トウガタイカ(Leachia pacifica属)の稚仔
2007年の春、八丈島の獅子こと、
加藤昌一さん率いるレグルスダイビングへと武者修行に行った時のこと。
乙千代ヶ浜での潜水の際に、水深10m付近で底揺れに逆らうような感じで、
岩肌に引っかかるような動きを見せた小さな透明な物体がいた。
あたりにはクラゲが多かったのだが、
たまたま何とはなしにその動く物体に意識を集中して見てみると、
どうやらイカの赤ちゃんのようであることに気づいた。
しかも今までに見たことがない形をしている。
わくわくしながら、
少し離れたところで他の生き物を紹介しているガイドの加藤さんと、
もう一人のお客さんのことを気にしながらシャッターを数枚切った。
(発見したときは、加藤さんをわざわざ呼び戻す価値があるほど珍しいイカだとは考えなかった)
イカ・タコガイドブックの著者の阿部秀樹さん、
それから監修の海洋大の土屋光太郎さんの鑑定によると、
クジャクイカの仲間、それもトウガタイカという日本に1属1種とされている
イカの仲間の稚仔だそうです。
この種の仲間は分類が進んでいないため、正確な同定はできないとのこと。
これまでに撮影例がない、
世界初らしいという貴重な写真での記録となった、
わずか5枚しか撮影していない中の1枚です。
この広い海の中で、出会えた偶然の積み重ねに感謝・・・。
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