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むかし文法の授業で習いました。「抽象的な物事を表す言葉が抽象名詞で、それ以外の一般の物事を表現する言葉を普通名詞と言います」と。
絵画の世界に抽象画というジャンルがあります。いっぽう風景とか人物、静物など物事を具体的に表現する絵は普通画とは言わずに、
抽象に対する非抽象の意味を込めて具象画と言います。これは抽象画を主体に置いた言葉の使い分けのような気がするので、私はあまり
納得できません。またひと頃、これからは抽象画の時代だと言いきった画家や評論家が居りました。この意見を受け入れる姿勢が根本に
あって、この使い分けになったのかもしれません。
私の現役時代、ある上司が屡言っておりました。抽象論とは、数多くの具体例に共通に適用できる真実を述べているに過ぎない。
具体例が想定されない抽象のための抽象論は単なる言葉の遊びであり、物事の解決に役立たない」と。それは抽象論ばかりに傾き、
いっこうに現場や現実を知ろうとしない部下達に対する戒めの言葉でした。つまり具体例があってこその抽象論であったのです。
ビジネスとは全く異質な絵画の世界でも、同じことが言えそうに思います。数万年以前の古代人の壁画の例からも解るように、
人類が初めて絵を描こうとした素朴な動機は、具象から始まっています。抽象画は遥か現代に至って始めて出現したジャンルです。 しかも、
抽象画は通常はその基になる具体的な情景群があって、それらに共通する感動のエッセンスを引き出して絵にしたものだと 思いますので、
抽象画が具象を離れて一人歩きするのはおかしいように思います。
しかし中には具体的情景が全く想定されないような抽象画もあります。例えば幾何学的抽象画などです。しかしそれはむしろ抽象画
というべきではなく、「抽象」以外の、もっと適当な別の言葉があっていい
ように思います。
2008/5/1
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