創元版の第二巻の中で、「ブラック・アイの呪い」という言葉が登場する。盲目の物乞いが自らにおきた不幸を嘆くのである。第二巻名物レッド・アイ(赤目)の印象もあって、てっきりブラック・アイ(黒目)というモンスターがいるのかと想像したものだ。原文では black-eyed curse 、新訳では盲目であることを意味すると解釈されたのか「目を閉ざした呪い」となっている。ちなみに英語で black-eyed という言葉には盲目という意味はない。顔を殴られた痕として目の周りが黒くなることがあるが、あの状態を表すのである。
さて、実はこの表現、第四巻にも登場しているのだ。やはり目の見えぬコレタス(コレトゥス)が、自分について語る際にこの言葉を使っている(black-eye curse となっているが)。ちなみに日本語版では旧訳は「目を閉ざした呪い」新訳では「黒い眼(に呪われた)」である。
英語原文での表記だが、英語そのものが意味するところではない。つまりこの black-eye(d) curse という言い回しが盲目であることを表す「カクハバード(カーカバード)特有の表現」であるということではないだろうか。
いやいや、アランシアを離れて新世界を創造したジャクソンの作りこみに脱帽するばかりだ。
【追記】
第四巻には「スナタ猫から隠れてくびり藪に入る」という言い回しが登場する。バク地方の古い言い回しとのことで、言及されるのは鳥人から隠れようとした主人公が飛び込んだ部屋の中で三人の鳥人と鉢合わせするシーン(パラグラフ161)だ。他にも、『モンスター事典』には「スナタ猫のようにおどろかせて」なる言い回しがやはりバク地方にあるという記述もある。こういう地方の特色みたいなものがあると、一気に世界が重みを増す気がしますね。
ちなみに旧訳では前述の「スナタ猫から隠れてくびり藪に入る」は「一難去ってまた一難」と訳されていた。すっきりとわかりやすいとは思うが、ちともったいない気もする。
……そういえば旧訳では罵倒表現である「藤壺野郎」も削られていたな。シリーズ通してそういう方針だったのだろうか。
iOSにて『ソーサリー!』がマルチ展開という情報が入ってきた。
トレーラ― ⇒ http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=R25p1u_ggzo
サイト ⇒ http://www.inklestudios.com/sorcery
WAP版といいAFF2とd20といい、『ソーサリー!』は何度も形を変えてリバイバルを繰り返すタイトルである。実に喜ばしいことだ。
ざっと情報を見ていくと、地図が結構細かいことに気づく。かなり主人公等身大の冒険がなされる様子だ。スクリーンショットでMAPを伺うと、幾つか新情報があることに気づく。まずはカントパーニを超えたところにある川の名前。あのエルヴィンたちが魚を採って遊んでいた川は、Simsosa川というらしい。
リー・キは荒れ果てているものの、どうやら居住区としての態は成しているらしい。また、水晶の滝の水はジャバジに流れ込んでいることもわかった。思っていたよりもビリタンティから遠いようだ。
さて、ついでなのでgoogle先生にお願いしてさらなるMAPを求めてみた。そして見つかったのがこれだ。
疫病村の名前がある。ウルスタンティだろうか。
アリアンナが住む森の名前がある。メディキ森だろうか。
トロール小屋がある場所は鉱山のようだ。何もない道を守ってるのは変だと思っていたが、鉱山を守る番人だったのだろうか。
シャンカー鉱山からクリスタタンティへ抜ける際に、右手に尾根がある。トーサー嶺……いや、丘陵地だしそんな高いものでもないかも知れない。
しかしアレだ。どうもこの主人公、呪文書を持ち出しているのではないか? 気になる……
あと地味に主人公の外見が明確に描写されているね。一人でマンパンへ向かうには良いいでたちだと思う。変に格好つけてないのがいい。
【追記】
ios版に関しては、原版に比べて大きくアレンジされているようです。こちらのブログ ⇒ http://gamebook.blog.so-net.ne.jp/ ではリプレイをなさっており、興味深く読まさせていただいております。
奥の院など、悪名高い牢獄が存在するマンパン砦だが、実はここにもいわゆるダンジョン――地下牢が存在する。衛兵隊長カルトゥームによるバッドエンドの1つにて、地下牢へ送り込まれる未来が示唆されるのだ。だが、奥の院は地下ではない。ナガマンテの部屋に付随している牢の部屋も同じくだ。(ちなみに「魔法使いの塔」の牢獄は地下どころか最上階だ。)つまり、マンパンの地下牢はゲーム中散策できる範囲にはないと断言できるだろう。
この地下牢は砦のどこにあるのだろうか……? 場所の絞り込みの助けになるであろうポイントはいくつかある。マンパン砦探索において、先はあるのに進む選択肢がない箇所であろうこと。そして「ナガマンテなら捕虜の口を割ることが可能であろう」とカルトゥームが考えたという旨の本分記述。捕虜の移送距離は短い方が良いに決まっている。牢は拷問部屋からそう遠くはないのではないか? さらに言えば、文字通り地下にあるに違いない。
まず砦内で捜索ができなかった場所を探してみよう。粘液獣の部屋の「開かずの扉」、スログの台所の先の通路が怪しい。バードマンの詰所の部屋など、立ち入る機会の無かった場所は他にも存在するが、ここはまあ入れる部屋と大差あるとは思えないので除外してもいいだろう。「開かずの扉」は確かに地下牢の入り口としてありえなくもないが、粘液獣の存在がネックだ。番人としては強力だが、残念なことに囚人の移動もままならない。しかし台所の先は食堂に通じているというし、ここも微妙だ。……まてよ。この通路からはナイロックの店がある中庭までの抜け道があったではないか!
この抜け道、暗闇の中で他の通路と交差しているらしいことが示唆されている。ロケーションも地下である。この道のいずれかが、地下牢へと続いていると考えるのが自然ではないか? ナガマンテの部屋も近いし、捕虜を生かしておくために食事を運ぶにも便利だ。そもそも、この抜け道がなんのために存在しているのかの理由にもなる。
マンパンの地下牢の場所は十中八九判った。これならば、もしもカルトゥームにブーツをとられても使命を果たすべくあがくことは可能かもしれない。だが牢の鍵はアイテムとしては存在していないし、DOPを唱えようにも両腕は縛り上げられている。リブラの助けも砦の中には届かない。やっぱダメだな。
【追記】
ところでこの Dungeon という英単語だが、中世英語においては「城の中にある塔」を指すという。
つまり、マンパン砦の牢はは地下ではなくて塔にあるのかもしれないということだ。大魔導の塔は監獄を兼ねていたし、ありえない話ではない。
英国の作家であるジャクソンなれば、中世英語にも明るいに違いない。それにロンドン塔に代表されるように、イギリスで牢といえば、確かに塔のイメージがついて回るというものだ……