月夜裏 野々香 小説の部屋

  

仮想戦記 『日清不戦』

 

第03話 1895年 『笑えねえよ』

 予算不足の結果、日本の陸軍省と海軍省が統合。

 日本国防省が創設され、

 参謀局、兵装局、海軍局、陸軍局、情報局が創設されていく。

 日本の軍事費は、さらに抑えられ、

 海軍に至っては、4000トン級巡洋艦(高砂)が1隻購入されただけ。

 日本経済は上向きになっていく。

 

 下関海峡トンネル完成(500m)。

 明石海峡(5km)トンネル

 浦賀水道(8.6km)トンネル

 三河湾海峡(9.6km)トンネル

 鳴門海峡(10km)トンネル

 友が島海峡(12km)トンネル

 豊後水道(16km)トンネル

 野付海峡(17km)トンネル

 伊良子海峡(21km)トンネル

 津軽海峡(25km)トンネル

 宗谷海峡(45km)トンネル。

 計画を次々と打ち立てたのは、鉄道省であり。

 陸軍局も、海軍局に予算をとられないように鉄道省の味方をする。

 藩閥政府の進める富国強兵政策は、資本家の要望と利権争いに巻き込まれていく。

 日本陸軍の近衛師団+7個師団だった大綱も

 予算不足で捻じ曲げられていく。

 要塞砲を核にした要塞兵団(12個旅団)と

 鉄道を利用して移動する機動兵団(12個旅団)に変遷し、完全に頓挫してしまう。

  

  

 そして、この年、工部省が残り。 

 逓信省と独立して鉄道省が創設され、 

 利権を守る勢力が沿線経済を核に勢力を拡大していく。 

 鉄道は、近代化の象徴であり、 

 日本経済と密接に関わっていた。 

 軌間は、狭軌(1067mm)から広軌(1676mm)に切り替えられ、 

 勾配とカーブを極力なくした路線が伸びていく、 

 西洋風のコンパートメント部屋と食堂車を持つ、特別車両も就役していた。 

 この鉄道施設を加速させた要因は、土地収用を強行したこと、 

 そして、土地購入で資産価値は高い100年定期を発行したこともあげられ、

 それを利用した商売も成り立った。 

 富国精兵は、富国強兵に失敗した日本政府が到達した答えだった。

  

  

 陸蒸気

 2人の軍官僚が食堂車で食事をとっていた。

 駅弁もあった。

 しかし、食堂車で皿に盛られたフランス料理を食べると気分が良い。

 狭い車内で食事をするため工夫がされ。

 そのいくつかが、国内の雇用、産業、消費を支えていく。

 そして、広軌(1676mm)であることから他国の客車より揺れ難く、

 車体幅(1676mm×2.6。4300mm)で過ごしやすかった。

 「・・・軍艦が欲しいな」

 「予算が足りないだろう」

 「鉄道で国が守れるものか」

 「だが、こうやって部屋に入って移動できるのも良いし」

 「時速100kmで走るのは気持ちが良いものだ」

 「けっ!」

 「日本縦断高速鉄道が完成すれば、国防という観点でも一息つけるだろう」

 「駅を一つ通り過ぎた」

 「貨物用の駅だ」

 「人の出入りよりも物の出し入れ専用で早い」

 「工業や商業の人口も増加している」

 「こうしている間に欧米諸国は、清国を植民地にしていくぞ」

 「中国の歴史上、西太后の時代は、過去最悪の時期かもしれないがね」

 「清国は大帝国だ。そう簡単に滅ぶまい」

 「滅んでから慌てても遅いよ。次は、日本だ」

 「それより、再来年には八幡製鉄所が完成する」

 「段階的に拡張していくが軍艦を国産で建造できるだろう」

 「だが鉄道省がトンネル建設を急がせている。予算でも鉄は、そっちに流れる」

 「問題は、鉄鉱石が中国の大冶鉄山だからだ」

 「国内にまともな鉱山もないのに製鉄所を作って、どうするつもりかな」

 「少しくらいなら鉄鉱石は出る。それに軍艦を買うより安上がりだ」

 「日本製の軍艦が時化で沈まなければね」

 

この頃はまだ自然がいっぱい。

 

 

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第02話 1894年 『貧乏が悪いのさ』

第03話 1895年 『笑えねえよ』

第04話 1896年 『もう良いよ、好きにして』

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