第5回

イタリア(ミラノ〜ベネチア)(2003.5)

− 古くはフェリーニ、デ・シーカ(古くないかもしれないけど僕には限界)から、レオーネ+イーストウッドのマカロニウェスタン、えぐい描写だけが印象に残るホラー、そして最近のトルナトーレ、ベニーニ。数々のイタリア映画が日本で公開され、人々の心を捕えてきました。また、イタリア映画ではなくてもイタリアを舞台にした物語は多く、それは現代文明のルーツともいえるローマの時代の面影を残すイタリアという国自身が舞台としてもとても魅力を持っているからでしょう。

− 今回イタリアを訪れる機会を得られましたので、訪れた町に沿って、映画の舞台の紹介をして行こうと思います。

◆ミラノ◆

− まずミラノから旅は出発です。ファッションの街という割には小汚く、また比較的新しい建物も多いため、街自体に余り魅力は感じられませんでした。ミラノコレクションが催されるという建物も何だかすすけた建物でした。あまり天気に恵まれなかったからそんな印象を受けたのかもしれません。それはさておき、ミラノが舞台の映画といえば、デ・シーカの「ひまわり」でしょう。ミラノの街というよりもミラノ中央駅がとても印象に残る、切ない大人の恋愛物語は時代を超えた名作だと思います。本当に「切ない」と言う言葉がピッタリの名作です。互いに愛し合いながら、戦争が二人の間を分かち、再会しても、もう昔に戻ることは出来ない・・見る年齢は選ぶと思いますが、未見の方は是非ご覧になってください。妻(S・ローレン)が戦争に行く夫(マストロヤンニ)を見送り、その帰りをその待ち続け、そして夫の消息を確かめに旅立つ場所、それがミラノ中央駅です。その巨大なアーチ型の屋根が印象的なをの駅は是非訪れてみたい場所でした。

− イタリアはいたるところにジプシーがおり、盗難などの犯罪が多いようです(金を持った観光客が多いから当然かもしれませんが)。ナポリなどの北イタリアは数は少ないとはいえ、ナポリ中央駅には結構いるようで、夜は近づかない方がいいと注意されていたので、夕方でしたが暗くなる前に出かけました。それでも、街の人通りに比べ妙に人の数が多く、なにやら色々な人種がいるようでちょっと怖かったですが、あの巨大なアーチのプラットフォームを見たくて、周囲に注意をしながら、人ごみを縫って階段を上っていくと、映画そのもののアーチ屋根が姿を現しました。映画はスケール感が強調された撮影になっていたため、最初はすこし拍子抜けした感じもありましたが、徐々に感慨深くなってきました。やっぱ「ひまわり」っていい映画です。

ミラノ駅 ミラノ駅外観
ミラノ駅のプラットフォームです。設備は近代的になっていますがアーチはそのままです。 ミラノ駅の外観です。あいにくの雨でした・・

(犯罪?情報)
− ドゥオモの近くの広場で、ハトの餌を手渡してくる人がいるのでご注意。聞くところによると、餌を渡す→ハトが群がる→写真をとる→地下に連れてく→ぼったくる、という手順なんだそうで。危ない、危ない。

(食べ物情報)
− 若い女の子だけではなく、スーツを着たおっさんまで、ジェラートをパクつきながら歩いています。しかし暑いのですぐに溶けてどろどろ、手はベタベタ。どうやって上手く食べてるんだろう・・。夕食に食べたピザと魚介類のサラダは美味しかったです。少し中心から離れたトラットリアだったのですが、場所を忘れてしまったので、調べてみます。

◆ベネチア◆

− ベネチアは自然が作り上げた場所ではなく人工的に埋められた場所であるため、沈みそうだというのも仕方ないことだとは思ったりもしますが、逆に今まで当時のままの姿を残していることが驚くべきことだと思います。街自体は小さく、その中に建物がびっしり詰め込まれており、自転車も車もなく、交通手段はその狭い街を縦横に流れている運河(水は汚い・・)を行くボートだけと、まるで大きなテーマパークみたいです。
− ベネチアを舞台にした映画には「旅情」、「リトルロマンス」等がありますが、個人的に特別思い入れのある作品はありません。それよりもベネチアといえば、ベネチア映画祭でしょう。黒澤の「羅生門」、北野武の「HANA-BI」がグランプリを獲っています。つい最近同じく北野の「座頭市」が観客賞等を受賞したのでご存知の方も多いでしょう。開催は本島から船で20分程離れたリド島で開催されます。ここは本島(って言えばいいのかな?)と違って、車も自転車も走っており、街路樹などの植え込みも多く雰囲気が全く違います。島巡りの間に少し立ち寄っただけなので魅力的なところを見逃しているかもしれませんが、他の島と比べると観光地というより高級リゾート地といった感じでした。やはりヴェネチアは純粋にテーマパークとして楽しむべき観光地だと思います。(怒られるか・・?)

ベネチア アドリア海
サンマルコ寺院から見たベネチアの街並み。 アドリア海といえば「紅の豚」・・嫌いな映画なんだけど、それしか・・

(犯罪?情報)
− 治安がいいせいか夜中まで観光客が街中で大騒ぎです。ブランド店が多いのですが、その前でパチモンを抱えた黒人がたくさんいて、「店より安い」とかなんとか言って寄って来ます。目を合わせないようにしました。

(食べ物情報)
− 2泊したのですが、夕食は2食とも当たりとはいえませんでした。特にスパゲッティは全然美味しくありません。そういえばミラノで食べたスパゲッティもまずかったな・・。昼食にバールで食べたサンドイッチは美味しかった。どこの店先にも陳列してあり、どれも具だくさんなので、むしょう食べたくなりますよ。座って食べると高くつくのでご注意を。といっても立って食べる気もしないと思いますが・・。

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