第5回

イタリア(フィレンツェ〜アレッツォ)(2003.5)

− 今回の旅の一番のお気に入りの街がこのフィレンツェです。圧倒的なスケールを持った魅力的な街で、映画の舞台にしたい気持ちも分かる気がします。しかし、この魅力を映像で表現するのは無理でしょう。ここは体感してこそ実感できる魅力を持った街だと思います。その象徴となるのが巨大なドゥオモ。細い石畳の道を挟んで並ぶ歴史を感じる街並みの間から突然現れるその建物の、その質感、スケールには圧倒されました。

− フィレンツェを舞台とした映画もなくはないですが、思い入れのある映画はありませんし、街の魅力が伝わるという映画も知りません。最近では「ハンニバル」とか「冷静と情熱のあいだ」とかこの街を舞台にしてましたね。前者は駄作でしたし、後者は見る気になれません・・ということでこの街も映画の話題は余りありません。

フィレンツェ ベッキオ橋
洗礼堂、鐘楼、ドゥオモ。フィレンツェの中心です。 ベッキオ橋の夕景。偉い人の家の廊下なんですって。すごい。

(犯罪?情報)
− ベッキオ橋の近くで地図を広げて、日本語で橋はどこかと聞いてくる怪しい人に出くわす。目の前なのにすごく怪しい。立ち止まらずに指だけさす。止まると陰から仲間が出てきて、財布なんかをスって行くらしい。小さくて人のよさそうな兄ちゃんだったけどなあ。

- 夜。酔っ払って下流の橋からベッキオ橋の夜景を眺めていると、ジェラートを持ったガキにからまれる。どうやら「金出せ」とか「武器を持ってるぞ」とか言ってるらしい。身振りで「言ってることが分からん」と言って立ち去ったけど、もし相手が大人だったらと思うとぞっとします。くれぐれも夜はご注意を。立ち止まってはいけません。特に酔っ払って。

(食べ物情報)
− ベッキオ橋の近くで食べたジェラートはなんと5ユーロ(700円!)。値段を確かめずに注文した方も悪いけど、やりすぎ。全体的に物価は高いとはいえ・・
− 中央駅近くのホテル「ALBANI」で食べたラザニアは最高でした。やっとイタリアに来たって感じ。ベッキオ橋の南を右に曲がって、アルノ川を右手に見ながら数百メートル行ったところにある「イル・サント・ベヴィトーレ」もいい感じでした。若いスタッフが頑張って作ってます。ここで美味しいワインを飲みすぎて・・↑

◆アレッツォ◆

− 最近のイタリア映画で最もお気に入りの作品といえば「ライフ・イズ・ビューティフル」です。最近といっても98年の作品ですから、もう5年も前になるのですが、当時はハリウッドまで巻き込んで大いに盛り上がった作品で、大戦中のユダヤ人の親子と夫婦の愛を描いた大人のための童話といった感じの感動作です。その作品の舞台となったのが、このアレッツォで、監督・主演・脚本をこなしたベニーニの故郷でもあります。フィレンツェから南東に80kmほど離れた場所にある小さな街で、今回映画の舞台を訪れるためだけに行った唯一の場所です。

− アレッツォは小高い丘の頂上にあるドゥオモを中心に広がる小さな美しい街です。駅を出ると小さな公園があり、そこにはグイド・モナコなる人物の像があります。「ライフ・イズ〜」の主人公のグイドという名の由来となった人物でしょうか。街の創始者だろうと思っていましたが、どうやら音楽の関係の人物のようです。駅前は少し近代的な感じですが、しばらく丘の方向に向かって行くと、古い街並みになってきて雰囲気が出てきます。緩やかな坂道が続く路地を登って、しばらく行った右手側にグイドとドーラが出合ったグランデ広場がありました。路駐自動車が多くあったり、映画と全く同じ風景という訳にはいきませんが、丘の中腹にある傾斜のついた石畳の公園は二人の出合ったシーンを思い出させます。映画を思い出しながら、ドゥオモのある丘の頂上まで登り、脇にある公園で一息ついた後、ぶらぶらと駅まで戻り、フィレンツェに戻りました。

グイド像 アレッツォ グランデ広場
グイド像。ドレミを作ったとか・・? アレッツォの街並み。坂が続きます。 グランデ広場。グイドとドーラがぶつかったのはどの辺かな?

(交通情報)
− 時刻表に書かれた電車の出発時間や目的地までの所要時間なんて目安にも何もなりません。出発時間になっても到着ホームは分からないし、到着は1時間以上遅れるし、40分程度でつくはずも、途中でのんびり止まって、1時間半以上かかるし・・何につけのんびりとした国とはいえ、これでは国際競争には勝てませんぞ。数ヶ月暮らすと、快感になってくるようですがね。

(食べ物情報)
− またジェラードかいって感じですが、グイド像のある公園を越えたところにあるお店のジェラートは美味しかったです。暑くて店の中で食べてましたが、スーツや作業着を着たおっさんやら、少年達やらつぎつぎにやって来てテイクアウトしていきます。女の子の食べ物ってわけではないんですね。

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