第2研究室〜路上の都市伝説を探る〜


レポート2 「飛び出し君」の顔


足型マークじゃありませんが、似たような役割のものに「飛び出し君」がありますね。知ってます?

ああ、交差点なんかでよく見かける、子供の形した看板だろ。

そう。これについては、ぼくの通っていた小学校でこんな話がありました。
 それでは…パチ。

だから、いちいち電気消すなっての。


  

 ある年の11月、学校の近くの交差点で交通事故がありました。
 男の子が車道に飛び出して、車にはねられて死んだのです。
 夕方で薄暗かったので、ドライバーも男の子に気づくのが遅かったのだそうです。
 PTAでは、子供の飛び出し事故がなくなるように、その交差点に看板を立てることにしました。
 走っている男の子の姿を切り抜いて、「とびだし注意」と書き添えたベニヤ板の看板です。
 その看板を立ててからしばらくして、変な噂が流れるようになりました。
 ベニヤ板の男の子の顔が、事故で死んだ子にそっくりだというのです。
 男の子の両親が学校に抗議して、PTAが看板の顔を塗り替えたそうですから、きっと本当に似ていたのでしょう。

 次の年の11月、同じ交差点で、今度は女の子が車にはねられて死にました。
 やはり夕方薄暗い時刻で、交差点に飛び出したのだそうです。
 PTAでは、男の子の看板の向かいの角に、女の子の飛び出し看板を立てました。
 するとまた噂がたちました。
 看板の顔が、死んだ女の子そっくりだというのです。
 PTAは、抗議が来る前に看板の顔を描きかえました。

 それから1週間後、また同じ交差点で小学生が飛び出して車にはねられました。
 その子は病院に運ばれて命をとりとめました。
 なぜ急に飛び出したのかと聞かれて、その子はこう答えたそうです。

 「だって、道の向こうで男の子と女の子が手招きしてたんだもん」

 けれどその子をはねた運転手は、はねられた子のほかに交差点には誰もいなかった、と証言していたそうです。

 その交差点では、子供がはねられて死ぬたびに、PTAが一枚ずつ看板を増やしていくので、今では何十枚ものとびだし看板が立ち並んでいるそうです。
 それらはみな、交差点で死んだ子供の顔にそっくりなのだそうです。

※写真:佐賀県鹿島市


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