<ブラボー、クラシック音楽!−折々の感想#4>
東洋と西洋の四季を味わう創意の試み
[2009年3月の第51回例会]
(4 seasons of the Orient and the Occident)

−− 2009.04.11 エルニーニョ深沢(ElNino Fukazawa)

 ■はじめに − 会員をフィーチャーして
 私が主宰するクラシック音楽を楽しむ会【ブラボー、クラシック音楽!】に於いて09年3月4日(水)の第51回例会<短歌・俳句の四季と西洋音楽の四季>というテーマで、日本の短歌や俳句に表された四季と西洋音楽のそれとを比較して聴きました。
 当会会員の橋本さんは普段から折に触れて短歌や俳句を詠み時々その話をして居られたので、橋本さんにそれを皆さんに披露して戴けないかとお願いしたのが発端です。歌や俳句と言えば季節の花々や季語が詠み込まれてることが多いので、私はもう一つお願いして、橋本さんの歌と俳句を春夏秋冬の各季節に分けて話して戴くことにしました。そして音楽はヴィヴァルディの『ヴァイオリン協奏曲「四季」』を選び
    春の短歌と俳句 → 『四季』から「春」(第1〜第3楽章)
    夏の  //  →   //  「夏」(第1〜第3楽章)
    秋の  //  →   //  「秋」(第1〜第3楽章)
    冬の  //  →   //  「冬」(第1〜第3楽章)
という具合に季節毎に対比させて、全曲を聴くことにしました。会は2時間在り途中コーヒー・タイムの休憩を取りますので、前半を春・夏、後半を秋・冬という構成です。
 こうして橋本さんをフィーチャーした企画、即ち「橋本デー」が実現しました。それは橋本さんが短歌や俳句に詠み込んだ「東洋の季節感」とイタリア人のヴィヴァルディが『ヴァイオリン協奏曲「四季」』に盛り込んだ「西洋の季節感」を聴き比べようという試みでした。正に表題通りの「東洋と西洋の四季を味わう創意の試み」でしたが、実はヴィヴァルディの『四季』は「和声と創意への試み」という全12曲の協奏曲集の中の第1番〜第4番を指しますので、この表題はそのパロディーなのです!

 ■橋本さんの語りを録音しCDを作成
 この日はもう一つ「新しい試み」をしました、録音です。この日の為に2日前の3月2日にステレオICレコーダーを買い、橋本さんの語りを録音しヴィヴァルディの『四季』の音楽を入れてCDを作ろうという試みです。買ったばかりで使い方も良く判らない状態でしたが、時刻を設定した以外は何も設定せず(=デフォルト設定の儘)で取説のマニュアルで”録音の仕方だけ”を直前に読んで操作しました。再生の方法やパソコンへの取り込み法などは判らなくて良いのです、そんなのは録音出来てからの話です。という具合で全くの”ぶっつけ本番”の録音でしたが何とか結果オーライで録音出来ました。
 橋本さんは六甲登山の際の四季折々の自然観察の話を交え大変要領良く且つ熱っぽく語り、私が前から聞かされて居た冬の坐禅堂の歌 −私も昨年7月から橋本さんと一緒に坐禅をして居ます− も披露して呉れました。ヴィヴァルディの『四季』からは春と秋が好ましく夏は鬱陶しく感じてることが伝わって来ました(→曲目解説を参照)。
 私は後日、録音した語りと音楽を編集しCDを作成しました。CDの解説付きジャケット(=ライナー・ノーツ(liner notes))も作成しましたが、これの原稿を書くのが一番時間が掛かりました。CDの表面に貼る円形ラベルも無料のソフトをダウンロードし試行錯誤で作成しました。全て”手作り”の作業で、10枚作ると1枚分の10倍の時間が掛かり大量生産が利きません。『四季』は全曲入れるとCD1枚に収まらず「2枚組の全曲版」「1枚の抜粋版」 −こちらが普及版− の両方を作ってみて、4月の例会に何とか間に合わせ全曲版¥1200を当日価格¥1000で、抜粋版¥700を当日価格¥500で販売させて戴き、”主役”の橋本さんには両版を一式献呈しました(←実は円形ラベルは4月に間に合わず5月にお配りしました)。CDを買って戴いた方々には暑く御礼を申し上げます。
 [ちょっと一言]方向指示(次) 遣ってみて解ったことは、CDジャケットの解説原稿を書くのが一番大変な作業で内容にも依りますが丸々3〜5日掛かります。次に大変なのは音源の編集でアバウトには1日で原型は出来ますが、何度も聴いて「微調整」する必要が有りこの「微調整」で完全に1日は消費するので、音源作りは2日です。パソコンの音源のCD書き込み30[分/1枚]で、又、書き込み後の試聴も必要です。ジャケット作りも表裏の位置合わせをして印刷し裁断し半分に折ってホッチキスで閉じてケースに挿入しますが、ここで食み出しが有ればカットし寸法調整しますので10〜15[分/1ジャケット]掛かります。つまり原稿と音源が既に在ってもジャケット付きCD1枚作るのに最低40分掛かる訳で、8[時間/日]働くとして8×60/40=12[枚/日]です。20[日/月]働くとして単純労働して240[枚/月]が限度です。これに原稿と音源作成の日数を加えると、25〜27[日労働/月]で給料換算すると240×¥700=16万8千[円/月](ボーナス無し)という計算に成ります。
 誰か代わりに遣って呉れる人が居たら代わって欲しいですが、印刷屋やCD製作業者に外部発注するには千枚規模でないと初期コストが掛かり過ぎ700[円/1枚]では赤字が更に膨らみます。


 ■会員をフィーチャーする企画
 当会は会計や会場との折衝は上野さんに任せ、音楽的な面での企画 −毎回のテーマ設定や生演奏の開催や特別解説など− 及び例会での進行係を私が言わば「主宰者の義務」として担当して居ますが、これではどうしても私が喋り皆さんが聞くという形に成って仕舞います。これ迄も会員の方の歌や楽器演奏を後半30分位に組み込んだ事は有りましたが、色々なキャリアや人生経験をお持ちの会員の方をフィーチャーし思う存分語って貰う「○○デー」 −一般名詞では「会員デー」ですかね− を設けようと、3周年を過ぎた辺りから考えて居ました。
 その最初の企画は08年11月5日(水)の「吉井デー」でした。吉井さんは前から漢字の成り立ちについて極めて独自の見地から研究し『漢字に仏性あり』(△1)という本を出して私もサイン入り本を戴いてましたので、この日に<仏教音楽 − 声明(しょうみょう)>というテーマで声明やインド音楽を聴く企画に研究成果の一端を披露して戴きました。吉井さんは1時間以上の熱弁を奮って下さいましたが、残念乍らこの時は未録音でした。09年3月4日(水)の「橋本デー」は2回目で、私は前述した様に毎月の例会の模様を録音し記録を残すことを思い立った訳です。

 ■記録を残すという事
 私はこの【ブラボー、クラシック音楽!】立ち上げ当初から会の活動履歴の記録を残すことを意図し、Webサイトに会の趣旨及び最新情報写真入りの活動履歴を掲載して来ました。又、会で聴いた曲について、会では時間的制約から簡略した解説しか出来ないのを補う為に幾つかの曲には詳細な曲目解説も掲載して居ます。これらは文書での記録(document)です。それに対し09年3月に音声での記録(recording)を初めて試してみました。そして私だけが録音を自己満足的に聴くのでは無しに、文書での記録を公開してる様に録音も公開する、その為にはCDを作成し安い価格で配布することにしたのですが、前述の様に解説付きCDを作成するのは大変時間が掛かる”手作り”の作業です。
 今後録音機会が増えるとCD作成が間に合わず録音データが溜まって行くことが充分予想されます。現に、曲目解説のページ作り −これも中々大変でドビュッシー「ベルガマスク組曲」などは2ヶ月を要した労作(A4で16ページ)です− も間に合わず既に沢山溜まって居ます(爆笑)!!
 プロの俳優が立派な機材が揃った放送局のスタジオで録音するのとは訳が違いますので、そういうハイレベルな基準から見たら拙い出来ですが取り敢えずは今回初めてなので先ず先ずの出来、何よりも失敗しなくて良かったと思って居る所です。記録というのは先ずは「存在する」ことが最も重要です。質が悪くても記録が在れば色々な解読や解析は可能ですが、「無い」場合はどうにも成らないのです。

 ■結び − 今後の録音について
 今後私は録音時のノイズ対策とか音質向上を心懸け、会員の皆さんをフィーチャーした企画を年に2回位組み、皆さんの「声の記録(recorded voice)」を残しCDで共有することを推進して行こうと考えて居ます。又、私が或る話題について特別解説する時も録音し会の宣伝に使おうとも考えて居ます。一々本に著すよりも、肉声の録音の方が簡便です。

−− 完 −−

【参考文献】
△1:『漢字に仏性あり』(観羅離庵(吉井功)、小学館スクウェア)。観羅離庵は吉井さんの号。

●関連リンク
ヴィヴァルディの『四季』の曲目解説▼
ヴィヴァルディ「ヴァイオリン協奏曲「四季」」
(Violin Concerto '4 Seasons', Vivaldi)

毎回のテーマ設定は当会の特徴▼
「ブラボー、クラシック音楽!」発足の経緯
(Details of our CLASSIC event start-up)

2ヶ月を要した曲目解説▼
ドビュッシー「ベルガマスク組曲」(Suite Bergamasque, Debussy)
当会の趣旨と最新情報▼
ブラボー、クラシック音楽!(Bravo, CLASSIC MUSIC !)
当会の活動記録▼
ブラボー、クラシック音楽!−活動履歴(Log of 'Bravo, CLASSIC MUSIC !')
曲目解説の目次▼
クラシック音楽の曲目解説目次(Explanation menu of CLASSIC MUSIC)


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