日本におけるマーチングの発展
そもそも日本でのマーチングの発祥は軍楽隊であり、それも明治維新の時に行進を行っていた薩摩藩の鼓笛隊が明治3年6月、英国ベッソン社の楽器を手にした時に始まる。
時は移り、第二次大戦以後の十数年の間はこの軍楽隊の流れを引き継ぐ自衛隊・警察の音楽隊のパレードやドリル演奏が見られる程度でした。
昭和30年代になるとドリルは高校生の吹奏楽部にも取り入れられるようになってきて、それらの動きをコピーをしながら運動会や他のイベントで演技する様になってきました。かく言う私もこれらの経験者です。
やがて昭和30年代も後半になると、従来のドリルに加えてアメリカより次第に新しいマーチングフォーメーションが輸入されるようになって、それと同時にマーチング指導者も来日するようになって、学校での吹奏楽部を中心として次第と進化を始めた。
ところが、この輸入元の本場アメリカにもマーチング・スタイルが複数有って、より個人での演技を中心にショーアップを図る大学を中心として発展した「カレッジ・スタイル」と、世界大戦終結後も相次ぐ戦争でアメリカの国内の風紀の乱れから子供たちを守ることを目的に、州や公共団体などで設立された
ミリタリー・スタイルの「コー・スタイル」と呼ばれる二つのスタイルが有った。
一時期、前者のカレッジ・スタイルは指導者をアメリカより招聘して講習会などを開いて普及活動を行ったので、主に関西地区で別名「関西スタイル」とも呼ばれ、一方、後者のコー・スタイルは指導者を関東地区を中心として招いて普及を行ったので、別名「関東スタイル」と呼ばるようになった。
(どうでも良い話ですが、あるマーチング講習会の通訳がこのコー ( Corps・軍団)をコープス ( Corpse・死体)と何度も発音したそうですが、Drum Corps
の ps はサイレント、発音したらいけませんので念のため・・・)
マーチングが日本で盛んになってくるにつけ、本場アメリカでの DCI も「ドラム・コー」として一般市民の間で認知されるようになっており、そのVTRが日本に輸入される様になった。
それにつけ、マーチング活動を続ける際に指導者が毎年頭を悩ませるフォーメーションにおいて、お手本として毎年手に入るこのVTRは重宝で次第に
コー・スタイルを取り入れるバンドが増加した。あっ、マーチングの普及でコー・スタイルを基本にする講師たちが頑張ったのも書いておかないと・・・・・
そして、一時期はこの二つのスタイルが全国大会で見られたが、現在は「カレッジ・スタイル」は関西地区以外で見るのはまれとなってしまった。
が、「カレッジ・スタイル」は2003年の映画「ドラム・ライン」によって日本で紹介され、その健在ぶりが見れた。
最近では、マーチング経験者が研鑽を積んで指導者となって後進たち指導をするようになって、学校でのマーチング活動も次第に活発となり、今や体育祭の他に演奏会でもステージ・マーチングを取り入れる団体も多くなってきました。
また、卒業後もマーチングの魅力に魅せられた有志による市民マーチング・バンドも各地で発祥するまでになってきた。
「DCI」や「Blast」 の例をとるまでもなく、やはりマーチングはやっても見てもカッコイイ!!
<参考:鹿児島県吹奏楽連盟創立40週年記念誌より>
JMBDAの設立 → 日本マーチングバンド協会へ
日本のマーチング普及で一番の功労を果たている組織が、一般社団法人日本マーチングバンド協会(JMBDA)でしょう。
この協会は個人の資格で加入する団体ですが、ここでは講習会・研修会を実施しながら資料を作成してマーチング指導者の養成に多大の貢献を行って
いるだけでなく、現在のマーチングを引っ張っている指導者はほとんどこの協会の会員と言っても過言ではありません。
JMBDAが発行している指導書とハンドブックは、現在マーチングの最高峰の教科書ですが、作成段階においては先のカレッジ・コーの二つのスタイルが存在している日本のマーチング・スタイルをいかにまとめて全国統一するか、大変苦心しながら作成をしたそうです。
そして、この40年で急速に発展しているマーチングの世界で、どんどん新しく変わって行くショーの構成においてはもう古典的な存在と言われながらも、これからマーチングに取りかかるバンドや、時折マーチング活動を行うだけの練習に多くの時間を使わないバンドにとっては大変有効な参考書です。
現在は、さらなるマーチングの普及を目的として平成18年に全日本マーチングバンド・バトントワーリング連盟と合併し、社団法人化への計画が進められ2007年より日本マーチングバンド・バトントワーリング協会(JAPAN MARCHINGBAND BATONTWIRLING
ASSOCIATION)が実質スタート。
[ マーチング・コンクール ]
良しにつけ悪しきにつけコンクールの賛否両論が有る中で、マーチングコンクールはマーチング普及に大きく影響し、尚且つ貢献を果たしている。
現在マーチング・コンクールには、(社)全日本吹奏楽連盟がその設立20周年を期に実施している大会と、日本マーチングバンド・バトントワーリング協会の二つの大会が代表的なコンクールである。
前者は吹奏楽がステージでの演奏が主であった従来の活動を野外へとひろげ、より多くの観客へアピールする場としてパレードへの参加を意図して30年ほど前から開始された。編成もステージ・バンドそのままの編成で、打楽器のみ移動演奏が可能なベルト(後にホルダーへと変わって行く)で持ち運びを可能とした活動である。しかし、持ち運びが出来ない弦バスと野外では楽器のデリーケートさ故敬遠されたオーボエ、ファゴットは、打楽器の補強やドラム・メジャーを受け持つ。
後者はコンクールが開始された時期はほぼ一緒だが、マーチングそのものの活動普及が主なので「動き」が中心のコンセプトで、楽器編成も開設当初は吹奏楽編成が多かったが次第にDCIを参考にした打楽器群とフロントベルの金管楽器が導入されて、それぞれ異なる発展を続けている。
この二つの大会はそのコンセプトの相違から、30年を経た現在では明確にマーチング・コンテストとしては大きな違いを感じさせる大会である。
今後の課題は、吹奏楽連盟は音楽を重要視しながらより多くの加盟団体のパレードを始めとした大衆へのアピールを目指しているが、コンクールへの参加は全国平均では全加盟団体の5〜6%に留まっているので、参加増とそれに対しての課題の解決が必要。
全日本マーチングバンド・バトントワーリング連盟は、もともと本格的マーチング活動追及の団体が加盟しているのでそのレベルは年とともに向上しているが、逆に新たにマーチング活動を始めるバンドへの登竜門としての位置づけではなくなってきた。
しかし、その性格がはっきりしてきただけにバンドが望むマーチング活動に合うコンクールを選択して参考、もしくは参加すれば必ずやプラスになる大会である。
DCI(Drum Corps International )WORLD CHAMPIONSHIP |
クリックでDCIのホームページへ
現在、カレッジ・スタイルを導入し
ているバンドを除いては、マーチン
グと云えばコー・スタイルが主流と
なった今の日本の現状では、その
ショーの構成でのアイディア・フォ
ーメーション・ユニフォームからそ
の他モロモロに至るまで、何かとお
手本にして(中には丸コピーして
)いるのがこの DCIです。
ある雑誌で「ここ数年の日本のマー
チング・レベル向上は目ざましいも
のがあり、トップ・バンドのレベル
は本場アメリカをしのぐウンヌン
・・・」と読んだことが有りますが、これは明らかに自画自賛し過ぎです。
私は決してアメリカ至上主義ではありませんし、マーチング世界大会での成績や武道館で見せてくれる一般バンドのレベルの高さは認めますが、DCI のDivisionU,Vと比較するのならならいざ知らず、実際に
DCI の DivisionTを観たらそうは書かない・・・・イヤ書けない・・・まるで、TVで野球観戦をしながら野球を評論するに等しい記事です。
まっ、そうは言ってもアメリカで実際に見なくとも、現在は日本に居ながらにして毎年このDCI DivisionTのファイナルでの DVDや VTRが手に入るし、各部門(金管、バッテリー・パーカッション、カラーガーズ・フロント・パーカッション)の
How To ビデオも手に入るので、ショーの構成での参考にしない手は無い。
ここでは細かい紹介は省いて、私が直接体験した DCI を紹介をしましょう。
もし、 アメリカのMarching専門店も覗いて観たい方は MSC [ Marching Show Concepts] へご案内します。)
[ DCI 昨今]
まず、現地アメリカに行った最初の体験で驚いたのは一般の市民と会話してる時に、DCI のことを「マーチング・バンド」と言ってもピンと来なかったこと。
マーチングが本場アメリカでは「マーチング・バンド」言えば、どうやら1999年に訪問したインディアナ・ポリス州のカーメン・ハイスクールの様に BOA ( Bands Of America )に加入している高校のような木管楽器も編成に有る、マーチングを行うバンド全体を指しDrum Corps は独立した存在となってます。
ではDCI はアメリカではどのような存在かというと、日本での市民バンドでの位置づけでその活動の主な目的として、音楽活動を通しての青少年の健全育成が掲げられています。
年齢制限も設けられているので、メンバーの年齢が22歳になると定年 ( Over Age ) で Player 卒業です。メンバーとなる為には、まず全米各地より集まってオーディションを受けます。18才以下はジュニア・バンドを持っているCORPSに参加し、そこで実力と経験を積むことが出来ます。
そのオーディションでは、演奏力はもちろんマーチングでの基礎能力も大切ですが、最近多くなってきた日本からの応募者は、コミニュケーションを図る上で不可欠となる英語力で落ちるケースも多く、DivisionTに一発で
合格するはなかなか困難のようです。
このオーディションに目出度く合格すると、ツアー(予選)の数ヶ月前から発表される練習スケジュールに合わせ、その年のショーの練習に参加することから始まります。そして、いよいよ予選が始まるとあのバカに広いアメリカ各地で開催される予選に参加しながらポイントを獲得していきますが、2003年での「The Cavaliers」ではこのツアーの参加費としてメンバー・一名に付き1000ドル(日本円で11万くらい)を払ってツアーに加わります。
もちろん、これだけでは全体のCorps運営費は賄うことはできません、なんせ年間の運営費は5〜6億もかかるというのですから。
DCI の続きを見る