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27.インパクトのある絵U 

 私が描く絵は具象画の分類に属しますが、どちらかと言うと写実的な具象画です。この種の絵のスタイルは一般に無難で丁寧な仕上がりを旨とします。 実景という物差しがあるので、見る側が上手下手の点数をつけ やすい分野です。つまり素人にも解りやすい絵という特徴があります。 良い作品は大多数の人から好感をもって受け入れられます。 だからといって専門家から高い評価を受けるとは限りませんが、趣味の画人とし てはとても描き甲斐を感じます。
  他方では写実からまったく逸脱した絵があります。例えば、強烈な原色を多用したり、デッサンを全く無視するなど、つまり奇想天外な作品群です。この種の絵は人の好みが大いに分かれますから、 万人から一律の評価とはいきません。旨い下手の点数がつけにくく、むしろ好き嫌いでしか評価のしようがありません。しかしたまたま作者と波長が合う観客に出合うこともあります。その当人は信仰にも近い深い感動を覚え、たちどころに熱烈なフアンとなり、その絵を高価で買い求めるかも知れません。インパクトのある絵の魅力がここにあります。
 こうした絵は、ものによっては評価が大変難しいようです。専門家ですら意見が分かれることが多々あります。つらい思いで 後世の歴史に評価に委ねてこの世を去った大家もあまた居りました。しかし大勢 の人からのこんにちの評価がいちいち気になっていたのでは、インパクトのある絵は描けないようです。私にも将来、いまの優等生趣味の絵を何時しか抜け出して、インパクト型の絵を試してみたい気がありますが、 贅沢な冒険でしょうか。
     2012/2

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