★ 象団子定食

 なんて恐ろしいものを常備しているんだと思わないではないが、実際に用意があるのだから仕方がない。マンパンでは例の肉団子を食っている。ところでこいつは何しろ肉団子なので、そうそう日持ちするとは思えない。実際に主人公が食べてしまうシーンでも、普通の壺に入っているように読み取れる。肉団子が痛んでいたような様子もなく、主人公が異変を感じるのは実際に身体が変異を起こし始めてからだ。
 スログの反応を見るにこいつは役人クラス(彼女は主人公を大魔法使いの役人だと勘違いしていた)に出す食事ではなかったのは確実だ。彼女はお役人様にはフンコロガシのピクルスを薦めてきていたのだが、個人的にはどちらも等しく口にしたくはないな……話がずれたので戻すことにしよう。先ず、そもそも肉団子が食事足りえるか否かについてだが、主人公を襲った変異は、あれを一気食いした結果だということを考慮に入れる必要はあるだろう。少量ずつ食べるのであれば、あそこまでひどいことにはならない可能性が高いのではないだろうか。

 それでは改めて、変異現象団子は誰の腹に収まる予定だったのかを考えてみよう。
 真っ先に思い当たるのが変異ゴブリンたちだ。彼らの異形は間違いなく肉団子によるものだと思われる。だが、既に十分変異してしまっているのも事実だ。それこそ一気食いしたアナランダーばりに肉体に変化が表れている。これ以上食ったら死んでしまうのではないか? 時折暴れるために衛兵のお世話になっている変異ゴブリンたちだが、そんなことを繰り返しても殺されることがないのには何らかの理由があるはずだ。となれば、死に至る変異の恐れが高まった今、「おかわり」はもうないと考えたほうがいい。
 変異ゴブリンたちにはもう与えられていないとする場合、たまたま残っていた肉団子を哀れな侵入者が食べたということになる……いやいや、ゴブリンたちへの提供をやめた直後、肉団子が痛む前に主人公が来たというのは神がかり的なタイミングというものだ。あまりにも都合が良すぎる。ここはやはり、今でも誰かが肉団子を食わされていると考えるべきだろう。

 砦の面々を改めて眺めてみたところ、それらしい生き物が見つかった。粘液獣だ。大魔法使いがどこからか連れてきたというこの生き物は、小声で耳も遠く、さらには強力無比な毒の息を吐くときている。話をしようと近づいた者が、皆死んでしまうというわけであまりにも扱いが難しい。かつて治療師としてマンパンで羽振りの良かったジャヴィンヌでさえも彼らの耳をよくすることができず、罰として目をつぶされてしまっている。ゲーム中で出会う粘液獣の様子を見るに、この欠点は未だ解消されていないらしい。そう、粘液獣の肉体改善のために変異現象団子が活用されているのではないかと考えたわけだが、いかがであろう? ありえそうな話ではないかな?

(10/23/22)

【追記】  
 変異現象団子を食っていれば、個体別に変異がみられるはずである。しかしそれが粘液獣だった場合は事は微妙だ。なにしろ連中は汚物に漬かっているので、変異が表れていてもぱっと見ではわかりにくいはず。だが、確認しようと近づこうにも、死の息によって阻まれるのだ。
 第四巻では二体の粘液獣が登場するが、わずかではあるが個体差がある。片方は油を好んでいるようだ。不思議なことに、この二体には挿絵がそれぞれ用意されている。普通なら他のシーンを優先するのではと思えるが……これもやはり別々の生き物になりかけているということであれば、なんとなく納得できるような気もしないではない。

(10/30/22)

★ グロイスターの取り扱いについて

 セスターキャラバンで食べることができるグロイスター。この得体のしれない食い物は、どうやらチーズに似ているらしい。パンと一緒に提供されるわけだが、どうにも酷い匂いだ! 無理やり口に詰め込み、薬草茶で流し込む様子を見ると相当なものとみえる。しかしこのグロイスターには、実に素晴らしい効能がある。なんと強運点を原点まで回復することができるのだ。
 グロイスターは『ファイティング・ファンタジー』に収められたシナリオ「シャグラッドの危険な迷路」にあるプーキーの店でも登場するが、こちらでは匂いに加え味も酷いとされている。


あなたはグロイスターを食べたプレーヤーに、それがどれほどまずいかを説明しなければならない。そして、「まだ食べ続けるかい?」とたずねるのだ。 (ファイティング・ファンタジー)

 これがGMへの指示なのだから、よほど不味いのだろう。腕の見せ所である。

 お次はその後出た『ソーサリー・キャンペーン』での扱いも見てみよう。味については「まったくひどい味がする」とあるだけで、匂いについては言及はされていない。ただ、運の回復という効果は次に眠ったときに起きるとなっている。これはおそらく、全てのPCが次々とグロイスターを食べ始めることがないように施された調整ではないだろうか。先のプーキーの店でも二食分しか置いてない上、大変傷みやすいので持ち運びはよほどうまい手段を考えないと不可能とされている。

 グロイスターのこの扱いを見るに、強運点がそれだけ強力な切り札足りえるというゲーム調整なのだろう。運試しが必要となる起死回生の手段を次々とPLが提示してくるであろうTRPGでは、決まったイベントしか起きないゲームブックよりも強力なルールとなっているのは想像に難くない。こうなると『七匹の大蛇』における描写は手ぬるい気がしてくるが、これは平和な世界(誰にとって? もちろんGMにとってだ!)ゆえのことなのだと言えよう。

(10/23/22)

★ 山羊のチーズ

 カレーのカーニバルには多くの出店が並び、賑わっている。ゲーム中に楽しめるのは「正直ハンナのくじ」だ。ここの景品にはなかなか面白いものが混じっているが、今回はその中から「カビた山羊のチーズ」を見てみよう。匂いがきついので持っていくのなら体力を1減らさなければならないと、なかなかのハズレっぷりだ。だがこのくじにはさらに上をいくハズレが一つならずあるので、さほど印象には残っていないのではないだろうか。
 その件のハズレの中に、腐った林檎というものがある。こいつは手持ちの食料までダメにしてしまう代物だが、チーズのほうではこのようなことは起こらない。となると、このカビというのは腐っているわけではなく、一部のチーズに見られる食用カビの類なのだと思われる。食事として利用できるという指示がないのは不思議だが、アナランド人の食文化に照らし合わせたときに、彼らには食用に見えないということかもしれない。かの魔法大国ではチーズをはじめとする発酵食品は好んで食されていないのだとしたら、そういうこともあるだろう。そういえば、我らがアナランダーはチーズに似ているというグロイスターも苦手としていたようだ。ありえない話ではない。

 さて、タイタン世界には山羊がいることが確定したわけだが、カーカバードにおいてはあまり畜産は行われていないようだ。ただ一例、カレーで豚が飼われている様子が見られるが、それだけだ。あと一応それらしいのは、旅立ちの地であるアナランドの国境だろうか。ここでは山羊のミルクが供されるので、山羊を飼っている可能性が高い。
 次に『ソーサリー!』本編で訪れていない場所に目を移してみよう。カーカバードは広いのだ。地図を見れば、すぐに高地ならば山羊が生息しているのではと思い当たるだろう。例えば雲峰山脈。ここならカレーにも近いし、なによりこの険しい山地には国があるという。山岳の民ならば、きっと山羊のチーズも食しているに違いない。
 以前、カレー北門を守る兵士たちの故郷であるクロリアが雲峰山脈にあるのではと考察したことがあった。もしもこれがあたっているのであれば、正直ハンナがカレーで開かれるカーニバルでチーズを景品にしているのもわからないではない。アナランド人にとってはハズレでも、クロリアの民には懐かしき故郷の味として喜ばれているなんて想像するのも面白い。

 さて、ここまで書いてきてあえて目をつぶっていた自説が一つあるので最後に紹介しておこう。まさか、このチーズ……女サチュロスの乳から作られたとかそういうんじゃなかろうな……?

(10/30/22)

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