ホタテツノハゼ

 まだ柏島でガイドしていたそんなとある日、
帆がなくなってしまったホタテツノハゼに出会いました。

「・・・・・・帆がないホタテツノハゼ、か・・・。
いったいなんて言えばいいんだろう???」


帆立てであるはずの彼のアイデンティティは、もうすでになくなってしまっているわけです。
帆を立てないホタテツノハゼをホタレツノハゼ、転じてヘタレツノハゼなどとおふざけで呼んだりしますが、
彼は帆そのものがありません。

いったい彼の身に、いや、彼の帆に何が起こったのか定かではありませんでしたが、
心底彼のこれからを心配しました。



              



・・・が、それから何度もちょくちょく彼の元へ通っていると、心なしかなんだか少しずつですが、
帆が立ってきたようなのです。


「・・・・・・おお、再生している!」


ある程度元のように戻るにはそれからさらに約2ヶ月を要しましたが、
彼はしっかりホタテツノハゼのアイデンンティティを取り戻したのでした・・・。




                  





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