2001年7月中旬の日常

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2001年7月11日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010711~.htm#Day11

 黙々々々々々々……

 本日のお買い物
1,ウラジーミル・ナボコフ『ナボコフ短篇全集II』(作品社)
2,早川書房編集部・編『星界の紋章フィルムブック3』(ハヤカワ文庫JA/早川書房)
3,『怪 Vol.0011 リニュウアル号』(角川書店)
4,『ユージュアル・サスペクツ』(Asmik東芝・DVD Video)

 ああやっと入荷されたよ2。慌ただしくて未だに一巻読みおえてませんが。後半約十本が英語、それ以外がロシア語によって執筆されており、そういう作家の特殊性故に今日まで総括的な作品集が刊行されていなかったのがナボコフの特徴らしい。その後、『ロリータ』の成功から長篇のみ手掛けるようになり、実はこれで全集も完結なのだそうだ。結構波長が合うので楽しみだったのだが。
 2は最早趣味の段階に達しております。買う方も、たぶん書く方も。巻末収録の原作者書き下ろし短篇はトライフ提督が主人公なのだが、必ずしも星界シリーズの世界観は必要でないという作品。でも出来は悪くない――ただ、このフィルムブック収録の短篇はいずれも妙に趣味が悪いのはどうしてだろう。
 3は判型から変更しての再始動。やっぱり刊行時期は不定期に近いようだし執筆陣はほぼ旧来通りだし、で思っていたほど極端な変化は窺えなかったが。
 ダークなものが読みたい観たい、という欲求が加速しているらしい。何かDVDを一枚購入したいと思ったときに咄嗟に頭に浮かんだのがこれ。……とりあえず、短篇執筆が終わるまでの楽しみに取っておこう。最大のお目当ては、目下お気に入りのベネチオ・デル・トロなわけなのだが。

 ……何故かね、亞里亞が見つからないんですけど。一番コアなところを避けて通っているからかも知れないが。


2001年7月12日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010711~.htm#Day12

 まともに仕事のある木曜。待機時間が殆どで客観的にはさほど働いているように見えないのもミソ。
 午前中の空き時間に、MDを届けに秋葉原まで。ついでに本を何冊か探してくるつもりだったのだが、いつも寄る某ブックタワーは11時にならないと開店しない。お渡ししたあと時間が余るがどうしようか、などと考えていたのだが結局立ち話できっちり埋まってしまった。半信半疑だった企画がなんだか実現の気配を帯びていることにちとびびってみたり。いや、やる気は大いにありますよー、しかしそれはそれとして、ね。
 その後某ブックタワーにて下記の2、3、7を一階で購入し、上の方で亞里亞を発見する……が、一冊だけだと余計に気恥ずかしくて買いづらいと判明。でも大人買いはもっと難しそうだ(予算的にも)と自覚。そもそも一発ネタのために本を買うのはそろそろ止めた方がいいと思う俺。
 以後はデータの到着を待ちながらやはり黙々と執筆にかまける。最大の障害はこの熱気だ。

 本日のお買い物
1,阿刀田高・選『ますます奇妙にこわい話』
2,鮎川哲也『ペトロフ事件』
3, 同 『人それを情死と呼ぶ』
4,山田風太郎『山田風太郎ミステリー傑作選4 悽愴篇 棺の中の悦楽』(以上、光文社文庫/光文社)
5,小野不由美『華胥の幽夢(ゆめ)』
6,真保裕一『密告』(以上、講談社文庫/講談社)
7,ジェニファー・イーガン『インヴィジブル・サーカス』(BOOK PLUS/アーティストハウス・角川書店)

 とうとう刊行の鮎川作品復刻シリーズ。2は鬼貫警部初登場長篇、3は中期の名作。来月以降も『準急“ながら”』、『戌神はなにを見たか』、『死びとの座』が引き続き刊行予定となっている。相変わらず『黒いトランク』が含まれていないのが気懸かりだが、これでまた入手困難作が減るというだけでも有り難いことである。
 5は十二国記シリーズ初の短篇集。最近立て続けに短篇を二作発表したのは、未収録の旧作を単行本に纏めるべく、その間隙を埋めるために急遽書き下ろされたものだと捉えていたのだが、初出一覧を見ると前述の最近発表作を除くと全て未定稿へ加筆改稿を施した、事実上の書き下ろしとなっていた。意外。というかここ暫くのハイペースに却って危惧を抱いてしまう、というのも色々と毒された思考ではある。
 7はキャメロン・ディアス主演の映画『姉のいた夏、いない夏』の原作。発刊当時に店頭で見たときから興味を抱いていたのだが、映画公開となった今日になって、他に急いて見たいものがないと気付き、俄に原作を読む必要を感じたため慌てて購入した次第。しかし、昨今邦題というのは原作のニュアンス故に付けられないか、付けられても失敗作である場合が殆どの中で、映画を観る前の印象でのみ言うなら本編は出色の出来。原題はこの原作と同じ『The Invisible Circus』だが、字面だけならばこの邦題の方が遙かに雰囲気に溢れている。実際、私が見に行こうと考え始めたきっかけも、このセンスある邦題だったのだが……しかし、原作は昨年夏の発行なのに、私が入手したのがまだ初版だというのが、ちょっと、ちょっと。


2001年7月13日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010711~.htm#Day13

 何とかいけそうだ。……これが終わると次は長篇地獄なんだが。

 本日のお買い物
1,ブライアン・オールディス『スーパートイズ』(竹書房文庫/竹書房)
2,小池田マヤ『すーぱータムタム完結編』
3, 同 『…すぎなレボリューション(5)』(以上、ワイドKC Kiss/講談社)
4,片瀬二郎『スリル』
5,真崎かや『声を聞かせて』(以上、EX NOVELS/ENIX)

 1はスピルバーグ監督の新作『A.I.』の原作であり、共同脚本を執筆した著者の短篇集――の抜粋。4月頃に刊行された同書の全訳から13篇をセレクトしたものだそうな。あまりに近い時期に文庫版を刊行するが故の配慮なのだろうか。意図はよく解らないが、何となくハードカバーよりいいような気がしてこちらを購入。
 2は、芳文社から刊行されていた小池田マヤ氏の代表的シリーズ待望の完結編。何故前の巻から何年も空いて、版元を移して刊行されたのかには言及されていなかった。当然と言えば当然。しかし、個人的にはこれと3を同時に刊行するのはどうかと思うのだが。元々共通するシチュエーションが多いところに、今回のエピソードは特に質的に近しい部分が見られる。ファンには既にある種の理解があるだろうからいいとしても、どちらか一方の作品にのみ触れていた読者はどう思うのやら。
 4と5はENIXエンターテインメントホラー大賞受賞作。こちらも内容は措いといて、著者よりも装画担当者(藤田新策氏)のプロフィールの方が行数が多いというのはどうなんだろう。加えて、新書版で箱付き、という装幀もちと読者を制限している気がするのだが。内容とは別のところで問題を感じずにはいられないのであった。


2001年7月14日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010711~.htm#Day14

 ……終盤まで来て別の展開を思いつくというのも凶悪だ。あとから思いついた方が説得力があるようにも思えるのだが前者も捨てがたく、結局双方同時に書き進める。んなことしてれば終わるはずもなく。

 そんなわけで映画鑑賞は捨てたのだが、職場から持ってくるつもりだったものを忘れていたことに気づき、取りに行きがてら急テンポで買い物を済ませる。今日発売するはずの定期購読誌が何故か遅れていたりと予定外のことも多く、実際に買ったのは……コミケのカタログだけ。執筆の手を休めるわけにはいかないので細かいチェックは後日として、ざっとお知り合いとか前回チェックしたところの所在を調べる……にしても、去年から毎日行かざるを得なくなっているのはどういうことだ。段々増えるし。冬はとっても楽に買いに行けたところが今回は恐ろしく難しそうだし。

 一眠りし、それでも午後五時半を目途に執筆をひと休みして、電車に乗って渋谷まで。柴田よしきさんのHP『space shibatay』オフ会に参加するのである。場所は、ラブホテル街ど真ん中のもんじゃ焼き屋。経過の詳述は省く。一口に言って、熱かった。暑いで済むレベルではない。空調はついているがどーも家庭用と大差のないレベルのようで、換気扇フル回転でも熱い熱い。最終的に窓を全て開け放った方が涼しかったり。殆どサウナも同然の熱気にこれまでになくビールの摂取量も多くなったが、途中で「氷の入っているウーロン茶の方が得だ」と気付いて切り替える。そういう判断が先に立つほどに熱いのだ。汗だくになりながら喰ったりお話ししたりの三時間半であった。
 息抜きになったことがなによりなのだが、他にも収穫はあった。まずある方から近藤等則、ビル・ラズウェル、坂田明らが十年前に収録したコラボレーションアルバムの見本盤を頂戴し、更に愛川晶さんにお願いし予め持ってきていた著書にサインを戴いた――実は日中職場から持ってきたのはこれ、『鏡の奥の他人』(幻冬舎)だったりする。
 終了後は、その後もスケジュールぎっしりな柴田さんの都合もあって全体での二次会は設定せず三々五々散り散りになる。私はその中で最大人数の一団と共に喫茶店に入り小一時間ほど諸々雑談を楽しむ。元々女性率の高い柴田掲示板オフ会だが、私は何故かこーいう場でただ一人の男性となることが多い。別に誰も咎めないし誰かがそれを意識している風もないからなのだがもしかしたら問題あるんだろうか。話題は、それぞれ今持っている本(全員何かしら携帯しているあたりは流石と言えよう)とか、テレビ業界のこととか。
 終電が出る前ぐらいを目途に、宿も決めずに遠方から出てきた娘をメンバー一人に押しつけて、路線ごとに別れて帰宅。愉しかったが私は帰途も含めて今月だけで半年分くらいの汗をかいたような気がする。いや、それは疲れるよ。というわけで、執筆も大いに佳境ですが就寝までまったりと過ごします。明日はただひたすらに。頑張りますので取り敢えず今夜は勘弁してください>関係諸氏。ふにゃ。


2001年7月15日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010711~.htm#Day15

 ――っしゃあ、制限枚数ジャストっ!!!!!

 という訳で、明日出勤後に簡単な推敲及び必要な指定を添えてお送りしますので、今夜は眠らせてください>担当氏――現在午前3時。ちなみに終盤の展開はあとになって着想したものを採用してます。

 昼食時にだけ外出する。行き付けの蕎麦屋に向かったのだが臨時休業で、仕方なく環七近くにある某和風レストランチェーン店舗に入る……が、ここのサービスが劣悪。父が吸うので喫煙可能な座敷席に通して貰ったものの、どうやら店員が揃ってそのことを忘れていたようでお茶もおしぼりもなかなか出てこない。頼んだものがなかなか来ない。来たと思ったら、あとから通された別の家族のテーブルに行きかかる。トドメに、食後に頼んであったかき氷がいつまで経っても来ない、それどころか平らげたあとの盆を下げようとする気配すらない。父が一服する頃合いに、かき氷は諦めて席を立った。レジでかき氷のことを告げると、「今御用意している最中でした」と言うが……。
 よくよく観察してみれば、殆どの店員はただ厨房と店内を右往左往しているばかりで、フロアに全体の空席・食事状況を監視している人間の姿がない。元々見通しの良くない座敷席というものを用意している以上、きちんと全体を把握できる人間がいなければサービスが行き届く道理もないだろうに。最低限のマニュアルすらも、どうやら用意されていないらしい――或いは、それすら達成できないほどに人員が削減されているか。いずれにしても、味はそこそこなのに勿体ないことだ。


2001年7月16日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010711~.htm#Day16

 昨晩書き上げた原稿を、出勤後描写・誤字脱字の点検を行い担当氏に送信する……が、何故かうまくいかない。午後にちょっとした確認依頼のメールを戴いたので返信しようとしたが、今度は一度として送信できなかった。ノートパソコン添付のメールソフトではなく、自宅のPCでも(惰性で)常用しているOutlook Expressを使ってみるが結果は同じ。いずれも原因は「メールアドレスが間違っている」というもの……んなわけないだろう。午前中に原稿を送信したアドレスだぞ。
 なお、あとになって原稿に幾つか当て嵌めるべきパーツを当て嵌め忘れていたことに気付き、結局これから若干の改稿・加筆作業である。ふう。

 本日のお買い物
1,柴田よしき『宙都 第一之書 美しき民の伝説』(TOKUMA NOVELS/徳間書店)
2,藤田和日郎『うしおととら(7)』(少年サンデーコミックスワイド版)
3,皆川亮二『ARMS(18)』(少年サンデーコミックススペシャル)
4,あだち 充『いつも美空(5)』
5,青山剛昌『名探偵コナン(33)』(以上、少年サンデーコミックス/以上、小学館)
6,赤松 健『ラブひな(12)』(マガジンKC/講談社)

 1は待望の『都』シリーズ第四作、しかも四部作だそうだ。
 ……あとは特にコメントすることがない。

 昨日の昼食時に食べられなかったのが相当悔しかったらしく、仕事が引けてから知り合いの喫茶店に行ってかき氷を食す。幸せ。

 ショック。立東社倒産・『Jazz Life』誌休刊。今後ジャズ関連の情報はどこから仕入れればいいのだーっ! 他に何誌か専門誌があるが、一番性に合っていたのにーっ!

 ……あれほど、ちゃんと書いておけと言ったのに……。


2001年7月17日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010711~.htm#Day17

 終わったと思ったが、そう言えば世の中には確認作業というものがあるのだった。長い。長いぞ。
 一方、長篇の方はすぐに頭の切替が利かず、気晴らし或いは逃避のために別の作品も書き起こしてみたりする。ネタが山積みなのよねー。オチまで決まっていないものをネタと言っていいならの話だが。

 昨日のメール送信失敗の件、原因はサーバ側のスパム対策に起因していたらしい。契約者が大量のスパムを送れるような状況を抑えるために、最近はどこもメール送信をする前に一度受信手続を行わなければ承認が出ないように設定しており、こちらが受信手続をするたびに回線を切断していた、送信・受信を同時に行うときに必ず送信から行っていた、といった理由から、失敗を繰り返していた模様。しかし、そうなるとやっぱりメールソフトに不満を感じてしまう。こういう対策は結構昔から訴えられていた筈なのに、それに対応して送受信同時実行の際の設定項目を用意してくれたっていいようなものだと思うのだが。もしそういう設定項目があるのだとしたら、頼むから解るところに置いて。お願い。繋いだり切れたり送信断られたりで、既に今月幾らぐらい電話代がかかっているのか解らねーよう。

 本日のお買い物
1,伊島りすと『ジュリエット』(角川書店)
2,乙一『天帝妖狐』(集英社文庫/集英社)
3,川崎ヒロユキ『サクラ大戦〜豪華絢爛〜』
4,水野 良『魔法戦士リウイ(8)』(以上、富士見ファンタジア文庫/富士見書房)
5,あずまよしお『ぼ・ん・ど(3)』(マガジンKC/講談社)
6,猪熊しのぶ『SALAD DAYS(15)』(少年サンデーコミックス/小学館)

 1は今年の角川ホラー大賞受賞作。これは期待していいかも……ってもまだ読めません。いつまで続く泥沼状態。
 5はチェック洩れしてました。410円でも痛いものは痛いぞ。デッサンの確かな絵柄で、ほんわかとしたでも不条理気味なコメディ漫画。扉絵に惹かれて一巻から買っているが、結構好きなのです。

 嬉しいニュース。今年度の直木賞は藤田宜永氏『愛の領分』。奥方の小池真理子氏から遅れること数年、遂に史上初の直木賞作家夫婦となった……本質的にはあんまり意味はないんだが。東野・真保・奥田はまだ幾らでもチャンスがある――と書いてふと不思議に思うのは、そもそも直木賞って既に定評を得た作家に与えられるための賞ではなかったのではなかったか。ま、いいけど。
 悲しいニュース。話としては昨日のことになるが、岩川隆氏が死亡。各種のルポルタージュで知られ、氏の『殺人全書』を読んだというミステリ愛好家は多いだろう。しかし私にとっては、幾つか存在する座右の書の一つ『どうしやうもない私 [わが山頭火伝]』の著者として惜しまれる存在だった。放蕩の果てに出家の道を選んだが、酒にも性欲にも生涯抗いきれず旅の中で命を磨り減らしていった種田山頭火の姿を、偶像化せず最後まで一個の人間として愛を以て綴った名著。が、いまbk1で調べたが登録されていない辺り絶版になっているのかも知れない。勿体ない。あらゆる意味で勿体ないと思う。


2001年7月18日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010711~.htm#Day18

 5分予定より長かった所為でタイムテーブルが崩壊したらしい。で待機残業七時半頃まで。その間に、まだ全体の繋がりが頭に戻ってきていない長篇を無理矢理再開させるがその方が早く書けているように感じるのは何故だ。

 本日のお買い物
1,藤田宜永『愛の領分』(文藝春秋)
2,北森 鴻『共犯マジック』(徳間書店)
3,エドワード・D・ホック『夜はわが友』(創元推理文庫/東京創元社)
4,尹 仁完・梁 慶一『新暗行御史(1)』(SUNDAY GX COMICS/小学館)
5,『コミック新耳袋2001』(メディアファクトリー)

 1は記念に……というか私の記憶が確かなら、元バイト先にて入荷からこっち動いた形跡がなかったから。誰かお調子者に買わせるくらいなら俺が買ってしまえと思ってしまったわけである。誰がお調子者だ。
 2と3は発売からしばし放置してましたがちゃんと購入リストに加えていたのに気付いて大きめの本屋に買いに行く。
 今日のヒットは4。井上雄彦氏の讃辞に半ば乗せられてだったが、これは面白い。本文で原作者が触れているとおり、日本で言えば水戸黄門に当たる暗行御史を題材に、だが決してただの勧善懲悪とはせず、救えないものは救えないと言い「これから起こることは全て偶然だ」と断じ二度の恩寵を否定させ、プロット的には必ず何処かに捻りを用意するという拘りのヒーロー譚としている。韓国の有名な昔話「春香伝」(CLAMPがこれをかなりアレンジした作品を発表している)に取材したヒロインの異様にマニアックな設定もいい。『死霊狩り』コミック版で端正な作風を示してきた梁慶一氏の作画も、あちらでは切羽詰まった迫力を感じさせるのに対し本編ではそこここに描くことを楽しんでいる気配を感じさせるのもいい。これはお薦め。少なくとも某週刊誌に連載されている作品の数十倍は面白いというか比較にならない。
 5は確かほぼ一年振りの『新耳袋』コミック版雑誌。しかし全体のクオリティは下がったような気がするのだが。個人的には……一番のベテラン格であるはずの永久保貴一氏の作品が一番不満だったのだが……何がいけないって、自分が出てきて自分で取材したエピソードを絡めてしまったのが。演出的にもぎこちなさばかりが目立っているし。

 暫くジャズ情報獲得のための定期購読誌を『Swing Journal』に変更する。ちょっと新作情報が見辛いし、紙面構成も歴史の割にこなれていない、何より私のような音源に興味のない人間にとっては後半のAV関連の記事がちと鬱陶しい。ジャズという音楽を志向する読者にとっては決して無駄な情報ではないと解ってはいても、やはり慣れというのがありまして。言い換えれば、慣れればそれほど問題は感じないのかも知れないが。出来ればやっぱり『Jazz Life』に復活して貰いたいなーと思いつつ、暫くはこちらで。どっちにしても、ここで毎月選定するゴールドディスクは確かに基準として役立つのだし、実際に今までも一つの参考にしていたのだから一時期でも定期購読して恩を返すのも悪くあるまい。

 ……芸術や文化を重視する、と訴えるためにとっっても著名な怪獣を持ち出した彼らは、その原作者の旧作が未だに市場で入手しづらい状況にあり一部の編集者や評論家達の努力で辛うじて命脈を保っている事実を果たして理解しているのだろうかしていない方に一万ガバス。そういう理由でどんどん候補を頭の中から消していく私なのだった。

 仕事関係で延々メールの遣り取りをしていたら今日一日ぱったりと途絶えてます。休んでいるならいいが倒れてないかそれが心配だ。ところで某氏の原稿はどうなったんだろうか。何、人の心配をする前に書け。はーい。

 その後の夜。ノートの方にはMicrosoft Office XPがプリインストールされているのだが、自宅のデスクトップPCに積んでいるのは未だに97。互換性に問題はないのだが、常時利用しているファイル(と言っても買い物帳と蔵書リストぐらいなのだが)をデスクトップで上書き保存するとき、いちいち「最新のExcelで……」というメッセージが表示されるのが鬱陶しい。そこで、「同時使用はしない」という面目の元にデスクトップの方にノート添付のXPをインストールして解決を試みた。認証などでかなり冷や汗を掻いたが、ほぼ無事に完了。ソフトも普通に動いて一安心。
 ……と思いきやそこはげいつさん一筋縄ではいかない。影響は、よりによってXP以外のところに現れた。まず、パソコンに自前で導入したDVD再生ハードウェアに対応したソフトが起動しなくなる、ドライバ及びアプリケーションのアップグレードで解決しようと思うとインストーラーが起動しなくなる、そしてダウンロードしたデータを解凍するためのソフトまでが異常動作をする。いずれも昨日までは普通に動作していたもので、その間に手を入れたのはOffice XP以外に存在しない。
 どうしてくれようか、と思ったときにふと思い出したのが、Windows Meから取り入れられた新しい機能・システム復旧。毎日毎日システムの状態を記録し、一定期間内保管して必要なときにその日付の状態にまでシステムを戻すことが出来る、という代物。しかし既にアップデートして存在しなくなったExcel 97やアンインストールしたDVD再生ソフトウェアなどは多分インストールし直しだろうな、と半信半疑ながら二日ほど前を指定して復旧してみる……
 見事に戻った。Excel97も、DVD再生ソフトも。
 実際いま、DVD Videoを鑑賞しながらこの項目を書き足しているところなのだ。Excelの方も、更新したデータはそのままにちゃんと復活している。これはお見事。XPは今回の失敗一つで進んで導入する気が起きなくなってしまったが、Me、というより今後のOSそのものはこのシステム復旧機能一つあるだけである程度信頼できそうな気さえしている。いや、ほんとに、ちょっと感動した。
 ……まあ、どっちにしても、それらの作業に煩わされている間、完璧に執筆が滞ったのも事実なので、全く怒りが収まった訳でもないのだけどね。


2001年7月19日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010711~.htm#Day19

 思ったより暇。

 本日のお買い物
1,山田南平『紅茶王子(14)』(花とゆめコミックス/白泉社)
2,Miles Davis『Dark Magus : Live at Carnegie Hall』
3, 同 『Decoy』(以上、Sony Records Int'l・CD)

 ――あ、『AIR』通常版忘れてた。
 昨日定期購読を始める、と言ったばかりの『Swing Journal』発売日は20日だった模様……そう、最新号は今日発売でした。二日連続で買う羽目になる。それはそれとしてざっと眺めていたところ、マイルスのDSDリマスタリングシリーズ最新作が18日発売であったことをこれで初めて知り、帰途慌てて買ってきたのが2と3である。2は地獄のタンスアルバム(と深川が勝手に呼ぶ)『On The Corner』以降に発表された、最もマイルス流ファンクが深化した時期のライブアルバム。ってもこれから聴くので感想は後回し。3はマイルスが長い沈黙から『Man With The Horn』によって復活して以後、三枚目となるスタジオ録音作品。私はこの復活後、特に『Decoy』に続く名作『You're Under Arrest』などに代表される、ポップス色の強い作品群が一番好みのため、取り敢えず3だけを買うつもりだったのが勢いで2まで購入してしまったのだった。何せ、油断していると無くなるからなあ紙ジャケット盤。

 Q. お前は一体いつ寝ているんだ?
 A. 職場で。

 いや、洒落になっとらんて。お陰で夜間の稼働時間は日に日に長くなっていたりしますが。

 解決したかと思いきや不安定ですデスクトップ。今はどうにか安定しているが怯えながらやってます。

 明日は久々の(と言っても一ヶ月空いてないんだが)映画鑑賞に出かける予定、で悩んでいるのが『千と千尋の神隠し』を初回から見に行くかどうかである。開始が8:20、しかも上映終了後に監督以下数名による舞台挨拶が予定されている。混雑必死。先に『A.I.』を見に行くべきか……? それとも意表を突いて妙なものを見に行くか。『D&D』とか……。何ですかね、似たような傾向のものを連続して見に行くと気分が悪くなるんですよ。だから『千と〜』と『A.I.』を連続すると辛そうな気がいるのですわ。あ、尤も来週見に行くものだけは実は決まっているのだが。


2001年7月20日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010711~.htm#Day20

 海の日。

 迷いに迷った挙句、――というか起床した段階で既に『千と千尋の神隠し』初回には到底間に合わない時間だったため、もう一つの懸案『A.I.』を見に行くことに。丸の内の一画で小屋を二つ占有して上映しているにも拘わらず、初回からほぼ満席。私は到着がギリギリだったため有無を言わさず前方の席を取ることになった――尤も、私は普段から前から三列目辺りで見ているのでさほど苦にはならない。
 感想は、2001年も下半期に突入しているしいずれ映画専門のコンテンツを作らねば、と思っていた関係もあって今回分から一本毎にファイルを設けてアップすることにした。というわけで『A.I.』の感想はこちら。見終わった段階では、賛否両論も解るがこれだけ綺麗に作り込んでいれば充分、際立っているのはハーレイ・ジョエル・オスメントとジュード・ロウの演技だった、という程度の印象だったが――粗筋を書き感想を書きしているうちにどんどん評価が高まって、更にもう一つファイルを設けてネタバレに踏み込んでまで検証するほど入れ込んでしまっていた。
 しかしここまで入れ込んだのにはもう一つ理由がある。私は通路横の席に陣取っていたのだが、通路を挟んだところに、友達同士で前後の席に座っていた女が、スタッフロールの段階で感想を語り合い始め、しかもそれがどー考えても的外れだったからだ。その場でどつきそうになったのはどうにか堪えたもののどうも腹の虫が治まらず、一体何が間違っていると思うのか正しく論考しなければならない、と思った挙句が深層付きの感想だった訳である。……お陰で、長篇執筆に割く時間は日中ゼロでした。折角の休日なのにーのにー。

 帰途、例によって例の如く秋葉原へ立ち寄る。お預けしていたMDとお宝を頂戴しに行くのが最初の目的。担当氏は打ち合わせの途中だったため一瞬だけ抜け出して貰ってブツを受け取り、一瞬で退却。ちなみにお宝とは、竹本泉氏のサイン入りテレカ。……たったひとりを羨ましがらせるためだけに公表する悪党。
 その後、行き付けの店に寄って昨日買い損ねたものと衝動買いと合わせて二本のソフトを購入。
1,『AIR [通常版]』(Key/Visual Arts・Windows対応ソフト・18禁)
2,『桜金造の怪奇録』(e-frontier・Windows&Macintosh対応ソフト)

 何買っとんのじゃの両極端。1は絵本見たさに……が予約してから、遅れて発売される全年齢対象版にも絵本が付属していることを知り、一度は止めようかとも思ったのだが、現地で初回限定版よりも一回りパッケージが巨大な通常版、というシチュエーションに受けてしまい、敬意を表して購入……するなその程度で。まあ、それだけの価値のある絵本ではありましたが。何も考えずに読むと盛り込まれているテーマの深さが解りにくい。
 2は……まあ、元々この手の怪談ものは大好きなのだし、それをデジタルコンテンツとして映像付きのものも含めて出したとなれば興味も沸こうというもの。まして、収録されているエピソードの一つ『隙間』は桜金造のレパートリーとしても、芸能界の人間が語る怪談としても最も優れたものの一つだと思っていたので、それが記録として留められているとあれば買ってみるのも一興、と。だが、オーディオのみで収録されたものは兎も角、PC上で鑑賞できる映像付きの方は想像以上に凶悪だった。喋りだけでも充分に怖いのにビジュアルがついてしかもあんなに効果音だBGMだと効果を足されてはたまったもんじゃない。

 そのあとは、先述のように『A.I.』感想にかまけていたため特に何もなし。

 ……レパートリーという単語が出てこなくて10分くらい悩んだのは秘密だ。「持ちネタ」で済ませればいいものを。


「若おやじの日々」への感想はこちらからお寄せ下さい。深川が空を飛びます(飛ばねえって)
修羅場らば。

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