝来で、三味線を小さくした形で地唄三味線や箏(そう)と合奏されることが多い。
※1−2:馬尾毛(ばす)とは、馬の尻尾の毛。馬巣織(ばすおり)・釣糸などに用いる。す(馬尾)。
※2:モンゴル(Mongol)は、中国の北辺に在って、シベリアの南、新疆の東に位置する高原地帯。又、その地に住む民族。13世紀にジンギス汗が出て大帝国を建設し、その孫フビライは中国を平定して国号を元と称し、日本にも出兵した(元寇)。1368年、明に滅ぼされ、その後は中国の勢力下に入る。ゴビ砂漠以北の所謂外モンゴルには清末にロシアが進出し、1924年独立してモンゴル人民共和国(首都はウランバートル)が成立、92年モンゴル国と改称。内モンゴルは中華人民共和国成立に因り内モンゴル自治区と成り、西モンゴルは甘粛・新疆の一部を成す。蒙古。
※2−1:モンゴル族(―ぞく、Mongolian race)は、モンゴル/中国内モンゴル自治区/ロシアのブリヤート共和国などに分布するハルハ族/チャハル族/ブリヤート族、更に中国領内のトンシャン/ダグール/トゥ/ボウナンなどの少数民族をも含む総称。総人口は約600万。12〜13世紀にジンギス汗の下に諸部族が統合され民族としての基盤が形成された。伝統的には遊牧生活をし乍ら馬・羊・牛・山羊・駱駝の「モンゴル五畜」を飼育する。モンゴル相撲が在る。<出典:「学研新世紀ビジュアル百科辞典」>
※3:チ・ボラグ(斉宝力高、Chi Bulico)は、内モンゴルの馬頭琴奏者・作曲家(1944〜)。チ・ボリコー。東部のホルチン生まれ。1958年より内モンゴル実験劇団(現・内モンゴル民族劇団)で演奏開始、75年に内モンゴル歌舞団に移籍し馬頭琴独奏・楽器改良・創作・教育に当たる。78年から、アジア/アフリカ/ヨーロッパ/カナダなど各国で公演。代表作「万馬のとどろき」「スーホーの白い馬」。
※3−1:サントルンは、内モンゴルの馬頭琴奏者・作曲家(1924〜67)。チ・ボラグの師。
※4:内モンゴル自治区(うち―じちく)/内蒙古自治区(うちもうこじちく)は、(Neimenggu Zizhiqu, Inner Mongolia
autonomy district in China)1947年内蒙古地域に成立したモンゴル族の中華人民共和国の自治区。省に相当する。面積約120万ku。人口2237万(1995)。大部分が草原・砂漠で、牧畜業が盛ん。黄河流域の河套(ホータオ)平原は古くから灌漑農業が発達。包頭(パオトウ)市は同国有数の鉄鋼基地。区都はフフホト(呼和浩特)。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※4−1:ホルチン(科爾沁、Khorchin)は、内蒙古の哲里木(チェリム)盟四部中最大の部。明代に成立、清初に太宗と攻守同盟を結び、チャハル部のリンダン・ハンに対抗。コルチン。
※4−2:オルドス(鄂爾多斯、Ordos)は、中国内モンゴル自治区の一部、黄河の湾曲部に囲まれた部分で長城以北の地域。東部の草原以外は殆どが砂漠で、塩湖が広く分布。古くは河南と呼ばれたが、明末、蒙古オルドス部がこの地を占拠して以来オルドスと称。1635年、清の支配下に入る。河套。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※4−3:シリンゴル(錫林郭勒)は、内モンゴル自治区中東部の盟(アイマク)の一つ。面積21万ku,人口91万。行政公署はシリンホト(錫林浩特)市に在る。
※5:辛亥革命の結果清朝が倒れた後、1912年中国最初の共和制政体として成立した国。初代大総統袁世凱。28年中国国民党が国民政府を樹立、全国を統一したが、第二次大戦後共産党との内戦に敗れ、49年本土を離れて台湾に移った。
※6:オルティンドーとは、モンゴル語で「長い歌」の意。一定の拍節感が無く長く歌い回し、拍節の代わりにアクセントとして途中に装飾的な小節(こぶし)を含む。宴会の祝い歌などに多い。
※6−1:拍節(はくせつ)とは、音楽で或る一定の時間単位に基づいて構成されるアクセント(強拍)の周期的反復。タクト。しばしば拍子(=2拍子・3拍子など)と同義。
※6−2:小節(こぶし)とは民謡・歌謡曲などでの、装飾的な微妙な節回し。
※7:ダルシマー(dulcimer)は、(「甘美な旋律」の意の dulcis melos[ラ]に由来)ツィター型の打弦楽器の総称。台形の平たい箱に金属弦を多数(12〜25コース)張り、木製の桴(ばち)又はハンマーで打って音を出す。ハンガリーのツィンバロン、ドイツのハックブレットなど。揚琴(ヤンチン、洋琴とも)もその一種。
※7−1:ツィンバロン(cimbalom)は、ハンガリーのジプシー(ロマ)音楽に用いられる民俗楽器。オリエントに起源を持つ。大型の共鳴箱の上に水平に張られた弦をハンマーで叩いて演奏する。ヨーロッパ各地で用いられて居る同様のものは一般にダルシマーと呼ばれて居る。ツィンバロム、チンバロン。<出典:「学研新世紀ビジュアル百科辞典」>
※7−2:[1].ツィター(Zither[独])は弦楽器の一。オーストリア/南ドイツ/スイスなどに古くから伝わり、小型・扁平な共鳴箱を有し、右手親指に嵌めた義甲で旋律を奏し、残りの指で30本位の伴奏用開放弦を指弾する。チター。
[2].ツィター属は、共鳴胴と弦を平行に張った弦楽器の総称。ダルシマー/カーヌーン/琴(きん)/箏(そう)/ピアノなど。
<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※8:日本民謡の一分類。馬子が馬を引き乍ら歌う唄。声を朗々と長く延ばした美しい旋律のものが多い。馬方唄。馬追歌。馬喰節(ばくろうぶし)。駒牽唄(こまひきうた)。
※9:グリッサンド(glissando[伊])は、〔音〕離れた2音間を急速に滑る様に奏すること。2音間の全ての音を奏する方法と、擦弦楽器などで滑らかに滑らせる方法とが在る。滑奏。
※10:モンゴロイド(Mongoloid)とは、類モンゴル人種群。コーカソイド(白色)/ネグロイド(黒色)と並ぶ人種の三大区分の一。黄色乃至は黄褐色の皮膚と、黒乃至は黒褐色の直毛状の頭髪とを主な特徴として分類され、眼瞼の皮下脂肪の厚いこと、蒙古襞、乳児に蒙古斑の頻度が極めて高いことなども特徴。日本人/朝鮮人/中国人を含むアジアモンゴロイドの他、インドネシア/マレー人/ポリネシア人/アメリカ先住民が含まれる。
※10−1:蒙古襞(もうこひだ、もうこへき)とは、眼瞼皮膚に半月状の襞が有り、鼻梁に向かって内眼角(目頭)を覆って縦に走って居るもの。両側性であるが、左右は必ずしも等しく無い。
※11:海拉爾、Hailar。中国の内モンゴル自治区北東部、大興安嶺西部草原地帯の中心都市。清の時代に建城。付近はモンゴル族の遊牧地。畜産工業が盛ん。人口22万3千(1995)。
※12:ゲル(gher[蒙], Mongolian yurt)とは、モンゴル族が遊牧生活に使う移動式天幕。円筒形の側壁に傘状に屋根を載せた形で、折り畳んで持ち運び出来る木製の骨組みとそれを覆うフェルトから成る。ジェル。ユルタ。パオ(包)。<出典:「学研新世紀ビジュアル百科辞典」>
※12−1:フェルト(felt)は、羊毛その他の獣毛を原料とし、湿気・熱及び圧力を加えて縮絨(しゅくじゅう)し布状にしたもの。帽子・敷物・履物などに使用。
※13:擦弦楽器とは、弦楽器の内、馬尾毛(ばす)を張った弓で弦を擦って演奏するもの。胡弓・ヴァイオリンの類。擦奏楽器。弓弦楽器。弓奏楽器。
※13−1:ヴァイオリン属(genus violin)とは、ヴァイオリン/ヴィオラ/チェロ/コントラバスを含む擦弦楽器の総称。その元の形は膝の上に立てて演奏されたアラビアのラバーブの種類とされ、イスラム文化の移動に伴ってヨーロッパへ移入した。15〜16世紀に成って腕に持つブラッチョと、膝の間に立てるガンバとが現れ、これらのビオル属と総称される楽器の一群が現在のヴァイオリン属楽器の祖先と言われて居る。<出典:「学研新世紀ビジュアル百科辞典」>
※13−2:ラバーブ(rabab[アラビア])は、アラビアに発し中央アジア・北アフリカ・北インド一帯で用いられる、棹の付いた擦弦楽器の称。2弦か1弦で胴に棒が突き差さった形のものや胴と棹とが続いている形のものなどが在る。又、中央アジアから北インドに掛けては弦の多い撥弦楽器にもこの名称を用いる。
※13−3:サーランギ(sarangi[ヒンディ])は、北インド音楽に用いる擦弦楽器。木を刳り貫いた約60cmの胴に皮を張り、演奏弦3本の他、その下側に何10本もの金属製の共鳴弦を張り弓で奏する。
※14:ガット(gut)は、羊・豚などの腸から作った糸または紐。ラケットの網、竹刀(しない)の締め緒、楽器の弦などに用いる。腸線。
※14−1:馬尾毛(ばす)は、馬の尻尾の毛。馬巣織(ばすおり)・釣糸・弓奏楽器の弓の弦などに用いる。す(馬尾)。
※15:シタール(sitar[ヒンディ→英])は、北インドの古典音楽に用いる撥弦楽器。長く太い棹(長さ約90cm、幅約8cm)に7弦の演奏弦及び11〜13本の共鳴弦を張り、16〜22個の可動フレットに依って音高を得るリュート型の楽器。ペルシャのセタールから変化したと言う。
(以上、出典は主に広辞苑です)
【参考文献】
△1:CD『草原のチェロ〜モンゴルの馬頭琴』(馬頭琴:チ・ボラグ、キング・レコード)。解説は鈴木秀明氏。
△2:『図解世界楽器大事典』(黒沢隆朝著、雄山閣)。
●関連リンク
@参照ページ(Reference-Page):モンゴル地方や内モンゴル自治区の地図▼
地図−モンゴル国と中国の内蒙古
(Map of Mongolia and Neimenggu, -Mongolia, China-)
@参照ページ(Reference-Page):四七抜き音階や五音音階について▼
資料−音楽学の用語集(Glossary of Musicology)
聴き比べた西欧のチェロの曲▼
ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」(Cello Concerto, Dvorak)
日本人としてのクラシック音楽の聴き方▼
多田武彦「男声合唱組曲「富士山」」
(Men's voice chorus 'Mt. Fuji', Takehiko Tada)
遊牧民族について▼
民族占い(Comparative Ethnologic approach)
この曲の初登場日▼
ブラボー、クラシック音楽!−活動履歴(Log of 'Bravo, CLASSIC MUSIC !')