本格的な商業・サービス業向け補助金を作る  

限度額を抑えれば、不正してもうま味が減ります。

私が考えた対応策〜(i)補助率よりも限度額管理
グレーな不正への対応に支援団体がまったく無力かというと、手だてがないわけではありません。
そこで考えついたのが「徹底的な限度額管理」です。
グレーな不正は防げないまでも、不正を行った場合のうま味を減らすことはできます。

補助金の案内を見てください。
補助率というものと、限度額というものが予め定められている場合がほとんどです。
補助金限度額という幻想

補助金の場合、通常、その<総額>に「限度額」が設けられます。
さらによく見ていると、個別の補助対象項目にも、たまに限度額が設けられることがあります。

しかし、多くの補助金は、このような細かな限度額管理が行われていません。たいがいは総額管理です。
その反面、補助率は2分の1とか、3分の2とか決められていて、制度を作った人たちは、それで無駄遣いが抑制されると思っています。
補助率で支出が抑制されると考えるのは、甘いです。
国の「商業・サービス競争力強化連携支援事業(新連携支援事業・小規模型)(h28)」では、外注費+委託費が補助対象経費の2分の1を上限、となっています。
補助金全体の限度額は500万円ですので、委託費等は250万円までしか払えないことになります。



補助金のタテマエは、まず、補助対象経費ありき。
その制度で決められた限度額や補助率を計算して、最終的な補助金が決められます。
ここでモノを言うのが「補助率」。ですから、制度を作る側は、補助率でコントロールできると考えています。










しかし、補助金をもらい馴れている企業は、こう考えるのが普通です。「できるだけたくさんの補助金をもらうためには、どうすればいいか?」
そして逆に計算して、補助対象経費として何をいくら選べばベストかを、見つけ出すのです。
補助率の設定云々では、補助金の抑制はできません。

補助率で補助金の額を決める方法だと、こうなります。
補助事業で購入する備品の中には、あまりお目にかからないものも少なくありません。本当のところ、どのくらいが相場の価格か、なんて、関係者にはよくわかりません。
補助金総額1,000万円、補助率1/2で、その備品の価格が1,000万円なら、当該備品を買うだけで500万円の補助金が消費されます。
実に簡単に補助事業が完結します。検査する方も楽です。


限度額の側から決めていくとします。
補助金総額1,000万円で、補助率10/10、ただし、備品購入の限度額が100万円だとします。
そうなると、当該備品に投入できる補助金の額は100万円しかありません。
それ以外に補助金を投入する項目が存在しないとすれば、補助金確定額は100万円。残り900万円は支出されません。

ごく一般的な補助金があって、全体の限度額が1,000万円、補助率が1/2と設定されていたとしましょう。
売り主は、収益目当てに、やはり見積を1,000万円と付けます。
値札では1,000万円だけど、実際の値打ちは100万円でしかないかもしれません。
買い手は、「どうせ補助金で充当できるのだから・・・」と気楽に思って、これに1,000万円を支払います。
結果、100万円の価値しかない機材を、1,000万円で買うことになります。
補助金事務を管理する者が、後日、確認に行きますが、その機械が1,000万円するのか、100万円ですむのかなんて、まったくわかりません。カタログなどに価格設定があればわかりますが、そうでないオーダーメイドの製品だと「過大な価格設定が行われている」という裏づけ証拠を見つけることは困難です。
だから、率で管理している場合は500万円全額が補助され、丸く収まってしまいます。
実際のところはわかりませんが、そんなケースはいくつもあるのではないでしょうか。

役人は、あいみつを取らせれば、ムダを抑制できると考えていますが・・・???

私は、ECサイトの製作会社さんに尋ねたことがあります。「ネットのサイトで商品を販売するとき、いくらかかるの?」 答は、「タダでもできるし、億単位になることもある」

私の考えた限度額管理の最大のメリットは、「補助金の申請者が、導入する設備の価格を厳しく吟味するだろう」という点にあります。
補助金が100万円に制限されていれば、900万円を自己負担して1,000万円の製品を買おうとは思わないでしょ。通常は、その100万円をいかに有効に使うか、いろいろと考えるはずです。それを期待しています。

にもかかわらず、行政の担当官に、「10/10補助だけど、限度額で規制される」という補助金制度を主張しても、たぶん黙殺します。その人の理解を超えている問題なのだと思います。
限度額管理すれば、補助金申請者自身が「節約」を考えるようになる、というのにね・・・。

同じように、人件費を補助対象とし、委託費には制限を加えれば、「循環取引」による不正を、ある程度抑止することができます。これもお役人には理解してもらえないでしょうね。 補助金の不正行為の例→

まずは、人件費以外の経費を、
〇事業構築費・・・外注委託経費を中心としたグループ
〇事業展開費・・・その他の経費をまとめたグループ
に分類します(つづく)。


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