★ Spiny Ones

 “スパイニー・ワンズ”、あるいは“とげとげした奴ら”。連中はマンパン砦で真っ暗闇の一室を与えられている。衛兵として優秀なのかどうかはわからないが、とにかく戦えばサイコロを振るまでもなく死亡エンドまっしぐらな戦闘力を持っていることは確かだ。ただ、その一方でノームのリッドも言うように、扱いにはなかなか手を焼く存在であるようだ。
『ソーサリー!』本編では謎の存在であったが、『ソーサリー・キャンペーン』や『真・モンスター事典』ではこれが大山嵐であると明らかにされている。後者によると、件の呼び名は砦の連中がつけたあだ名とのこと。これまでの日本語訳と同じように、「棘の奴」と呼んでいるとされている。

 さて、もちろん原文は“Spiny Ones”である。この Spiny は棘のある、あるいは棘だらけということであるが、もう一つ、面倒なという意味でもある。先のリッドの受け答えなんかは、まさしく大山嵐が面倒者であることが伺える。なぜ山嵐なのかと思っていたが、ジャクソン氏の洒落っ気仕込みだったというわけだ。翻訳を通じてこういう妙が失われてしまうのはもったいなくもあるが、ではしっくりくる日本語があるかといえば、なかなかに難しい。当然意訳にならざるを得ないということもあるし……

(12/17/23)

★ 保冷の技

 シャグラッドの危険な迷路についてのほうでも書いたが、『真・モンスター事典』の記述によって、この地下迷宮はアランシアにある可能性が高くなってきた。となると、この迷宮の食堂で取り扱われているカーカバード産と思われる食品群は、海を越えて運ばれたということになる。しかし、そこにはグロイスターも混じっているのだ。『ソーサリー!』のみならず、TRPGシナリオ『シャグラッドの危険な迷路』でも「すぐ痛むので、持ち運びに適さない」と強調されるグロイスターがだ。

 よくよく考えてみれば、そもそもグロイスターがセスターキャラバンでどう保存されていたのかも謎だ。冷蔵庫など存在しないタイタン世界だ。どの場所であろうとも、こいつはなかなかの難問であるといえる。考えられるのは、氷指山脈などの寒い地方でならあるいは……といったところか。この問題に答えを見つけることができたのなら、カントパーニの氷の宝石の謎をも解決できるかもしれない。

 というわけで、いろいろ考えてみました。この方法ならいかがであろう?
 まず用意するのは、カレーのノームのところで扱っている「大きい背嚢」だ。こいつは、「○○を持っていくなら、何かおいていかないといけない」という指示を無視できるという代物なのだが、こういった注文がつくアイテムの中に、丘巨人の腰掛がある。入手順番の都合上、この背嚢に腰掛をしまい込む前にペナルティを受け入れないといけないのだが、とにかく後から収納することができる。巨人の腰掛が収まる背負い袋! これは魔法の品に相違あるまい。第三巻で嵐に遭遇した際に、風にあおられて背嚢が吹き飛ばされるシーンがあるが、腰掛の重量は感じさせない描写であった。
 さて、『モンスター事典』には、水の精霊を魔法の袋に閉じ込めたという逸話が載っている。そう、氷魔人あたりに例の背嚢をかぶせ、しまっちゃおうしてしまえばいいのだ! こうした袋は常に冷え冷えで、グロイスターなどの傷みやすい品を保存、運搬するのに一役買うこと請け合いである。もちろん、そうそう用意できるような品ではないから値は張るだろう。製造を専門とする冒険者がいてもおかしくない、匠の技に違いない。

(12/17/23)

【追記】
 水の精霊と無尽蔵の袋の話は、FFシリーズ第七弾『トカゲ王の島』に実際のイベントとして出てくるらしい。所持はしているのですが、実は遊んでいないので気づきませんでした。

(12/31/23)

★ 旧世界の位置について

 竹はヨーロッパではまず見られないらしい。カーカバードのモデルとなったと思われるアジア圏では普通に生えている。
 さて、首狩り族につかまると、竹で作られた檻に入れられるわけだが、連中が遠方と交易をしているとは思えない。シャムタンティのこの辺りでは竹が自生していると考えるのが自然であろう。

 タイタンの地図を見てみると、知られている三つの大陸の中では、旧世界は北のほうに位置する。未知の地なる陸地も確認されているため、既存のエリアがタイタンの全てではない。つまり、タイタン世界の赤道がどのあたりなのかは不明であるが、少なくともカーカバードは竹が生息する温帯から熱帯に位置するのは間違いない……緯度を絞り込むことはできそうだ。地球における竹の生息域は北緯50度あたりから南緯15度あたり(かなりおおざっぱですが)とのことなので、タイタンの赤道付近から北半球半ばぐらいといったところか。もっとも、タイタンの場合は魔法などの影響で局地的に気候が狂っている可能性もあるので確かとは言えないが……

(12/17/23)

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