通常のとりつぎ
一般的なとりつぎでは、まずあいさつをしてから、だれにとりつぐのかを確認するようにする。
1.あいさつをする
「いつもお世話になっております。」
「いつもありがとうございます。」
相手が、名乗った直後にとりつぎを求めた場合は、まず「いつもお世話になっております。」などとあいさつをするようにする。
相手:「サハリン地所の大黒でございますが、庶務課の副島主任お願いできますでしょうか。」
自分:「いつもお世話になっております。」
相手のことを知らない場合
相手のことを知らない場合は、相手の名前を復唱し確認してからあいさつをするようにするとよい(間違いを防ぐため)。
相手:「サハリン地所の大黒と申しますが、庶務課の副島主任お願いできますでしょうか。」
自分:「サハリン地所の大黒様でございますね。いつもお世話になっております。」
※自分が知らない人に対して『いつもお世話になっております。』という。
2.とりつぐ者を確認する
「{[指名された者の部署]/[指名された者の役職名]}の)[指名された者の名前]で(ございま)すね。」
相手が話したい者を指名したら、復唱して確認する。
なお、社内の者は自分の上司であっても『ウチの者』となるので、敬称はつけない。
相手が役職名をつけて呼んだときの復唱のしかた
例:「主任の門脇(←門脇主任)」「課長の島田(←島田課長)」「部長の遠藤(←遠藤部長)」
相手が『様』をつけて呼んだときの復唱のしかた
例:「菅野(←菅野様)」「安本(←安本様)」「渡部(←渡部様)」
相手:「山陽冷蔵の大木ですが、営業課の天野さんいらっしゃいますか?」
自分:「営業課の天野でございますね。」
相手:「はい。」
相手のことを知らない場合
「[相手の会社名]の[相手の名前]様(から)、({[指名された者の部署]/[指名された者の役職名]}の)[指名された者の名前](に)で(ございま)すね。」
相手が自分の知らない人の場合は、とりつぐ者だけでなく相手の名前も復唱して確認するとよい。
相手:「ひかり不動産の中川でございますが、島田課長いらっしゃいますか?」
自分:「ひかり不動産の中川様、課長の島田にでございますね。」
相手:「はい。」
同じ姓の者が複数いる場合
日本語では相手の姓(苗字)しか呼ばないのが普通なので、指名された者が特定できないことがある。そのような場合には、所属や性別などで確認するようにする。一般的には、部署を尋ねることで区別するのが最もわかりやすく間違いも少ないが、部署が同じ場合や特徴がはっきりしている場合は特徴をあげて質問してもよい。
自分:「佐藤は2人おりますが。」
自分:「佐藤は2人おりますが、部署はおわかりでしょうか?」
自分:「佐藤は2人おりますが、男の佐藤でしょうか、女の佐藤でしょうか?」
自分:「佐藤は2人おりますが、年配の者でしょうか、若い者でしょうか?」
自分:「佐藤は2人おりますが、洋一でしょうか、健治でしょうか?」
※区別しやすいからといって身体的特徴はあげないこと。「×ハゲている方でしょうか?」「×太っている方でしょうか、痩せている方でしょうか?」
相手:「わたくし大洋事務機の沢木と申しますが、佐藤さんいらっしゃいますか?」
自分:「いつも、お世話になっております。佐藤は2人おりますが、部署はおわかりでしょうか?」
相手:「庶務課の方なのですが。」
自分:「庶務課の佐藤でございますね。」
相手:「はい。」
同じ姓の者が大勢いたり、区別できる特徴が少ない場合にはフルネームを尋ねるようにする。
自分:「(恐れ入りますが、)佐藤は2人おりますので、フルネームをお教えいただけますでしょうか?」
相手が自分を他の人と取り違えた場合
相手:「コリア自動車のパクですが、山田さんでしょうか?」
自分:「山田(に)でございますね。」
「×違います。」などと否定せずに、とりつぐ先の者の名前をくりかえして訂正するようにする。
相手と親しい場合などは、自分の名前を名乗ってからとりついでもよい。
相手:「コリア自動車のパクですが、山田さんでしょうか?」
自分:「いいえ、山崎ですが。山田ですね。」
相手:「あ、山崎さんでしたか。すみません。」
途中で切れてしまった電話を再びとりつぐ場合
保留や転送をしようとしたときに操作を誤って切ってしまったときなどは、相手がかけ直してくるのを待つのが基本である。
「({先ほどは/ただいまは})(電話を切ってしまいまして)大変失礼いたしました。」
相手がかけ直してきたら電話を途中で切ってしまったことを詫びる。
相手:「鈴木不動産の柳井でございますが……。」
自分:「先ほどは大変失礼いたしました。」
かけ直してきた相手が切れてしまった事情を説明したときは、ていねいに詫びる。
相手:「新竹通商の堀内でございますが、先ほど総務部の柴田課長につないでいただいている途中で切れてしまいまして。」
自分:「大変失礼いたしました。」
途中で切れてしまった電話を再び転送するときの表現は〔→再びつなぐ場合〕を参照せよ。
自分では対応できないのでかわる場合
自分では対応できないのでかわる場合は、他の人にかわってもらうようにする。〔参考:→保留する〕
自分ではわからない要件の場合
「(かしこまりました。)ただいま{担当者/担当の者/係の者}とかわりますので、少々お待ちくださいませ。」
自分ではわからない要件の場合は、担当者にかわるようにする。〔参考:→保留する〕
相手:「赤城印刷の品田と申しますが、新しいソフトウェアの件でお聞きしたいことがございまして。」
自分:「新しいソフトウェアの件でございますね。かしこまりました。ただいま担当者とかわりますので、少々お待ちくださいませ。」
自分ではわからないことを言われた場合
自分ではわからないことを言われた場合は、わからないことを詫びてから他の人にかわってもらうようにする。〔参考:→保留する〕
「(申し訳ないのですが、)わたしにはわかりかねますので、少々{お待ちいただけますか/お待ちいただけませんでしょうか}。{担当の者/係の者/わかる者/くわしい者}とかわりますので。」
※「×わたしがわかりませんので、」ではなく「わたしにはわかりかねますので、」のように言うこと。
相手の日本語が理解でない場合
日本語が理解でない場合は、日本人や日本語がうまい同僚にかわるようにする。〔参考:→保留する〕
「すみません。日本語はよくわかりませんので……。ちょっとお待ちください。」
「すみません。日本語がわかる者とかわりますので、少々お待ちください。」
※「×ちょっと待って(ね)。」ではなく、「少々お待ちください。」と言うようにする。
自分では対応できないが担当者もいない場合
〔→かわれないと伝える〕
自分では対応できないが他にだれもいない場合
〔→かわれないと伝える〕
自分では対応できないが担当者がだれかわからない場合
〔→指示を聞く〕
社員の家族からの電話のとりつぎ
最近では携帯電話があるので、会社の外線に家族から電話があることは少ないだろう。もし同僚や上司の家族から電話があったときには、基本的に〔通常のとりつぎ〕と同じように対応すればよい。
ただし、同僚や上司の呼び方は次のようになる。
| 通常の電話での呼び方 | 家族からの電話での呼び方 |
同僚 | [名前] 例:田中 | [名前]+『さん』 例:田中さん |
上司 | [役職名]+『の』+[名前] 例:課長の竹田 | [名前]+[役職名]/[役職名]+『さん』 例:竹田課長/課長さん(やや古い言い方) |
同僚や上司と電話をかわる場合の表現は、〔→家族からの電話でかわる場合〕を参照せよ。