ごあいさつ】

バレンタインデーのシンボル商品はチョコレート。なのに、ホワイトデーはキャンディ? いやチョコ? というように決め手がありません。
でも、日付けをよーく見てください。3.14。円周率のπ、になぞらえられるではありませんか。
そうです、パイをシンボル商品にすれば、すっきり解決。分かりやすく愉しめる日になるはず、と思いました。
パイにはお菓子も料理もあって、その種類は豊富で尽きない楽しみがあります。それにどれも本当に美味しく、奥深い味わいがあるのです。そのわりに魅力が知られていないのが現状。
だからこそ、「3.14=π(パイ)の日」の機会に、美味しいパイに出会っていただきたいと、キャンペーンを展開しています。

期間中、関西の個性的な洋菓子店、パン屋さん、レストラン、ビストロ50店舗が、それぞれユニークなアイデアとすぐれた腕で“極上パイ”を創作し、競演します。
各店のシェフが多彩なパイをご用意してお待ちしております。

 

【キャンペーンの経緯と私たちの思い入れ】

ユーモア精神、遊び心を大切にしながら、美味しいものを愉しく食べる、という信条のもと、「日本パイ協会」が2002年に参加5店舗でスタートさせたキャンペーンです。
以後、毎年企画プロデュースをつづけています。協会といっても二人だけの組織。小さいからこそこだわれる方法を貫いています。というのは二人で食べ歩いて、本当に美味しいと思えるお店、安心してお薦めできるお店だけを参加にお誘いしているのです。遅々とした歩みはそのためです。

キャンペーンをスタートさせたのは言葉の思い付きだけではありません。
もともと、食べ歩きが趣味で、パティスリーやレストランでパイの美味しいお店は他の生地のお菓子も美味しかったり、料理のお皿の隅々まで神経が行き届いた繊細な料理だったり。経験則から「パイの美味しいお店はいいお店」ということに気が付いて、それを合言葉にしていたのです。
嬉しいことに、これはフランスでは常識だったようです。“パイとクロワッサンの美味しいお店はいいお店”、そうそうフランスでもそう云っていたね、というシェフに何人出会ったことでしょうか。
こんなことが言われているのも、菓子職人を指すパティシエという言葉は、パート(生地を)焼く人、という意味を持っているからです。一番技術を要するパート・フィユテ(折りパイ)が目安になって当然。これが美味しければ、ほかももちろん美味しいということなのです。
一般的にパイというものは作るのに時間がかかり、手間も技術も必要。パイにたいする情熱のあるお店でないと作らないし、いいパイも焼けません。日本では若手の職人で焼けない人が増えているという悲しい事実に何度出会ったでしょうか。
だからこそ、「パイの美味しいお店はいいお店」と言わなければならないと思っているのです。

それに、欧米ではパイが生活に根付いた食べ物だということも、「パイの美味しいお店はいいお店」と言われる大きな要因でしょう。しっかりした生地で包み込むことから、持ち運びに便利なので、ミートパイやキッシュなど、お弁当感覚で捉えられてもいるようです。主食とおかずが合体している良さもありますしね。お菓子でもパルミエやリーフパイなど日常的にパクつくものもあります。
これを日本でたとえるなら“おにぎり”だと言っているのを聞いたことがあります。お袋の味のような素朴なものから、レストランのパイ包み焼、パティスリーのナポレオンパイのようなものまで。お母さんが握ったものから高級料亭のお凌ぎまで、というところでしょう。食文化の底辺にあって一番普遍的なもの、パイを知ることでヨーロッパの食文化の深奥に通じることができると考えています。

また、エジプト時代まで遡ると言われるほど歴史が古いだけあって、ヨーロッパからアジアまで幅広い国々、地域に独自のパイがありますし、それぞれの楽しみ方があるようです。その広がりも面白さの一つ。
関西で食べ歩くだけでも、多くの国のパイと出会うことができます。日本人が昔習い覚えて作りつづけている懐かしいタイプのパイにはじまって、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、オーストリア、スロヴェニア、ポルトガル、ロシア、トルコ、中国などなど。地理的な広がりも興味が尽きません。一つの国のなかでも、地方ごとに違ったパイを焼いていますしね。
粉の種類、油脂の種類もさまざま。あらゆる具材を受け入れる包容力の大きさもあって、パイのバリエーションは無限、楽しみも無限という訳です。


キャンペーンを通じてお知らせしたいことは山ほどありますが、難しいことは抜きにして、まずは気になるパイを食べてみてください。
「3.14=π(パイ)の日」というユーモアのもと、新たな洒落でも飛ばしながら、愉しいひとときを! 
そして、このキャンペーンが、みなさんのお気に入りパイ・新たなパイとの出会いのきっかけになれば…と心から願っています。

 3.14159265358979…………「パイの日」合言葉……

 3.141592……と無限につづく円周率の数字になぞらえて「endless love」

 男と女、愛の半径にπをかければまーるい円になって「円満」

 どこまでも割り切れない不思議な数字、無理数だから「男の割り切れない気持ち」

 パイをお返しして、「まーるくおさめましょう」

 パイで笑顔いっパイ、幸せにカンパイ!

 ……3238462643383279502884197169399375105820974944592…………