第04話 1896年 『もういいよ、好きにして』
英仏、シャム王国の独立と領土保全に同意。英仏条約を調印。
板垣退助、伊藤博文、大井憲太郎、磯山清兵衛は、朝鮮と与し、
欧米諸国に対抗する勢力の頂点にいた。
しかし、93年、朝鮮半島で東学農民が蜂起。
日本は予算不足で軍事介入出来ず。
清国が単独で軍事介入し東学農民を鎮圧。
朝鮮維新が滅び。
事大党が支配する朝鮮半島になると、
清国を中核とする東アジアを形成しようとする。
日本は、半島の足場を失うと大アジア主義が後退し、
脱亜論が強まっていく。
日本で、朝鮮・中国を踏み台にしてでも
国力を強めようとする合理主義的な一派が台頭していた。
彼らは、軍艦より、国防も兼ねて利益を得やすい鉄道による国防を是とした。
政官財癒着が資本家や豪農の票を集め、
利益誘導で議会の多数派になると、
薩長藩閥政府は、急速に力を失っていく。
この時期の清国。
西太后は、新王朝を守るため
扶清滅洋を掲げて封建制度を強化していた。
それは、近代化に逆行してしまう。
清王朝は、地域の求心力を失いつつあり。
軍閥は、独自に行動を起こし、戦国時代の様相を見せていた。
孫文は、広州で反清武装蜂起に失敗し、日本に亡命。
しかし、確実に清国の土台を揺るがしていた。
中国大陸を内外から民主化、近代化させる勢力が育ち。
一部は、清王朝を打倒・転覆させでも近代化を望んだ。
06/03
ロシアは、東清鉄道の敷設権を獲得。
08/18
フランスがマダガスカル島を併合。
赤レンガの住人
日本地図に路線図が書き込まれていく。
「・・・ようやく、狭軌鉄道を広軌鉄道に切り替えることが出来た」
「まったく、大隈の失態のお陰で面倒をかけさせてくれた」
「そういうな」
「藩閥政治は弱体化しても有力者だし、近代日本を作った立役者でもある」
「近代化は、まだ途上だよ」
「大アジア主義などという夢物語にうつつを抜かしているようでは駄目だな」
「ふ だいたい、資金が足りない上に日本人、中国人、朝鮮人の三者は信頼関係ゼロだ」
「孫文は?」
「愛国心は、旺盛だがね」
「日本を踏み台にしても中国人民を救おうとしている」
「何が “大アジア主義、日本のアジア人としての覚醒” だ」
「中華思想しかないのが見え見えだ」
「溺れる者ワラをも掴むだな」
「清国は、大国の面影がなくなって崩壊しつつある」
「わかっている人間は少なくないな」
「日本も決して状況が良いわけではない」
「海軍力がなければ、どうにもならないことは多い」
「しかし、戦艦を買わなくて良かったのか」
「財界の圧力は強い」
「戦艦を外国から購入するより、ポストが多くて利潤が得られる鉄道が良いのは決まっている」
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この時代にこんなものが、信じるものは・・・・
第04話 1896年 『もう良いよ、好きにして』 |
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