1999年10月下旬の日常

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1999年10月21日(木)

今、日下三蔵に夢中。どのくらい夢中かというと、週に一度は彼のことを考え、彼の携わった仕事のことを思い、何はともあれ一遍は受け狙いの材料にしないと元が取れないくらい夢中。らう゛。今日も彼の関わった作品に触れ、その苦心惨憺を思って胸が詰まる。鮎川哲也『夜の訪問者 鬼貫警部全事件III』(出版芸術社)。らう゛。だから頑張って忍法帖全巻出してね。『忍法創世記』ぃ〜『忍法相伝'73』〜〜

……例によって意味不明のノリはあっちに置いとくとして。それにしてもPCというのはややこしいことこの上ないね、と改めて思った次第。写植文字などの管理をやっている別室とは前々からデータ連携が巧く取れていなかったのだが、今日発生したデータ異常はどう考えても変。原因が全く掴めない。取り敢えず複数の方法で出力してあとは職人さんの手作業で補って貰ったが、顧みるとデータ操作のやりくりでどうにか出来たような。まあ終わったことだからいいか。他にもフォントの問題が発生したため、初めて別室のオペレーターとコンセンサスを取り付けたり。仕事量の割には色々とあった一日でした。多分金曜は暇でしょう、この調子だと。
 そんなこんなでわやくちゃとやったあと、夕方からまた書店バイト。バイト先の社長の具合はいよいよ悪そうだが私はここに来てますます快調。躁鬱の気が強くなっている以外はある意味絶好調である。こんなテンションでも実は結構鬱なんだが他人は誰も気付かない。それで良し。人知れず波打つ男。

倉阪鬼一郎『怪奇十三夜』(幻想文学出版局)読了。『赤い額縁』や『田舎の事件』から遡ったため、まあこんなものかな、と素っ気ない感想しかない。当時からかなりの造詣と技術を誇っていたんだな、とは思うけれど、どれも吸引力に欠けるし作品集としてかなり散漫な印象。繰り返し言っていることだが、やはり倉阪作品は素人向けではない、と感じた。
 勢いに乗ってもう一冊撫で斬り――といっても神坂一『ホーンテッド・ナイト?』(富士見ファンタジア文庫)だが。気楽でいいです、こういうのは。個人的にはツッコミ台詞の長さが何故か気に懸かるようになってしまったが、予定調和を巧妙に操りながらひたすら意表を突こうとするお笑い根性は表彰もの。長篇の方は風雲急を告げクライマックスになだれこまんとしているが、「すぺしゃる」シリーズはこのノリのまま永続して戴きたい。少なくとも作者が己の若さに自信を持っている間は。
 で、その次にちょっと訳あって芦辺作品に手をつけているのだが、プロローグからいきなり深川の琴線に触れる一言があった。
 ――このところお気に入りのモダンチョキチョキズの曲が途切れてしまったからだ。――
 モダチョキ。アルバムラストに次回予告を添える無謀なアメーバ音楽集団。『MADE IN TAIWAN』は一体いつ出るのかと、ファンなら例外なく首を長くして待ち焦がれているであろう。なんでそんな名前がいきなり出てくるんだ芦辺さん。

それにしても最近日記に「一日ひとネタ」というノルマを自ら課してしまったような気がする。だから昨日書こうと思って失念していたネタも、「今日は一個書いたから明日送りにしよう!」などと考えるようになってしまったし。ひどく愉しげな顔をして、深川拓はどこへいく。……しつこいようだがこれでもちょっと鬱状態。


1999年10月22日(金)

封印ネタ解放。一昨日の某「笑っていいとも」番組内での出来事。冒頭の、東北弁に翻訳された歌詞から歌のタイトルを当てるというコーナーの中で、案内役・出題担当の青年が方言について説明をしていたのだが、そのうち勢いづいて訛り丸出しになり、苛立った東野幸治がすかさず突っ込んだ。「標準語で話しなはれ!」
 ――何故お前がそれを言う?

……まあ、大した話ではないけどね。

予想通り暇だったのでちょっと本を読み進めたあと、今日発売のDVDを買いに出掛ける。が、その前に寄ったバイト先の書店内でPHSに電話が入り、「11時半ぐらいに緊急に仕事が入ることになったんで」……尻に火がついた。ともあれヤマギワソフトへ行き、選ぶ余裕もなくDVDソフト『8mm』(SPE)『To Heart(5)』(ケイエスエス)を買ってとんぼ返りする。仕事場に戻ったのは11時40分頃……しかし、まだデータは着いてなかったりする。結局データが届いたのは正午。なんであんなに急がなきゃいけなかったんだ、と思うが所詮結果論である。一応今日発売の『タイタニック』も買うだけ買ってみようかと、出発の段階では考えていたんだが……悩む時間もなかった。

帰途。もう一度バイト先に寄って給料を受け取る。完璧に明日の宴会資金である。いや会費は決まっていてもさ、オークションが……ねえ。個人的には牧野修のノベライズ作品と、あればの話だが鮎川哲也のあの長篇が狙い。万一出てきたら幾らまで出すか自分でも見当がつかない……うわあ。で、貰ったついでに藤原伊織『てのひらの闇』(文藝春秋)北村薫『覆面作家の夢の家』(角川文庫)折原一『セーラ号の謎 -漂流者-』(角川文庫)を購入。角川文庫は二冊とも親本を所有しながらまた購入してしまった、という奴。北村薫は解って買ったんだが……折原一はどれを持っていてどれを持っていないんだか忘れがちである。親本未読。ばか。

帰宅前の小閑にふと思い立って芦辺拓単行本リスト(編著・アンソロジー等は除く)を作り始める。ここの背景CGのオリジナルを流用して専用の背景まで作ってしまう。前から書斎の作品データに初版発行年月日や本体価格(流動的なので書いたところであんまし参考にならないのだが)を記録していた関係上、現物を脇に揃える必要があったので、既読作品を旧宅の置き場から引きずり出し、食事のあと現自宅のあちこちから未読作品を引っ張り出す。これがもう一仕事なのだった。引っ越しして暫くは箱詰めする毎に目録を作って箱に張り付けていたのだが、そのうちそういう細かい作業に没頭できるような時間がなかなか確保できなくなり、また一旦仕舞ったもののあとで必要になって取り出したりしたときに一々改竄しているのも面倒臭く、結局どこに何が仕舞ってあるのか全く把握できないのが現状なのである。七転八倒しながらどうにか一通り揃える。『殺人喜劇の十三人』の原本と『歴史街道殺人事件』の文庫版を除いて全巻所有している、と思い込んでいたのだが……『不思議の国のアリバイ』巻末に添えられた著作リストを見て愕然とする。『明清疾風録』3巻ていつの間に出てたんだ……? という訳で明日はMYSCONの前に紀伊国屋に寄ってこれを探す。初版帯付きじゃなきゃ厭。卑しきかなコレクター根性。
 兎に角ざっとリストを仕上げましたので、これから芦辺作品に触れてみようとお考えの方は参考にして下さい。書評も逐次アップする予定です。予定は未定。振ったまんまなかなか発動しない企画が山ほどあるから例によって遅延する可能性大ですが。取り敢えず版型や版元、価格の目安にはなるかと思いますので。こちらからどうぞ。書斎からも飛べるようにしておきます。はー疲れた。

明日は……というかこれを書いている時点でもう今日のことですが、いよいよMYSCONです。参加される皆さん、どうぞ宜しく。

書き漏らし。社交場に見えている方々は既にご承知のことでしょうが、ここでも触れておきます。

忍法帖、あと少し売れれば
第二期の可能性大です。

布教して下さい。身辺で素質のありそうな輩は、首根っこ捕まえて本屋に引っ張って行ってでも買わせなさい。そして講談社に短編集全十巻を刊行させ、ひいては伝説の『忍法創世記』『忍法相伝'73』を出させるのです!!!
(……しかしこの二作が途中で刊行されてしまったら、そこで配本止まるような気もするんだが……)
 ともあれ、情報提供感謝いたします>フク様。日下さんに宜しくお伝え下さい。らう゛(しつこい)。


1999年10月23日(土)

芦辺拓さん御本人からご指摘・御協力を戴いて、リスト中のイージーミスや記述のなかった部分を追加・修正いたしました。感謝感激。しかもその後、短編・随筆・評論のリストも頂戴してしまいました。作業は順次進めますので、全作網羅したものをアップできるのは後日になるかと思います。乞うご期待。

……えー、突然ですが、再度登場しました、円城真奈美です。今日管理人は噂のプレMYSCON大宴会に参加してきたんですが、人に当たりすぎて疲れたなどとほざいて更新をさぼるつもりのようです。あとできつく言っておきますが、取り敢えず管理人に代わって、御免なさい。明日ちゃんと報告させます……え? お前がやれ? そんな、ちょっ、こら、逃げるんじゃ……

で捕まったので結局自ら書くことにしました。またサイン会の時みたくちくちくちくちくちくちくちくちくやられたくないし。以下無断リンク多数あり。
 家を出たのは午後四時半頃。私の自宅からだと三十分もかからず新宿に着くのだが、先に紀伊国屋書店に寄りたかったのでその分多く時間を見繕っておいたのである。標的は『幻想文学56』。最もオフィシャルな情報では「25日発行、26日以降から市場へ」となっていた筈だったのだが、別情報で「神田三省堂にもう並んでいた」というのがあり、その確認。だが、肝心の幻想文学がどこのカテゴリに置いてあるのかが解らず、結局バックナンバーも捕捉できないまま退却。但し収穫はあった。津原泰水『妖都』(講談社・メフィストクラブ)。注文伝票つき。日販の番線印も捺してある。しかも注文日が8月6日、ということは恐らく返品待ちで流れていた注文が漸く戻ってきたのに偶々行き会ったのである。何と素晴らしい巡り合わせ。神に感謝、しないけど別に。
 そして一路会場へ。誰かの舞台挨拶でもあるのか、会場のある東宝会館正面は人でごった返している。掻き分けつつエレベーターで5Fへ。フロアがまるごとパブ。普段酒を飲まない所為もあって些か雰囲気に飲まれるものを感じながら、やや奥まったところにある会場に向かう。三々五々人が集まりつつある中、適当に座ったテーブルの奥にはいきなり牛込櫻会館の櫻井清彦さんや倉阪鬼一郎さんなどがいらっしゃって恐縮する。開会後には倉阪さんから話しかけて戴いたのですがろくに受け答えできず後悔すること頻り。人見知りの気性が恨めしい。隣には高瀬美恵さんまでいらはったんやぞぉ?!(……って勘違いとか覚え違いしてないよな) 何ここまで来て仮面被っとんのじゃ自分!!
 まず松本楽志さんINOさんの司会で参会者の紹介。綾辻行人さんや近藤史恵さんといった作家陣は無論、やはりKashibaさん小林文庫オーナーさんともさんらネット界の著名人の方々が呼ばれると拍手が大きい。しかし何か私の時にも一部で妙な声が挙がっていたが。結構「若おやじ」が浸透してきているようで。うふふ。それにしても何故私は言葉に詰まると「すいません」と言ってしまうか。どうも矯正が効かぬ。
 一通り歓談の時間が設けられたあと、或る意味プレMYSCONの目玉、Kashibaさん絶好調の司会のもと、古本オークションが始まる。私が狙うものの登場は後半のため、その間適当に寛いでいてもいいような気はしたのだが、そのまま司会の名調子と競りの様子を眺めていた。何せKashibaさんや提供者の皆さんの解説を聞いているだけでも面白い。名前も作品名も聞いた覚えのない書籍がろくでもない価格でやり取りされる光景、果たして傍目にどう映ったか。前半のハイライトは外道ものの「兄弟仁義」であろう。何故MYSCONで漫画。それを高瀬美恵さんと国樹由香さんが競り合っていた。詳しくは高瀬さんの日記を参照のこと。
 狙っていた本の一冊は呆然としている間に競りが終わってしまった為、以後余計に気を入れて観察。Kashibaさん提供のビギナー向けと言いつつ殆ど理解の埒外にあるような品々はただひたすら傍観。参加しても徒に場を混乱させるだけのような気がするのである。倉阪さんはその途中、ミーコの前肢を擦りつけて早くから執念を見せつけていた『生ける屍』を見事競り落としていかれた。オーラスは鉄人のBBSなどで著名な彩古さん提供の、絢爛たる古書群――その後半に深川お目当てのものが登場した。山田風太郎『忍法三羽がらす』。収録作自体は奇異なものではないらしいが、挿し絵が多くほぼ絵物語に近い体裁は珍しい。この処布教に努める一人としては何としても落としたい。始めのうちは数名から声が挙がっていたが、2000円を超えたぐらいから私ともうひと方の一騎打ちと相成った。3000円を超えた辺りからこちらは既に青息吐息だというのに、私が競り上げると相手は即座にその上を打つ。4000円の壁を毀した辺りで懊悩は色濃くなり、相手方の4500円の声でとうとうこちらが音を上げ「参りました」――因みに落札したのは貫井徳郎さんである……相手が悪い。オークション終了後、値を釣り上げてしまったお詫びがてら挨拶に伺ったところ、あと三冊ほどで忍法帖完集されるらしく、5000円ぐらいは出す覚悟だったそうで。にわか者の覚悟で敵う筈がない。(あとで思えばこちらにも予算的に余裕はあったんだが……畢竟理性が働いてしまってはなぁ……)
 トリに三冊、尋常ならざる底値で競りがかけられたが、一冊を森英俊さんが、あと二冊を司会のKashibaさん自らが落札していかれた。生「血風」宣言。そのあとに大森望さんが全集別巻以外揃い、という大物を急遽持ち出すといったハプニングがあって、オークションは終了。Kashibaさん出血大サービスの均一商品が供出され、深川は悔し紛れにその場にあった牧野修のノベライズ作品と梶尾真治『占星王をぶっとばせ!』(新潮文庫)(表紙のふくやまけいこ目当て……)、あと何故か鮎川哲也『死びとの座』(新潮文庫)を購入。これだけあって900円は安い。大感謝。
 また間があって、次は松本楽志さん、GAKUさん春都さんの三名による若ミス鼎談が行われる。実はオークションの傍ら、区画の反対側で肉声で開催していたのだが、壁の向こう側の宴会のためにちょっとでも距離を置くと話が聞けなかったために、オークション終了に空いたマイクを利用して仕切り直しと相成った訳である。既に課題本の半分は消化済みだったが、今回の集いで数少ない面識のある三人の御仕事なので深川も傾聴。ネタ本について隣にいらした岩堀さんとちらちらと語り合ったり。未読の作品は無論として、読んだことのある作品も既に昔のことなのでかなり新鮮な気分で聞けた。終了後、春都さんは完全にグロッキーとなっておりました。御苦労様です。
 直後、今度はフクさんの司会により突如として近刊の放出オークションが開催される。「すべてがFになる」とか「ハサミ男」とか「涙流れるままに」とか。はっきり言って私は全部持っていた、読んだかどうかは兎も角。な訳で手出しはしなかったがフクさんの司会を堪能させて戴いた。ここではちょっとした詭計が用いられたが、それ自体は兎も角、からくりを知っていて「涙流れるままに」上下を落札していった春都(突然呼び捨て)。読んで泣きなさい。色んな意味で。
 程なく長いようで短かった四時間が過ぎ、閉会の仕儀となる。特に二次会の場所など設定されていないということで、三々五々退場。私は二次会ぐらい何処かに参加させていただこうと思いつつ暫しその場に留まっていた。と、Kashibaさんが均一商品の売れ残りを前に余興の口上披露。実際に面白い作品も詰まらない作品も、おもしろおかしく聴かせてしまう話術にはひちすら感心させられます。その中で、状態極悪ながら一風変わった珍本がひとつ。小鷹信光『西洋快楽作法 眠れない夜の媚薬』(ベストセラーズ)――あの『悪党パーカー』シリーズの訳出、一連のハードボイルド研究、そして『探偵物語』の原案者としてドラマの中でも松田優作がさりげなく呼び掛けているあの人が、こんな恥ずかしい本を出している。解説文をフクさんが朗読するに至り、結局乗せられて購入してしまった私である。ついでに鮎川哲也『沈黙の函』(カッパノベルス)も保護しておく。一応初版だし。
 その後、久々に多くの人と接した所為か疲れがどっと出てきて、深川はそのまま帰宅した。イベントにずーっと付き合っていた為に殆ど食事を採っていないことに気付き家で茶漬けを何杯も掻き込む。泥のようになりながらも、日中芦辺さんから戴いたメールを元に著作リストをだらだらと作り、とどのつまりいつも通りの時刻に就寝。夢も見なかった。或いは『忍法三羽がらす』に襲われるのではないかと思っていたけれど。
 何にせよ、充分愉しんで参りました。スタッフ及び参加者の皆様、お疲れさまでした。


1999年10月24日(日)

昨晩からの流れで、芦辺 拓さんの著作リスト作成をひたすら続ける。その傍ら、ちょっと滞り気味だった芦辺 拓『歴史街道殺人事件』(トクマ・ノベルズ)読了(しかし呼び捨てたり敬称付けたりと忙しないなー)。『不思議の国のアリバイ』を読んでからあまり間を空けていなかった所為か、全体的に似たテイストと見えた。今日日他にここまでやる人間いるか、と思うほど錯綜した人間模様にトリック、そして作品を仄かに彩る恋情。『不思議の国のアリバイ』がハッピーエンドだったのは本編が先にあった故か、と勘繰りたくなる。しかしやはり本格のセオリーを喪わない堅実な作りは評価に値する。鮎川哲也信者としては全面支持します。はい。
 昼飯はバイクで行きつけの蕎麦屋。とろろうどん。新蕎麦の時期に何故蕎麦屋で敢えてうどんを注文してしまうのか自分でもよく解らないのだが、旨いものは旨いのだ。しかもざるならうどんでも蕎麦湯を出してくれる。味わい尽くす。
 あちらこちらの掲示板などにMYSCON終了お疲れ様、の書き込みをしながらひたすら著作リストを仕上げる。結局短編から評論・随筆、そして編著まできっちり掲載してしまった。結構使い勝手はいい筈、と自画自賛してみたりする。御覧になりたい方はこちらからどうぞ。因みにリストページからリンクしてある『芦辺倶楽部』とは、たれきゅんさんはじめ深川も含む柴田よしき掲示板の有志が中心になって共同運営を開始した芦辺 拓ファンページである。但しつい昨晩たれきゅんさんが立ち上げたばかりで、深川がちょっといじって件のリストにリンクしたのみ、あとはT-CUPの掲示板があるだけという状況のため、公式にアドレスは発表しません。出来ればリストから戻るのも堪忍して下さい。暫くは身内でちくちくいじり倒して、頃合いを見て発表しますので。
 本来なら溜まっている書評やあれを片付けてしまおうと目論んでいたのだが、結局一連の作業で一日潰れた。という訳でまた明日。ちゃんと三冊分(『魔界転生』『怪奇十三夜』『歴史街道殺人事件』)脱稿できたら誉めて下さい。


1999年10月25日(月)

わやくちゃやっている間に現在午後11時です。書評、全然手を付けてません。御免。これからかかるつもりだったんですがよーく考えたら今日の深夜に回線工事があってアクセス不能になるのでした……こういう時のためにやっぱりルーターとか要るかなぁ、ジャストネットとかのアカウントもあるんだし。という訳で日記だけ書いてアップしてしまう。

仕事を一個処理すると他にすることがなくなったので、買い物へ。バイト先で漫画を一冊買ったついでに11月の書籍新刊の冊子を戴き、そのままもう一軒に寄る。プレMYSCONの日同様『幻想文学56』を探すが、ない。先刻幻想的掲示板で確認してみたら石堂氏が「まだではないか」といった口吻であるのに対し、「やっぱり見付かった」という情報も二つ。まあ、明日以降市場に出ることは確実らしいので適当に諦め、その代わりに切れたが如く数冊購入。まずクイーンの未収録短編にあの北村薫の『ニッポン硬貨の謎』冒頭のみを収録という非道ぶりにふらふらと手を出した森英俊・山口雅也編『名探偵の世紀 エラリー・クイーンのライヴァルたち』(原書房)、プレMYSCONで風太郎の値を釣り上げたお詫びという訳じゃないが貫井徳郎『プリズム』(実業之日本社)、またしても日下三蔵さん絡みの小松左京『高砂幻戯』(ハルキ文庫)、そして毒を食らわば皿までの心意気による芦辺 拓『歴史街道殺人事件』(徳間文庫)。四冊だが合計すると結構莫迦にならない。給料日で良かった……という程でもない。10月のミステリ新刊ラッシュに続き、ここ数年恒例になりつつある年末のゲーム新作ラッシュが私を待ち受けている。くくくく。でも新作は買うぞ>内田さん。早く復帰しなさい(というか延期はなしにして下され)。西出さんも御覧でしたら次回作教えて下さい。ちゃんとチェックさせていただきますので。
 時間は飛んで夕方。帰り際にCD屋でDVDとCDを二枚予約し、もー一度バイト先に寄ってまた漫画を一冊購入。別に漫画だけ買いに来ている訳じゃないんだが。流通の寡占状態はいよいよ深刻化しつつあるが私がここでどうこう言っても結論は出ないので略。
 帰宅後、最寄り駅の側にある某銀行のクイックロビーで用事を片づけ、何となくマクドナルドでポテトと飲み物を買って舞い戻る。暫くして帰宅した母親に、ショッキングな事実を伝えられた。
「ゆうべの残りのほうとうね、お母さん(我が家では祖母をこう呼んでいる)が昼間、食べちゃったって」
 ……のくそばばぁっ!!!!
 夜食うのが楽しみで、朝ちゃんと火をいれておいたのを知らず、昼食代わりに食べてしまったらしい……消沈。ちくしょう。

芦辺ファンページ計画、絶好調進行中。著作リストに関しては御本人の仔細なチェックを戴き、完全を目指して後ほど更に加筆訂正を施す予定。掲示板ではぽつぽつと企画も寄せられつつあり、取り敢えず芦辺作品をモチーフとした写真・イラストの公募ページは芦辺さん御本人が乗り気なので稼働できそう。前述通り、ある程度形が整い次第アドレスを公表いたします。何だかやること山積みでどれから手をつけたらいいかもう。先ずリストの加筆訂正を優先しよう。しかしどうも芦辺さんの現実逃避の口実になっているような気もするんだが。あの、点検していただけるのは有り難いんですが、暇を見てで構いませんよー>芦辺さん。


1999年10月26日(火)

出勤前に昨晩直した分だけリストをアップ。これでどうだ!(半ば芦辺さんと対決しているような心境である)

午前中、また仕事がなさそうなので前日同様『幻想文学56』の現物を確認するためあちこちを彷徨。最終的に寄ったのは秋葉原の書泉ブックタワーだが、それ以前に一体幻想文学をどの棚においているのか全く見当がつかないために、バックナンバーすら発見できず仕舞。時間もあまりないのでそちらは程々に切り上げ、色々と探索。以下ベクトル順に網野善彦『古文書返却の旅』(中公新書)井上雅彦『妖月の航海』(朝日ソノラマ文庫NEXT)あかほりさとる・矢成みゆき『要塞学園アルファルファ2 〜南の島でチュッチュッチュ〜』(集英社スーパーファンタジー文庫)。最後の、タイトル書くのが気恥ずかしいんだが。これらを同じレジで一度に購入した。趣味。
 もう一つ、切実に捜しているものがあったのだが、該当する棚を幾ら観察してみても発見に至らず、そろそろ帰投しなければ拙い時間だったがレジの方に確認してみる。担当者の女性は人が既に探した処を彷徨き、別の店員に訊ね、書籍目録に目を通し、最後に版元に電話で在庫の有無を問い合わせた。結果判明したのは、芦辺 拓さんの『明清疾風録』は出版社が在庫を持っていないということだった。あとは店頭在庫を求めて書店巡りをするか、……しかない。意地でも探す。さもなければ早く文庫落ちさせて下さい。

帰宅後、DVDなど見ながら宿題の書評に手を付ける……つもりが、何故か忍法帖書評ページ専用の壁紙を作ってしまう。これ。単独だと何が書いてあるのかすら解りませんが壁紙だからいいでしょう。この自己顕示欲ありありの壁紙に較べればまだましじゃないかと思うのですが。
 そうこうしているうちに、小包が届いた――くだんのが。想像を絶する箱に詰められていたがそれはそれとして早速開封、自分の作品を捜す――載ってました。これで載ってなかったら月に吠えていたかも知れないが。ざっと眺めてみる……
 ……挿し絵が怖い。
 次作の出来がどうこう言う前にこの絵が目に飛び込んでくる……怖い。どのくらい怖いかは御自分の目でご確認下さい(意地でも買わせようとしている)。御感想も是非是非お聞かせ下さいねー……あ、ちゃんとHPのアドレスも載せてくれてはる。ありがたやありがたや。「バイクと歌を愛するミステリ・フリーク」……えーと。ツーリングの報告は、溜まっている書評を書き終え次第、仕上げるつもりなんですが……くぁ。

MYSCONサイトオークションの全結果が掲示してある……ぐぇ、オーラスの問題外な三冊を除くと、私が競り合った奴が二番目の高値付けてるじゃないか……はぁぁぁぁぁ。

現在27日午前2時46分。やっとこ山田風太郎『魔界転生(上)(下)』(講談社文庫)の感想を書き上げました。粗筋だけで一仕事。労作なのに大したことが書けていないのも愛嬌ということにしといて下さい。あくまでも、これから読む人のために、の感想です。


1999年10月27日(水)

朝から大降り。それでも合羽を着てバイクに跨り職場に向かう。それでも出た時点では小降りになっていたのだが、五百メートルも進まないうちに大粒の雨がヘルメットの風防を激しく打ち始めた。合羽の襟刳りや喉、そして何より靴の中に染み込む水が気持ち悪い。自宅から職場まで距離にして五キロもないのだが、服は兎も角靴がずぶ濡れになって重い。
 仕事はさっさと片付いたのだが、あとになって問題が浮上する。今日のデータは別室で写植部分を作ったものなのだが、これがこちらでデータを開いた時に字詰が狂い、長文の賛辞の末尾がはみ出してしまっているのである。原因は、制作に使ったIllustratorのバージョンが5.5であるのに対してこちらで使用しているのが8.0である、といったバージョンの違いではないか、と向こうのオペレーターは言っているんだが……しかし、私の方で見本に合わせて字詰を設定し直してみると、異様に文字が詰まりすぎた行があるのだが……まあ修正自体は簡単に出来たので別にいいのだけど。やっぱり PCってややこしいわ。

本日は倉阪鬼一郎『怪奇十三夜』(幻想文学出版局)の書評にかまけていたため、他に書くことが思いつかない……というか語彙を磨り減らして最早何か思いついてもまともに表現できない状態にあります。久々に短くなりましたがこれでご勘弁。だが、その代わりに書評の出来が良くなっているかというと……謎。


1999年10月28日(木)

フクさんが日記で、某誌(と何故暈かす必要がある)に拙作が掲載されていることに触れて下さいました。短編たった一作(しかも四ページだ)についてあちこちで触れ回るのもどうかという気持ちがあって、余所ではあまり宣伝などしていなかったため、ちらっとでも触れて戴けたのが嬉しいです。いや、書き込みでそれとなく仄めかす程度のことは結構やってるんですがね。来月にはもう一本出ますが……どうしよ。次も今までと似たような細々とした広報活動で終わらせ……るべきだろうな。やっぱり自分で本を出さなければ他人に誇ることは出来まい。
 なお、次は包装してラベル貼ってそのまま市場に流してもいいくらい真っ向からの本格ミステリ。感想は聞きたいが……聴きたくないような……でもやっぱり聴かせて。

某所でコンピューターウィルスのことが話題に上ったのを契機に、今更ながら『Norton AntiVirus2000』を購入する。あと一緒にフォトイメージの素材集も購入。いい加減作成途上のCGをちゃんと仕上げたくなったのだ。他にももう一本、購入しようか迷ったアプリがあったのだが……自宅に戻ってから懐と相談することにした。それにしてもHPを立ち上げる前は「必要最低限の機能さえあればいいだろう」などと軽く構えていたのに、いざ公開して一月経ってみるとあれこれと欲が出てきている。果たして進歩しているのか後退しているのか。少なくとも人間的には後退しているような気が、もの凄くする。

夕方から週一のバイト。その前に例によって本を買う。内田康夫『ユタが愛した探偵』(徳間書店)岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』(角川書店)。内田康夫も律儀に買い続けてはいるものの、ここ数年まともに読んでいない。シンプルな娯楽作品として嫌いではないんだけど、ミステリ関連のページを彷徨いたり自分でも創作などしたりしているうちに他人への要求も肥大してしまっているからだろう。何せ、すれっからしのミステリ読みとしては、内田作品は評価できませんから。しつこいようですが、嫌いではないのだけれど。『ぼっけえ、きょうてえ』は書き下ろしで噂の「くだん小説」が同時収録されてます。表題作よりさちらのほうが楽しみなのは未だに牛が落ちていないからだろうか。

バイト終了時、久々に四コママンガ雑誌を購入。四コマが読みたいから、ではなくて竹本泉の読み切り目当てである。他のものにも大体目を通すつもりだが、取り敢えずおいしいものから手をつける……扉ページ、編集者によるアオリ文。

待ってました癒しのカリスマ登場!

……流行の言葉二つ繋げただけなんですがね。何故こうもいかがわしげになるのやら。


1999年10月29日(金)

――という訳で、今日からHP作成用ソフトを変更しました。『IBM ホームページビルダー2001』。狙いはスタイルシートの導入とアニメーションGIF制作(!)。ちゃんとアップデートできるのか試したいので短いですが暫定的に日記更新しました。全体的なレベルアップは――まあ、おいおいね。

……で送信してみたら春都現象が起きました。どうも前のソフトの設定をそのまま引き継ぐのは無理のようで、当分試行錯誤が続きそうである。あ、すぐに修正したのでもうずれてませんよ。

今、クーラー点いてます。10月も末だよ10月も。軽い除湿運転だがそれにしたって、ねえ。新しい環境に悪戦苦闘する脳味噌を冷やしてます。

ああ、今日はあんまり書くネタがない。取り敢えず芦辺 拓『歴史街道殺人事件』(トクマ・ノベルズ)の書評をアップしました。あと、ゲームを一本買って、本も恩田 陸『象と耳鳴り』(祥伝社)太田忠司『紫の悲劇』(祥伝社ノン・ノベル)、それと今更ながらスティーブン・キング『呪われた町』(集英社文庫)を購入。ゲームについては、ある程度遊んでからタイトルを提示します。何故かというと、外れだった場合またブチ切れた論述をここでしてしまいそうだから。その時にタイトルを伏せても、ちょっと日記を戻れば想像がついてしまいますしね。……その方が面白いのか? まあいいや。何にしても今回は外れの怖れが非常に強いので(そんなもん買うなよ)ひとまず題名は特に秘す、ということで。
 あ、そうそう、昨日買ったものをひとつ書き漏らしていました。筒井康隆『邪眼鳥』(新潮文庫)。帯を一見してなんとも情けない気分になりましたがでも買った。あんた本業は裁判官なんだな要するに。

それにしても、何かというとBGV代わりに『天地無用!魎皇鬼(ビデオ版)』の最終話を見てしまうのは一体どうしたものか。最終話なんですよ間のどの話でもなくましてやテレビシリーズでもなく(正直なところ、テレビ版はあまり乗れません。どうも全体に生半可だから)。DVD版で所有しているのですが、これにはオリジナルソングのビデオクリップが同梱されていて、割と好みの曲もある。んで本編とクリップ部分を繰り返し繰り返し見てしまう。猿みたいだ。しかし本当に第三期はちゃんと始まるのか?

近頃疲労が溜まり気味なので、明日、神田辺りでちょっとだけ捜し物を済ませたら、能動的なことを一切控えた完全休養を取ることにします。読書とお絵かき、あと例のツーリングレポートを多少進めるくらいで、ネットに顔は出さないと思います。――そうそう、掲示板にちょっとした質問を書いておきましたので、お時間御座いましたら回答を書き込んでいって下さいませ。


1999年10月30日(土)

顔は出さないけど日記は更新する。そして別に休眠している訳でもない。日中は神田まで足を伸ばして古本市を見て回る。と言っても、気力も時間もないので三省堂辺りからすずらん通りの出版社別のワゴンセールなどを眺めただけ。
 土曜日だからか、えらい人出である。バイクを少し手前の歩道に停め、殆ど空同然のリュックにいつも使っている大振りなウエストポーチを提げただけの、普段に較べれば嵩張らない格好(常日頃から大荷物抱えて彷徨いて迷惑がられてます)で向かったのだが、それでもリュックが当たるポーチがぶつかる時には肩まで弾かれる混雑ぶり。狭いところで棚やワゴンを覗き込んでいると肩や背中に気配を感じて何となく退いてしまう。本来人混みは苦手な性分なので(嫌いではないのだ。隙間を縫い縫い歩くのは結構楽しいし)、十数分も経つともう疲労困憊の体を為し始めた。一応の成果らしきものというと、三省堂前の売場で連城三紀彦『変調二人羽織』『密やかな喪服』(ともに講談社)同『少女』(光文社)。それだけ。あとひょんなきっかけから気懸かりとなっていた浜尾四郎全集が二巻揃いで置いてあるのを発見したが……さんまんえん。『ふかがわは にげだした!』
 すずらん通りのワゴンセールは眺めるだけで終りかな、と感じていた。周囲の古書店を覗き、懸念の『明清疾風録』三巻も発見するが帯なしの汚損過剰な奴だったので敬遠。一、二巻はリアルタイムで購入した美本なので、出来れば綺麗なもので揃えたいのだ。ああ毒されてるよな私。んでもう収穫はなしかな、と諦めかかっていた処で、東京創元社のワゴンを発見。商品の質は兎も角(もともと汚れ有りでセールに掛けられているものだからね)、寧ろ私の気を惹いたのはいしいひさいちデザインのホームズ&ワトソンのキーホルダーである。2000円以上購入するともれなく貰える。……ふーん。

買うしか。

書籍は一律500円、文庫は200円。「鮎川哲也と十三の謎」「創元ミステリ'90」あたりの日本人作家ミステリ叢書がぽつぽつと、あとは何故かSF文庫が多い。ミステリ叢書からまだ文庫落ちしていないものを三冊と、バラードの『永遠のパスポート』に数少ないミステリ文庫から二冊を選ぶ。これで2100円。目出度くキーホルダーを頂戴した。後ほど写真撮って掲載します。きゅーと。

基本的に何もしないつもりでいたが、パソコンを立ち上げてしまうと何かせずにはいられない。芦辺 拓氏のファンページ制作参加者の名簿(サイト上に掲示するもの)を作成する。しかし不思議なのは、サイト内でのページスタイルを統一するためにインデックスページのソースを複写して名簿作成に応用したのだが、そのままだと何故かブラウザで正常に表示出来ないのである。仕方がないのでテキストの色や背景色といったバックボーンを手作業で写し取り、あとは完全な白紙から作り上げた。まあ、ホームページビルダーの練習にはなったので良しとする。

……それにしても、「休みます」と書いたら今日一日カウンターの動きが鈍ってましたね。素直なあなたが好き。そして私は大嘘吐き。ではまた明日お会いしましょー。


1999年10月31日(日)

自堕落。でも何もしていないかというとそんなこともなく、既にPC環境で本サイトを御覧になっている方には自明のことですが、全般にスタイルシートを採用しました。でも事実上それだけでした。起きたのは午後11時、その後はテレビ見たり本を読んだりとだらだらしながら無気力に過ごしてました。昼食も取り置きのカップ麺で誤魔化しました。動いてないから夕食もあんまり摂る必要がありませんでした。キーホルダーの写真を撮るのも忘れてました。という訳で写真のアップは明日以降、活動再開も明日以降。御機嫌よう。……これでいいのか月の締めくくり。


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