第07話 1899年 『一度傾いた振り子は、簡単にもどらんぎゃ』
イギリス、フランス、アメリカ、ドイツに続いて、
ロシア帝国も海軍力を拡充。
旅順艦隊
「ペトロパブロフスク」「ポルタワ」「セヴアストーポリ」
排水量11400トン、(全長112m×幅21m)、
出力11250hp、速力16.5ノット、航続距離10ノット×4000浬。
主砲305mm連装砲塔2基、副砲152mm連装砲塔4基・同単装砲4基、
他47mm単装砲12基、37mm機関砲28基、
457mm水雷水上発射管2門・同水中発射管4門、機雷60個。
装甲ハーヴェイ鋼。
装甲喫水線部分406mm、甲板76mm、
砲塔356mm、指令塔203mm。
バルチック艦隊。
「セニャーウイン」「アプラクシン」「アドミラル・ウシャーコフ」。
排水量5000トン、(全長87×幅16m)、
出力5750馬力、速力16ノット。(航続距離10ノット×2600浬)、
主砲254mm連装砲塔1基、連装砲塔2基、副砲140mm単装砲4基、
他47mm単装砲6基、37mm機関砲16基、
381mm水雷水上発射管4門、
装甲喫水線部分254mm、甲板76mm、
砲塔203mm、指令塔203mm。
国家予算310,317,000。
軍事費30,536,000。0.98パーセント
日本は鉄道、発電所、製鉄所、海軍工廠を充実させ
近代国家たらんと躍起になっていた。
欧米列強が中国租借地の足場を強化するため
日本への発注は、次第に大規模になっていく。
水力発電所が建設され、
電力供給に伴い工場、工作機械、工員が増えていく。
遮二無二、鉄道を敷き、
トンネルを掘り続けた結果、日本の鉄道延長20000kmとなっていた。
01/17
アメリカ合衆国がウェーク島を併合。
01/19
アングロ=エジプト・スーダン成立(イギリスとエジプトのスーダン支配)
01/22
クウェートがイギリスの保護国となる。
02/01
仙台・東京・大阪・福岡間に電話開通
「戦艦を作らないで育てた産業が、こんなもんかよ」
「ようやく、電話が仙台から福岡までじゃな」
「産業を育てないと、いつまでも高い武器を買わされる」
「あれ、武器を作ってたぞ」
「消耗品だろう。コアの部分は作らせてもらってないよ」
「利潤がいいから生糸モノよりマシかな」
北海道 酪農農場
広大な牧場に和牛の群れが放牧されていた。
「追加予算が降りた」
「これで牛舎を増築できる」
「出来れば発電機か、発電用の水車か、風車をもっと欲しいな」
「牛だけ持ってきてもらってもな」
「維持管理を考えれば人手も必要だ」
「わかっている」
「食肉加工場の増築よりも前倒しにしている」
「鉄道をこの先まで引っ張るつもりだ。人口も増えるだろう」
「頼むよ。今後は肉食が増えていく」
「鯨肉のほうが有利だよ」
「それに穀物を飼料として使うということは、それだけ、エネルギーを使うということだ」
「純粋に食糧自給量を得ようと思えば、トウモロコシ畑やジャガイモ畑、麦畑のほうが良い」
「生活水準の向上か」
「そうだな、取り合えず」
「予算の大規模投資は限定されている」
「それまでに自立してくれ」
「わかっている」
「労使規則は遵守してくれよ」
「最近は、煩いから遠慮なく、しょっ引かれるぞ」
「わかったよ。それに必要なのは男手だ。女工じゃない」
02/02
オーストラリア州知事会議で首都をメルボルンとシドニーの中間におくことで合意。
02/04
フィリピンのマニラで暴動が発生(米比戦争の開戦)。
02/12 ドイツがスペインから南洋諸島を購入する。
東北
新日本製鉄釜石製鉄所。
「ここと、あと北海道にも製鉄所が造られるかもしれない」
「そんなに鉄と石炭は取れないだろう」
「それに赤字続きで予算を食っている」
「石炭は大増産で、鉄鉱石は買うことになりそうだ」
「生殺与奪権を欧米諸国に握られているのにか」
「技術も無く、買い続けるよりましだろう」
「それと八幡集中は変わらないがね」
「北海道も自前で基礎工業力を付けておきたいそうだ」
「出来れば食料生産を南に置いて、工業生産は北にしたいらしい」
「そうだろうが・・・」
「なあに。鉄道がここまで延びれば労働力も増えるだろう」
「山がちだからな。日本海側が平地が多かろう」
「そっちにも、予算を落とすことになっている」
「食い扶持減らしの出稼ぎと、女郎行きは減るだろうな」
05/18
ロシア皇帝ニコライ2世の提唱でオランダのハーグで平和会議が開催される。
青森
リンゴ畑が広がっていた。
「寒いな」
「寒暖が激しいほうがリンゴは美味しいそうだ」
「米で凶作になってもリンゴが食えればいいよ」
「北がリンゴで、南はオレンジか・・・あれは?・・・」
「あの建物は、政府が温室栽培の研究をするらしい」
「少し、屋根の幅が広いようだが雪で潰されないか」
「鉄筋コンクリートだ。それも模索中だな」
「普通は、雪降ろしを考えて造るもんだがな」
「次は、そうするよ」
「まだ予算が降りそうなのか」
「国民は贅沢したいのが本音さ」
「軍艦建造するより、輸送船を建造して舶来品を輸入する方が儲かるだろう」
「軍部が煩いがね。大衆受けがいい」
「薩長も軟弱になったもんだ」
「そうだな・・・」
「しかし、藩閥をやめなければ、明治維新の正当性を証明できない」
「そうするしかないだろう」
「それに東京に住むと鹿児島人も東京人になってしまうからな」
「廃藩置県するくらいだからそうだろうよ」
「たぶん、次の予算で土地付きの大型住宅が建設されるはずだ」
「雪に強いやつだろうな」
「ほう」
「比較的安値で売却される。北方重視の一環だな」
「半島に出兵しなくて良かったよ」
「国内に投資しなければならない金を半島と中国に使うことも無い」
「鉄道施設で100年定期がもらえるんだよな」
「そのはずだ。それで商売している人間は多い」
「そうか、俺もそれをやってみるか」
「最近は、100年定期を持っている者も多い」
「競争で利銭は減っているぞ」
「そうでもなかろう・・・ようし、やるぞ」
「ははは、りんご園をほったらかしにしないでくれよ」
「わかっているさ」
「しかし、リンゴを運ぶのには便利だろう」
「手荷物では間に合わないだろう」
「車両ごと運ばないと。東京まで運べば大きな利益になる」
「そうだな」
07/29
第1回ハーグ平和会議が終了し、ハーグ陸戦条約が締結される。
大臣宅
「・・・もっと予算を回せばよかろう」
「わかっとうわい。せからしか」
「じゃ、予算を回せ」
「じゃから議会が反対しとるけん、しゃあないやないか」
「くぅぅ・・・なんとか、せいや!!」
「だから、どうしようもないわい」
「なんで、そうなったんだ。一時は、巻き返せただろう」
「たぶん、予算の比率が民間に傾きすぎていたんだろうな」
「自由党も、改進党も民間需要で票をとることを第一に考えている」
「閣僚も、官僚も、利権構造に組み込まれている」
「朝鮮での東学の乱の時、半島に出兵していたらな」
「もう少し軍事費で生計を立てる人間も増えていたんだが・・・・」
「じゃ 1894年まで遡れってか」
「その少し前かな、たぶん、400万くらいの予算分配が日本の歴史を変えたのかもしれん」
「なんてぇや。しぇからしか!!」
「借金すればよかろう」
「国債の上限は、国家予算の10分の1以下に決まったやろうが」
「もう上限一杯や」
「戦争にでもならんと国債は出せん」
「なんてぇや、しぇからしか!!」
「子供の使いじゃなか! 何とかするのが大臣たい」
「じゃから、もうちっとまてや」
「あいつらが贈収賄でも起こせば付けこんで何とかしてやるたい」
「本当やろうな」
「本当じゃ」
「信用しても、よかろうな」
「そん時は、やるたい」
10/11 第二次ボーア戦争が開戦。
10/16 仏清間で広州湾租借条約。
広島
「どうしても行くのか」 母親
「仕事だから、仕方がないやろう。戦地に行くわけじゃない」 次男
「北海道は、寒かろう」 母親
「建設会社の都合でいかないと」 次男
「便りば寄こさないかんぞ」 母親
「書き物は苦手だけど何とか書くわ」 次男
12/02 米比戦争: ティラード・パスの戦い
12/23
ドイツが、(ベルリン、ビザンチン、バクダット)を結ぶ3B政策を進め。
イギリスの(カイロ、ケープタウン、カルカッタ)3C政策と衝突。
12/26 ボーア戦争
この時期
ウラジオストック海軍基地の極東ロシア海軍は、増強されていた。
極東最強の清国海軍も増強されるロシア海軍に備え、
釜山港を基地に配備されていく。
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第07話 1899 『一度傾いた振り子は、簡単にもどらんぎゃ』 |
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