1999年11月上旬の日常

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1999年11月1日(月)

 あーあー、果てしない、夢を追い、続けーえええー……

 ……いや、何の意味もないんです。ただ歌いたかっただけ。

 一日半ほど能動的な作業を一切断って気力の恢復を目指していたのですが、何もしないでいるとそれはそれで疲れます。ともあれ体力は大分恢復しましたのでこれより完全復活。さあ溜まっている宿題を片付けてゆかねば。……ああ。今月はオフ会などのイベントはないので(もう一回、個人的な大イベントがあるが)、月うちにコンテンツの拡充を図らねば。

 昨晩のうちに山田風太郎『忍法関ヶ原』(講談社文庫)読了。最早贅言は不要にも思えますが、一応書評を書き始める……が量が量な為、仕事と読書の合間を縫って書くのは至難の業。という訳で公表は明日以降となります。どうぞご寛恕を。ソフトを変更してからアップロードに関しては融通が利くようになったので、今までのように書きかけが晒されることはありません。捜さないでね。

 朝から大雨のためバイク出勤は断念し、親の車に同乗した。仕事場までの短い距離を移動するだけで本のカバーに雨粒の染みが浮かぶ(因みに通常の装幀の上にバイト先から大量に分けて戴いているカバーを掛けてますので、本来のカバーが汚れることは少ないのでご安心を……って誰も心配しないか)ぐらいの豪雨のため、いつも暇を見ては行っている書店参りも午前中は断念。
 午後に雨が止んだのを見計らって出掛ける。本屋に寄る前に、まずCD屋へ。――書籍やCDで、発売日が休祝日になっている例が暫しあるが、あれって普通は前日入荷だよなどう考えても。でそこに協定とかいったものが絡んで、前日に出荷されながら「当日まで陳列してはいけない」という了解が生まれる。しかし、昨今のコンシューマーゲーム業界のように一部の流通業者が市場全体を掌握して発売状況を監視しているわけではないこれらの業界では、当然のように前日発売をすることで客筋を確保している小売店舗も数多あるわけである――その是非については論じない、というか深川自身恩恵を被っているので取り敢えず棚上げにしておくとして。本題に戻ると、つまり深川のいきつけのCD屋も前日入荷で即売り出しという店なのである。で、今月三日に待望久しい某女史のニューアルバムが発売される予定なのだが、普通であれば二日の昼頃入荷、けれど三日は祝日だから通常の出荷自体が一日前倒しになっていると考えられる――つまり、今日既に店頭に並んでいる、ということは充分にあり得るのでは、と思ったのだ。

 ……結論言ってまえば、なかったんだけどさ。だって二年近く待たされたんだよー? ちょっとでも早く聴きたいと願うのが人情ってもんじゃねーかー? ……まあ明日には間違いなく手に入る筈だからいいけどね、別に。しかし手ぶらで帰るのも癪なのでざっと渉猟。と、ふと政宗九さんがかなり誉めていたのを思い出し、以前から気に懸けていたこともあって衝動的に椎名林檎『本能』(東芝EMI)を購入。バイト先の本屋で定期購読の雑誌を戴いて帰還、すぐさまPCのCD-ROMドライブに挿入。
 すげえ。
 久々に表現力豊かな女性ヴォーカルに巡り会ったという気がする(宇多田ヒカルは……表現力はあるんだけど世界が狭すぎてまだ甘い)。詩の世界も流行の安易さに染まっていないし、三曲目のような知的な遊び心も垣間見せてくれる(ただ、この試み自体はかなり前に玉置浩二がシングルのカップリング曲で実践していた……逆のスタイルだけどね)。ホームページもあるらしい。ここ。深川はまだ見に行ってませんが、興味がおありならどぞ。なお発売元のHPはこっち。ringoをとっただけ。しかし私も填ってしまいそうです、このアーティスト。同時発売したらしいもう一枚のマキシシングル、明日にも買ってしまうやも知れません。

 リンクページに貼るのはちょっと先のことになりますが(他にやりたいことあるしー)、取り敢えずここで新発見サイト二つご報告。作家や評論諸氏自らの手で運営している電子出版販売サイトe-NOVELS。錚々たる面々が名前を連ねており、各々今後の刊行予定を麗々しく掲げておりますが、例によって法月綸太郎氏は新作予定すら明記しておりません――いえファンだから或る意味先刻承知の話ではありますが。何にしても、乱立する電子出版サイトの中でも初の試みであることは確か。しかも一部を除くと寡作な方ばかりだし、こうした形で新作・旧作が確実に読めるようになるのは読者にとって有り難い話です。今後の発展をお祈りいたしましょう。
 もう一点は、何故今まで気付かなかったのだEllery Queen Fan Club。間もなく二十周年を迎えるというEQFCの公式サイトでおます。深川個人としては前々から入会したかったグループ。Kashibaさんの日記で拝見するまでHPの存在すら知らなかった己が嘆かわしい。EQを愛する方は必見、興味のある方も是非是非一度覗いてみて下され。


1999年11月2日(火)

 昨日報告しましたサイト二つ、リンクページミステリ関連に追加いたしました。うーん、何だか混沌としてます。そのうちもうちょっと見易くしないと。

 例によって仕事の暇を見て本屋などを廻る。まずバイト先で定期購読誌と太田忠司『3LDK要塞 山崎家』(幻冬舎文庫)を購入。底本持ってる。でもまだ読んでない。
 ついでCD屋へ。この時間帯ではまだ件(あれでなくてね)のものは入荷していないと解っている。目当ては昨日触れた椎名林檎のほう。「本能」と同時発売したというマキシ、さもなければ遡って1st Album「無罪モラトリアム」(へんな言葉)を買うつもりだったのだが、どっちも長いこと品切れ状態らしい。ちょっと足を伸ばして、某ファッションビルの大手チェーンCDショップも探索してみる。ねえ。全然ない。「本能」は腐るほどあっても(しかし売上ランクは二位だ)旧盤は全く見当たらない。くそう。五日に仕切り直す。因みにこちらでは件のものが既に店頭に並んでいた。ジャケットを眺めているうちに。そのままレジに向かいたい衝動に駆られたが必死に堪える。既に行きつけの店に予約内金として全額支払ってあるのだ。ついでに同じフロアにある書店もざっと眺めて帰還。欲しいものもあったがバイト先のほうに置いてあったような覚えがあるので止めた。夕方再訪した結果、単なる錯覚だったが。

 倉阪鬼一郎『百鬼譚の夜』(出版芸術社)読了。私が初めて読んだ倉阪作品は『赤い額縁』だったが、あの奇妙な探偵役の由来が漸く得心できた。性格や造形に差違があるようにも感じたが、まあ許容範囲内でしょう。ただ、倉阪鬼一郎という人は「恐怖小説」ではなく「怪奇小説」の作家なのだな、と改めて思う。ダリオ・アルジェントを意識したという『黒い家』(……しかしつくづくホラー大賞に因縁のある人だ……)はそのイメージの喚起の仕方などで背筋を擽るものがあるが、他の作品はガジェットが効きすぎている所為か「怖い」という感覚を齎さない。初長篇として倉阪氏の一里塚であることには違いないが、今となっては代表作とは言えまい。しかし、職人的な組み立ての確かさは必見。相変わらず初心者向けではないと思うけれど。

 ともあれ、午後いちで中島みゆき『日 -WINGS』『月 -WINGS』(Pony Canyon)購入。これについて松本楽志さんとちょっとした企画を立てておりますので、今日はこの日記をアップしたあとひたすら聴き込む予定。なのでもしかしたら暫く音沙汰がなくなるかも知れませんが御了承を。


1999年11月3日(水)

 昨晩ぐらいから風邪気味になりました。薬を飲んだので体調は快復しましたが今ねむねむのだるだるです。という訳で日記の更新は明日。中島みゆきの感想も明日以降書きます。ごめん>松本楽志さん。一応言い出しっぺは私なんだが。

 目が醒めたので書く。と言っても、この日はほぼ一日眠りこけていただけだったが。昨晩眠る前ぐらいに風邪の兆候を感じ、一応カプセル剤を服用して就寝したのだが、朝から関節がしくしく痛み、無性に眠い。両親が休日だというのに所用で出掛けたあと、一人部屋で仰臥していた。午前中からこんな有様だったのがいけなかったのかも知れない。以降、昼食のために身を起こした以外は殆ど横になって、ぼんやりしたまま本の頁を繰っていた――こういう状況でも取り敢えず横に本がないと休まらないのである。丁度読んでいたのが高千穂遙『ダーティペアFLASH3 天使の悪戯』(ハヤカワ文庫JA)、そのあとあかほりさとる『源平伝NEO 第零巻 鎌倉』(角川スニーカー文庫)と軽めだったのが良かったようで。だがこれが次の芦辺 拓『殺人喜劇の13人』(講談社文庫)に移ると、遅々として進まない。本格ものになると文章に対する集中の具合が大幅に異なり、少なくとも病んでいてはまともに読めない道理だ。
 夕方ぐらいになると流石に横になってはいなかったが、相変わらず眠気が辛い――横になると夕食も食べ損なう、深夜のおかしな時間に目を醒ましてしまうなど悪弊がその時点で予測できたため、意地で目蓋を開けておき、某所で使うつもりの素材をちんたら作る。だがどんなに頑張っても12時を過ぎる頃には椅子に座っていることすら苦痛になり始めた。掲示板にちょっと書き込んで、更に上の一文だけアップすると、意識を失った。


1999年11月4日(木)

 まだ倦怠感が残っているものの、既に風邪の症状ではない。単なる怠け癖の発露だ。己に鞭打ち寒風吹きすさぶ中バイクで出勤。だがそうやって少しでも努力の跡を見せると、大抵仕事はないんだなこれが。昨日の日記を付けたあと(どうでもいいが最近「きのう」と打つと必ず「機能」と変換するのは何故だ。単独で変換すると「昨日」とちゃんと出すくせに。そして今は「機能」と出すし今は「昨日」と出すし今は(エンドレス))例によって買い物。何カ所か寄ったが購入したのは米山公啓『ロックド・イン症候群』(幻冬舎文庫)だけ。この作家、もうかなりの作品を上梓しているのだが、私の日頃訪問しているミステリサイトではあまり話題に上っていない。そうなると却って興味が湧くもので、文庫化を機に試しに読んでみることにする――いつの話なんだか。
 午後になってちょっと面倒な仕事。普段は出力作業にのみ従事しているのだが、ごく稀に文字のみ作成・出力させられる場合がある。で今日は、食品パッケージ裏面の成分表の作成を頼まれた。よく食品の包装などで、ミスした部分にシールを貼り付けて修正したものを目にすることがあると思う。要はその大元を作るのである。はっきり言って初体験だ。四苦八苦しながらどうにかそれらしきものを仕上げる。やっぱりIllustratorにもう少し馴染んでおくべきかも知れん。こういう場合にしか使えない技術であっても、だ。

 夕方からバイトである。バイトの前にいつものCD屋に寄り、Char『I'm gonna take this Chance』(せらりんしらす……もといPolydor)を購入。当ページ社交場で教えていただいたCharのお薦め盤。今現在BGMにしております(で一通り聴くと次に中島みゆきが来る仕組みだ)。ギターテクは言うまでもなく、いや確かにいい声だ。楽曲も古典的なロックの味わいを留めていて、尚かつ円熟の域。期待に違わず。
 ……バイトの話をしようとしてたんだった。
 バイト先には私にとってPC関連の師匠とも言うべき人がいる。この人は基本的にマック使いなのだがそれ以前にハードマニアでもあり、マックもDos/Vも手を入れまくっているようなお人である。んでその人が今日、私が店に顔を出すなりこう話しかけてきた。
「『忍法三羽がらす』ってなに?」
 ……………………。
 最近、マックOSが9にバージョンアップし、それに伴い同梱のインターネット検索ソフト(だったっけ?)『Sherlock』も使い勝手が良くなったとかで、早々と導入を済ませた件の方はものは試しと私の名前を入力してみたらしい。そこへ来て、今あちこちのページにプレMYSCON大宴会の感想がアップされ、一部の掲示板ではなおもホットな話題となっている。当然オークションでの一幕も報告されている訳で……。
 まあ、アドレスを伝えていなかっただけで、廻りの人間にはホームページを立ち上げたことは早くから報告済みだったし、見られて困るような記述も言動もしていないのだから、知られたこと自体は構わないとしても……いきなりだったから些か面映ゆかったのね。
 処で、その人は同時に、私がスパムメールに悩まされているとか何とか仰言っていた。今の処、全く覚えのない話である。とすれば――ネット上で私と同姓同名を名乗っているどなたかが被害に遭われている訳だ。
 ネット上に深川 拓が少なくとももう一人いることは、かなり前から知っていた。数年前からハイレベルなHPを作成されており(なんせタイトルが「WEB強化研究所」だもの)、当然このハンドルでの活動歴も私より遙かに長いと思われる(HPの更新などは滞っているように映るのだが……?)。ただ、活動領域が私とは異なっているので、格別害はなかろうと今までしらばっくれていた次第である。さて、ここで問題なのはスパムに悩まされているのがこの方なのか否かだが……いや、判った処で何の解決策も持ち合わせてないんですが。同姓同名の人が災難に遭われていると聞くと、やはり気懸かりになるものです。因みに、私のハンドル最大の特徴は、「拓」の綴りが実は「Taku」ではなく「Tuck」になっているところです。発音記号で見ると、Tuckの方が日本語での「たく」により近い発音なのですね。発見者だから優先的に使わせて貰っている訳で。なに、漢字じゃそんなもん判らんですと。……ご尤も。

 意図的に「話題の飛躍しまくる文章」というのを書いてみました。愉しんで戴けましたか?

 最後にもう一つ。先日からこそこそと探し回っていた某新書ですが、こちらを御覧になっているある方から「近所の古書店で見かけた」という情報を頂戴し、確保のうえ譲っていただける運びとなりました。いやー、書いておくもんだ。改めて、ありがとうございます。ところでどなたか鮎川哲也『白い恐怖』持ってないですか……いや、別にいいです。


1999年11月5日(金)

 最初に訂正ひとつ。昨日購入した米山公啓の作品名を書き間違えてました。『ロックド・ン症候群』ではなくて『ロックド・ン症候群』でした。とっとと直しましたが恥の記録を残しておく私。

 昨日一昨日の薬責めで撃退したかと安心していたら俄に寒気が襲ってきた。ので仕事がある程度片付いたところでひたすら安静にする。でも本屋には行った。山田風太郎『武蔵野水滸伝(上)(下)』(小学館文庫)の発売日だから。殆ど執念と化しております。

 昼食後に改めて薬を服用し、横になってやり過ごす。金曜日は相変わらず仕事が少ないのだが、こういう場合は有り難い。夕方頃には兎に角小康状態を恢復し、仕事場が閉まったところでとっとと帰宅――の前に、秋葉原の某ソフト店でCDを一気に仕入れる。うーん、最近音楽中毒気味だ。買ったのは懸念の椎名林檎『幸福論 (復刻Maxi版)』『無罪モラトリアム』(東芝EMI)、加えて吉田拓郎『THE BEST PENNY LANE』(FOR LIFE)坂崎幸之助『坂崎幸之助のJ-POP SCHOOL』(東芝EMI)。現代の歌姫と往時の大家(って吉田拓郎は現役だ)を一緒に買って聴く。詳しい感想を書こうにもまだ全部聴いていないんだが、取り敢えずここ暫く捜していた曲のタイトルが『歌舞伎町の女王』だということが判っただけでも収穫。ああやっぱり一生ついて行くわ椎名林檎姫。


1999年11月6日(土)

 結局昨晩は調子が今ひとつ出ず、集中力を欠いたままだったのでまたもや早々と就寝。それでも大体一時は過ぎる。私にとって普通の就寝時刻は三時。……それがいけない?

 ともかく、ここ数日やろうやろうと思いながら時間が足りないまま果たせずにいた大望、

年末の収入を当てにして
本を大量に仕入れる!!!

――を実行に移すため、バイクを駆って遙々八重洲ブックセンターへ……って結構近いな。生活領域が変わってから頻繁に訪れなくなったので気が付かなかったぞ。
 兎に角、購入予定に組み込んでおきながら1.近所に入荷しない 2.予算が足りない(というより、やばい)などの理由で見送っていた本をまず抱え込む。ジェフリー・ディーヴァー『ボーン・コレクター』(文藝春秋)泡坂妻夫『泡亭の一夜』(新潮社)の二冊がそれ。次に倉阪鬼一郎訳のT・S・ストリブリング『ボジオリ教授の事件簿』(翔泳社)を捜すが、発見できない。当サイトを頻繁に訪れて下さっている方は既にお気付きかも知れないが、今深川は倉阪鬼一郎さんの著書を読破しようとしております。山田風太郎忍法帖・芦辺拓作品の間隙を縫うように読んでおり、あと二冊で伝説の『鰐』を除けばコンプリートというところまで来た。しかし、言葉に関して拘りを見せる著者の作品を創作のみに絞って読むのもどうかと思い、せめて翻訳作品で手に入りやすいものだけでも読んでおこう、と考えた次第である。だが目を皿のようにしても視界の端にすら引っかからず、見付かったのはちょっと前の『カリブ諸島の手がかり』(国書刊行会・世界探偵小説全集15)のみ。店員に確認しても良かったのだが、他にも買うものがあるしもう三冊で充分に重いし、という訳で『カリブ諸島〜』だけ追加して翻訳書の棚を離れる。
 次なる目当ては……今更、とお叱りの言葉を頂戴しそうですが、柴田よしきさんの著書。読み始める前の参考にとホームページを拝見するようになり、あることの成り行きで掲示板に顔を見せるようになり、そのままずるずると来てしまったため、まだまともに読んだことがないことに改めて思い至ったのである。来月にはオフ会も開催されるようで、参加するつもりでいながら未だに大して読んでいないでは拙かろうと、この機に一気に購入するのである。尤も、別の切実な理由として、多作家なのに何故かハードカバーが多いというのもあったのだが。私のようにチェックしている作家の数が多く、興味の範囲も広い人間がこまめに読むには結構危険な小説家様なのである。ともあれ、ちゃんと読むのであれば今を置いて他にない、と感じ、まとめ買い。ハードカバーの最新刊『Miss You』は……あかん、帯が破損しとる。そういう理由で忌避する自分もどうかとは思うが厭なものは厭なんだい。なので奥付を参考に、昨年刊行されたものを選って腕の束に加えた。『月神の浅き夢』(角川書店)『フォー・ディア・ライフ』(講談社)『ラスト・レース 1986冬物語』(実業之日本社)の三冊。何故昨年限定かというと、古いのを買うと「既に文庫化している」「読む前に文庫化してしまった」という悲しみに見舞われるケースが多いからである(買った時点で古い作品は、どうも油断して読むのを先送りにしてしまう悪い癖がある……というか積読四桁強だし)。
 さて、以上が青写真通りのラインナップである。他に何かめぼしいものは……と思った処で、ふと手許の本の総額をざっと試算してみる。
 …………………………………………。
 五桁を越えると途端に腰が退けてしまうのが小市民的と言おうか何と言うか。あと二、三冊ぐらいなら許容範囲だ! と思いながら結局レジに足を運んでしまう。まあ、これでまだ欲求が鎮まらないようなら、また後日考えてみることにしよう。
 その後一旦店外に出てリュックに本を仕舞うと、今度は五階の文庫・新書フロアへ。昼飯の時刻も近いので、柴田よしき『聖母の深き淵』『少女達がいた街』(ともに角川文庫)だけ見繕って、ひとまず退却。しかし本当にリターンマッチやるかも。

 まだ不如意な体調を慮って一眠りしたあと、夕方にここまで日記を書いた処で一旦アップしてしまうことにする。まだ『芦辺倶楽部』のパーツが作成途上なのだが、その前にイラストを数点書き上げてしまうことにしたのだ。何せ、トップページの娘が十一月にもなってあの格好というのが、流石にいたたまれなくなってきたので、いい加減引退させてやろうかと思い立ちまして。加えて、「森江春策浅見光彦化計画」にもそろそろ本腰を入れなければならない(何故俺が荷担してるんだ)時期に来たようなので。という訳でこれからお絵かきします。……ああ、その前に机を片付けなければいけませんね。はあ。

 ……それより何より、いつ私は部屋を片付けるんだろう。近いうちに数日ネット断ちして(こんな言葉を使わなければいけないぐらい生活に溶け込んでるんだな既に)プレ大掃除をせねばなるまいぞ。

 久しぶりのお絵かきなので、いきなりケント紙に下書き、という訳にはいかない。まずは反古を使ってラフを描く。
 ……小一時間ほどのち。大凡の雰囲気は掴めたようなので、作者にお伺いを立てるため、ラフを取り込んだものを一時的にプロバイダに投げてみた。これ。完成品をアップした暁には消してしまうと思うので見るならお早めに。即ち生もの。


1999年11月7日(日)

 今昼間の12時半。まだ日記に書くようなことは何もしてませんが一点のみご報告。何故か第二掲示板を設置しました。ちょっとした事情があって試しにT-CUPの掲示板をレンタルしてみたんですが、使い道が何も思いつかなかったのでそのまま第二掲示板にしてしまいます。本掲示板(社交場)はアクセスしづらいとか使い方が馴染まないと仰言る方はこちらを御利用下さい。ただ、こっちは機能的な理由で常時書き込みをチェックできる訳ではないので、本掲示板以上にレスが遅れる可能性もありますので御了承を。話題の傾向など今の処何にも考えていないので、好きなように使って下さい。

 最近、某掲示板をROMしているのが辛くて仕方ない。折角本筋に戻ったと思ったらまた某氏が以前にも増して意味不明なロジックを駆使して場を歪ませている。あの人物は最早自分が「荒らし」同様の仕儀に出ていることを自覚していないんだろうか……してないんだろうな。いっそ暫く前の発言から話題の推移を再検証して、某氏に御自身がどのくらい他人の発言や御自身の発言を歪めているのか実証してやりたい衝動に駆られているのだが、それであの傍若無人ぶりが御しうるとも思えないし、私のような部外者がしゃしゃりでることで常連の皆さんをこれ以上困惑させるのも拙かろうと結局足を留めている。……しかしなあ。枝葉末節に拘ってしょっちゅう議論を停滞させる輩がいるから、純粋に議論が楽しめないし、あの現状は精神衛生上甚だ良くないんだが……ああ一人堂々巡り。

 それはそうと、写真を数点追加。猫写真館にNo.16No.17No.18を加え、あと伏線を張ったままなかなかアップしなかったいしいひさいちデザインのホームズ&ワトソンキーホルダーの写真、漸く撮影しましたのでここにアップします。重い? ごめんねー。

なかよし?

 因みに一緒に下がっているのは軽井沢のセンセぬいぐるみ。行き場がないからドアの取っ手に下げられている。

 ここから通常の更新部分。五月雨式にアップしていると何処から何処までが更新なのか自分でもよく解らん。
 昨日のことになるが、夜PCに繋げて使っていたヘッドフォンを壊してしまった。二、三週間ほど前から耳当てのスポンジが千切れて買い換え時を匂わせていたのだが、うっかりミスで連結部分を折ってしまい、まあ誤魔化し誤魔化し使えないことはないけれど、ちょっと情けない状態になってしまった。昼飯をどうしようか、と母親と話しているときに(今日親父はゴルフで留守)、ふと上野までヘッドフォンを見に行くついでに某ファーストフードでも(その店は深川家の最寄り駅近くに支店が存在しないのだ)仕入れてこようか、と私が言ったら、たまには散歩がてら歩いていくか、という展開になった。で母と一緒に上野まで徒歩で向かう。三・四十分程度で着くから、いい運動の範疇である。道中、そこらの猫を撮していこうと思ったのだが……迂闊にも私のデジカメはバッテリー切れであった。仕方がないので母の所持する普通のカメラで何匹か撮影する。最近この辺の野良が減った、そんなことを話しながら。だから撮影できたのも二、三匹に過ぎない。けれどそうして発見できた彼等はおしなべて如才がない。愛想こそ振る舞いはしないが図々しく擦り寄ってきたり、誰が近付こうが抱き上げようが無抵抗だったり。そういう奴は一様に図体もでかいが、だからこそこうして人の多く訪れる日曜日にも平気で大きな顔をしていられるのだろうか。上野でヘッドフォン(ちょっと奮発して、密閉型のものにした。しかしヘッドフォンって結構高い……)、昼飯を仕入れ、あちこち渉猟すると、帰りは電車に乗った。やっばり雑踏に出るとそれなりに疲れる。

 ……えー、これからお絵かきします。中島みゆき……まだ終わってない。平身低頭。明日仕事の隙見て書くわ。……書けるのか俺。


1999年11月8日(月)

本日の一曲:高田由美「皇女さまとお呼びッ」
 ――ってそれは別のサイトの日記だ。どうでもいいが思わず一昨晩ぐらいからDVDで通して見直してしまったではないか。

 ……はて、先日からちょっと考えていることがひとつ。自分の処の掲示板にやたらアクセスしづらく、またT-CUPで借りてきたものを公開したはいいけれど、御存知の通りあそこはトラブル発生率が高い。また改めてレンタル掲示板を捜しても、契約とか支払とか管理とかで新しいことを覚え直さなければいけないのが些か鬱陶しい。ならば……というわけで、今ちょっとフリーのCGIを漁って、自分のアドレス内部で運用してみようかと思っているのです。その場合懸念となるのは(……用法間違ってないよね?)、ホームページ容量の残量と、プロバイダで内部に設置したCGIの動作をサポートしているのか否かだ。無論自己責任においてやるんだから、CGIそのものについてサポートして貰おうという意味ではなく、CGI専用でない通常のサーバーで、フリーのCGIがちゃんと動く環境が整っているのか、という意味である。この辺が未対応だと、勉強する意味は全くなくなってしまうのだから――未対応の場合は、余所のプロバイダと契約してそちらに設置するという方法も……ってレンタル掲示板と一緒やんそれじゃ

 メディアファクトリーが創刊したコミック誌コミックフラッパーを試しに購入してみる。……んー、あんまり目新しくない。竹本泉目当てに読み続けるのも別に悪くはないんだが――どうせ単行本は買うんだしねえ。もうちょっと気概のある新人の起用などがあれば、積極的に読む気にもなるんだけど。柳田理科雄氏原作のが、まあ楽しみと言えばそうなんだが。
 今日は雑誌ばかり買った日でした。主にPCゲーム誌。某氏のソフトはクリスマスイブね(本当かいなC誌)。くすくす。落ち着かない年末年始をお過ごし下さいませ。あと、TECH-Winでゲームサーバなどを兼ねたWebコンテンツを今日から開始したらしい。最近個人的に気になるつボイノリオ氏もネット上でDJをやるような話。おお、これは芦辺さんにお伝えせねばっっ――と思ったのだが、肝心のアドレスが載った本誌を職場に置き忘れてくる始末。そんな訳で、明日の深夜更新分でリンクしようと思います。結構面白そうなコンテンツなんですけど、何故か母体である筈のアスキーのサイトからリンクしてないのよ。……それとも、雑誌発売に合わせて始動するつもりが遅延しているとかいった内側の事情があるんだろうか。

 実は結構仕事がちまちま入った日でした。その為懸案はひとつも片付けておりません。うん。だからこれからまたお絵かきなの。今週中ぐらいに一枚絵を三つと、壁紙とかアイコンとかのちまちました素材をふたテーマ(古い店屋のようなものと映画風のものを作るつもり)作っておきたいの。そして例のみゆき嬢の企画も取り敢えず始めたいし(ねえ>松本さん。そっちも大概忙しそうだが)。だから書評の更新は多分無理。加えて来月は短編二本は(うげ……)仕上げなきゃならないだろうし。ああ、肉体と時間が倍欲しい。


1999年11月9日(火)

・店頭確認 鮎川哲也・編「本格推理15 さらなる挑戦者」光文社文庫 本体価格686円
 何故か猫写真。というかこれも別サイトの真似やないか。しかもこれ、わざわざバイト先の本屋に頼んで早めに入荷して貰った奴やないか。つまりまだ一般には出回ってない。大手とか早出しの店で10日の昼頃か? ……なら大勢に影響ないか。いいや。兎に角ちゃんと出ますよー買ってねー読んでねー。

 ……以下愚痴。いや、乗せていただいただけでも有り難いんですがね。……鮎川さん。
 えー、もしかしたら本格推理に掲載されているアドレスからお出で下さる方もあるかも知れませんので、未読の方には意味不明の話でしょうが、念のためここではっきりとお断りしておきます。
 私、今回は入選作一編しか投稿しておりません。
 掲載こそ二度目ですが、投稿については第一回からの常連です。が、一時期に二編以上投じたのはたった一回、それも二、三年前に二編を応募しただけなのです。毎年年末になってから煩悶の挙句にひとつのからくりを案出するのが精々なのです。従って、他の作品はどんなんだ? とかHPで公開しないのか? などとか魔が差しても仰言らないで下さい(今後、HP用に書き下ろすつもりはあるんですが)。
 それにしてもなー……鮎川さんのコメント、どこかずれてるんだよなー。文章も後半が変だし。タイトルが「本格ミステリー」には似つかわしくないもの、という指摘は覚悟していたんだか(親しい人にも、題名だけは首を傾げられました。しかし、結局最後まで譲りませんでした。その訳は、あれを娯楽小説として読んでいただければ解るかも知れません。解らなくても私の責任だし)、その指摘の文章が変。文意は解るのだけれど、そのまま捉えると私の小説が本格ミステリーではないように読めてしまう。以前、ネット上の書評家のどなたかが「編集部は鮎川哲也の解説をちゃんとチェックしているのか?」という疑問を投げかけられていましたが、実の処私はそれほど酷いものだとは思っていませんでした。ですが、いざ我がこととなってみると……うーむ。そんな訳で、目下嬉しいながらも些か脱力中です。

 ここからは愚痴ではないです。ネット上ではかねがね「本格推理シリーズは15巻で終り」という噂が流れていましたが、半分本当、半分嘘です。鮎川哲也氏が編集長を務める「本格推理」シリーズは本巻で完結、その代わり2001年より鮎川氏が監修に退き、二階堂黎人氏が編集長を後継する「新・本格推理」シリーズがスタートするそうです。締切は来年九月末、枚数上限も従来の50枚から100枚になるとのこと。また、散発的に刊行されていた「本格推理マガジン」の方も、以後は他ならぬ芦辺拓氏が編集長に就任して継続する模様です。「硝子の家」などの高評もあって、このまま立ち消えになってしまうのは勿体ないと感じていましたが、これで一安心。暫く間が空くようですが、首を長くしてお待ちしましょう。継続する限り私も投稿し続けます。載るかどうかは兎も角として。ただ、100枚程度の方が私本来のペースに近いから……などと言うとあとで墓穴になるなきっと。自粛。ともあれ、15巻はあくまでひとつの区切り、という形になるようです。

 話は変わりますが、昨日触れたTECH-WinのWebコンテンツのアドレスはwww.techwin.ne.jpでした。まんまやんけ。捜さなくてもよかったわこれなら。今「つボイ@ラジオ」を聴いております。面白いですなかなか。つボイ氏がすがやみつるさんなみのPC歴を保有しているとは初耳でした。その辺りの体験談が第一回の聴きどころ。但し、モデムの転送速度56kb/s必要で放送時間が一時間ありますのでそれなりに覚悟を決めてから訪れて下さい。

 先週金曜日に購入した吉田拓郎のベストアルバム、ジャケットのCDを留める爪の部分があっという間にゆるゆるになってしまった。最初はきつすぎてディスクが歪みそうなほど力を入れないと爪から外れない始末だったのが僅か四日でこの有様である。あまりにも酷いので発売元にクレームつけようと思ってスリーブその他を矯めつ眇めつする――が、何処にも連絡先の電話番号が書かれていない。そう言えば書籍やゲーム類はわりあいちゃんと不良品の取り替えなどに対応した電話番号が示されているものなのだが(ただ、ゲーム業界ではこの辺が明確になっていないようで、酷いところだとサポートの番号すら書いていない場合もあるのだが)、CDは住所のみで済ましている例が多いようなのだ。作りは単純なのだからそうそう問題も発生し得ないという理屈もあるが、こういうときこういうとき書状でしか受け付けないという姿勢も何か間違っているような気がする。
 兎も角、このまま放っておくとディスクも傷むし不愉快が残るだけなので、販売店に連絡して交換して貰う。手続きはあっさりと済み、クレームも販売店の方からつけていただく手筈となった。「申し訳御座いませんー」と言われるが、責任が店にないのは百も承知だから却って決まりが悪い。ついでに上の階で二枚ほどCDを買って帰る――こういうのも貧乏性というのか、折角来たんだから、と言って何かしら捜してしまうのである。本多俊之 with Chick Corea『Dream』(東芝EMI)Al DiMeola『Elegant Gypsy』(Sony Records)。更にもう一枚、未知の日本人女性ジャズシンガーの最新盤を衝動買いしかかる(アオリが糸井重里だ)が、辛うじて踏み止まった。次の機会ね(懲りてない)。

 昨日ぼやいていたCGIの件、プロバイダに確認してみたところ、やはり使用できないと判明。むー。結局フリーのCGIに対応したプロバイダを見付けるか、レンタルもので用途に適うところを捜すしかないのか。――まあそれはそれとして、契約してある掲示板(社交場ね)が自分の処からアクセスしづらい現状については御注進しておき、ついでにホームページの容量拡張を申し込んだ。後日郵送で届く申込用紙に必要事項を記入するのだそうな。面倒臭いやんか、と突っ込みたくなったが堪える。うーん、最近電話越しだと妙に攻撃的な私である。しかも慇懃無礼だし。
 さて、ではCGIはどうしようか、とまた悩む。掲示板で戴いた情報ではニフティでフリーのCGIの動作が可能なようだが、合併の所為であちらもアクセス重くなっているような話があるし。どなたかフリーのCGIが使えて使用量も安く済むプロバイダ御存知の方いらっしゃいませんか。

 私の本業は毎週水〜金曜日辺りに仕事が集中する嫌いがある。その為、木曜日の夜にバイトが入っているのは精神的にも体力的にも些かしんどい面があった。そうバイト先の社長に相談したところ、ローテーションを調整して戴けて、今週から火曜日の夜を担当することになった。就職する以前は凡そ五年間の間請け負っていた時間帯なので、さほど苦労することはなく滞りなく終了。しかし、これを書いている現在、困ったことに私はもう一週間が終りかかっている気分なのである。あかん。リハビリに少なくとも一月は必要かも。


1999年11月10日(水)

 最初に更新連絡。TECH-Webリンクページゲーム関連リンク及びその他リンクに追加しました。いちいち別ウインドウで開かれるのが鬱陶しい方はそちらからどうぞ。

 しかし前旬に続いてまたテキスト量の多い十日間でした。特に昨日。一日の文章量MAXを記録したかも知れない。これだけ一日で書けるならもっと創作もてきぱき出来そうなものだがそうそううまくはない世の中。ページ全体で見ると、画像まで入ってるから読み込むだけでもえらい手間かも。ここまで読んで下さった貴方、ありがとうございます。ここまで一気に読んだという貴方……他にすることないんですか。

『本格推理15』における鮎川氏の記述の怪について、念のために編集部の方に問い合わせてみました。「同時に投じられた二作」云々の行は、以前送った作品などが絡んだ誤解だったようです。しかし紹介文末尾近くの奇妙な記述については、出来れば次回以降直していただけないかとお願いしました。鮎川氏の信念や本の内容が解っていれば単なる記述ミスと察せられますが、まあ誤りは正すに越したことはないでしょう、きっと。

 今日は早川書房の本ばかりを購入。グイン・サーガの最新刊にダニエル・キイス文庫をひとまず一冊だけ、加えてレイ・ブラッドベリ『瞬きよりも速く』。ブラッドベリは中身もさることながら装画の須藤真澄がポイントだったりする。最近のエッセイまんがタッチで描かれたらどうしようかと思っていたが、初期の「電気プラン」などの扉で使っていた主線の淡い水彩画タッチを用いている。にゃるほど、これなら確かに幻想的。

 ――それはそうと、ホームページを公開して今日で二ヶ月。来訪者総数も2400を越えました。実に毎月延べ1200もの方々に訪れて戴いている勘定になります。有り難いことです。今後とも何卒御贔屓に願いますです。二ヶ月持続の記念に、プロバイダにホームページ増量の申し込みをする予定です。って何の関係もない。

 ……しまった。また「天地無用」ぶっ通しで見てしまった……


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