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絵画の腕を磨こうとする人達にとって、グループの写生会は大変人気があります。絵画教室の仲間達との、 あるいは地域の同好者達との写生会など
です。描く対象は人物の着衣あるいは裸婦、さらには 花や静物などです。風景の場合は、適当な写生地まで出かける のに多少時間がかかることから、
人気はいまいちです。
さて人物の写生会は、適当な部屋があって、あとはモデルさんを連れてくれば良いだけですから、非常に手軽に 開催できます。
指導する先生が居られる場合と、先生無しで自由参加の場合とがあります。展覧会にこうしてできた作品がそのまま出品されることも多い
ようです。これらの作品について考えて見ましょう。
風景画の作品を一点見ただけで作者の力量を推し量るのはかなり難しさがあります。現場の実際の状況は知る由もないし、
画風の違いや好みもいろいろ あるからです。しかし人物画の場合は、ひと目見ただけで描く人の力量が判ってしまいます。例えば風景画の中に、
脇役として小さく人物が配して
あったとします。その人物が稚拙に書かれてあれば、それだけで風景画全体が素人っぽい印象になってしまいます。 だから優れた画家は、
このような 人物の描写にも決して手を抜きません。
かように重要な人物画ですから、作品の水準を上げるためには、人物の描写能力を磨くことが重要です。人物を 主体とする写生会は、
こうした人物画の基本を学ぶための勉強会でもあります。 勉強会である以上は、モデルさんを正確なデッサンで、忠実に写実的に描くことが重要です。
描くほどに次第に腕が上がっていくことが実感 できるでしょう。特に裸婦については、顔だけでなく、体全体の描写力の練習になりますので、
描き甲斐があります。作品の展示会で習作を発表し、他人 に腕の上達の程を見てもらうのは、非常な刺激になり、励みとなります。
しかし他方では人物をモチーフとして、部屋に飾って楽しむための絵があります。これらは前記の習作とは全く別物です。
人物の描写力を見て もらうため
の絵ではありません。むしろ個性的な姿や表情なり、あるいは鮮やかな配色などでインテリヤアートとしての 魅力を売り物にします。
自由奔放なデフォルメがあっても良いのです。モデルに似ているいないはもはや関係ありません。またそれを問題にする
観客も 居りません。モジリアーニの女性像などはこの範疇の代表格と思っています。
この種の絵は、人物画というよりは、人物から発想した一つの抽象画というべきかも知れません。少なくとも 前記の勉強会の作品 と並べて優劣を 云々すべきものではありません。だから展覧会ではそれぞれ観点を変えて評価されるべきだと思います。 2007/8/1
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