絵画悠々TOPに戻る

次章(20)に進む
前章(18)に戻る

    

19.絵画教室  

 英語の学習は従来、ややこしい英文法と取り組むことから始まりました。しかし最近では「ただ聞き流すだけで話せるようになる最速の学習法」 などと、英文法を避けた指導法を宣伝している会話教室がいくつかあります。言葉は理屈ではなく、むしろ理屈にとらわれないほうが早く 話せるようになるというのです。たしかに誰もが幼児時代、言葉を覚えるのに文法は必要ありませんでした。それがやがてネイティブな 言葉に成長していきます。つまり理屈でなく、感覚的に物を覚えるやり方なのです。 最近では熟年のカルチャー教室などで英会話の 学習を始める方も多くなりましたが、しかしながら彼らの場合は多少事情が異なり、逆に英文法の重要さも言われているようです。
  さて絵の世界はどうでしょうか。絵を志す学生は、概ね感覚的に絵を学んでいくように思われます。若い人は脳の働きが柔軟だから、その学習法が十分機能しているのでしょう。しかし最近では、熟年で絵画教室に通われる方が大勢いらっしゃいます。彼らは現役時代の 仕事上の経験、あるいは社会生活での経験から、物事を論理的に理解するように大なり小なり習慣つけられていますので、絵の見方、 描き方についても、ナゼそうなのかと、言葉による理由付けを求める傾向があります。彼等は好きで絵の道に入っているだけに、 絵の感性が不足ということはおそらく無いと思いますが、更なる向上のための近道を模索しているのです。
 絵の描き方を筆を取って親切に教えてくださる先生が多くいらっしゃいます。しかし作品の問題点やその正し方を、言葉で明快に 論理的に説明してくださる先生は、そう多くはありません。さらには絵画の技法を解説した入門書ですら、このナゼに対する説明 が意外と少ないのです。 感性の問題を、あえて言葉で表現することはそう簡単なことではないからだと思います。しかし絵の上達 を熱望する論理派にとって、このタイプの先生は救いの神様のような存在です。彼らにとっては、ナゼの説明があるのと無いのと では上達の早さがはっきりと違うようです。私はその具体例をいろいろ目撃して参りました。
 ただし、ここでいう上達は、ある程度のレベルまでのことであって、例えばデッサンとか構図など、基本的な技法を指します。 趣味で絵画を楽しんでいる人たちの中では、それで大満足の方も多いと思われます。しかし、それを超えた先の高度な芸術的 レベルになると、論理的説明の限界が見えてきます。やはり優れた芸術に触れる機会を大いに増やし、自身の鋭い感性を磨き、 感性で理解する以外に道は無いのかも知れません。
     2009/2/1

  このページのTOPへ