第2研究室〜路上の都市伝説を探る〜


レポート1 赤い足型マーク


このコーナーでは、路上・路端の物事にまつわる怪談、噂話を紹介していきたいと思います。
 まずはじめは、やはり足型ストップマークにまつわる話から。ぼくが中学生のころ、クラスで一時こんな話が流行りました。
 それでは…パチ。

こら、電気消すな!


  

 町内の小学校近くのアパートに一人で住んでいた、女の人の話です。

 残業で帰りが遅くなり、車も歩行者もない夜道を急いで歩いていたときのことです。
 ふと、後ろから足音がついてくるのに気がついたそうです。

 合流するような横道はなく、遠くから誰かが近づいてきた感じでもありません。車や家のドアが開け閉めされる音を聞いた記憶もありません。
 それはまるで、電柱の陰で待ち伏せしていた誰かが、女の人が通り過ぎるのを待って尾行を始めた、そんな感じの足音でした。

 気味が悪くなって、次の角を曲がるときにちらりと振り返ってみたところ、来た道には誰もいません。
 そこにはただ、どこにでもあるような白い足型マークがひとつ、歩道の真ん中で街灯の光に照らされているだけでした。

 自分の足音が反響したのだと思おうとしましたが、歩くにつれてピタピタという足音はだんだん近づいてきます。
 通い慣れた夜道で、こんな経験は初めてでした。

 勇気を出して、今度はしっかり立ち止まって振り向いてみましたが、やはり誰もいません。
 ただ、すぐ後ろのアスファルトに、さっき見たのと同じ白い足型マークが一つ、ぽつんと描かれているだけです。

 女性はおやと思いました。そんな足型を追い越した記憶がないのです。
 不自然なことにその足型は、交差点でもない直線歩道の真ん中に、車道の方ではなくこちら側に向かって描かれているのでした。

 目を凝らしてよく見ると、その足型は濡れたように真っ赤な色をしていました。白く見えたのは、街灯の光を反射していたからなのでした。

 恐くなって走り出すと、赤い足型はピタピタと追いかけてきます。
 ようやく自分のアパートの前まで来て、道を渡ろうとしたとき、女性の足が突然動かなくなってしまいました。
 足元を見ると、真っ赤な足型マークが真下まで追いついていました。それに足がくっついて離れなくなっていたのです。
 
 車道の真ん中で動けなくなっているところへ、貨物トラックが猛スピードで突っ込んできました。
 女の人は腰の骨を折る大けがをして血だらけになりましたが、幸い一命は取り留めました。

 翌朝、女性の証言に基づいて警察が現場検証しましたが、そこにはストップマークなど一つも見当たらなかったそうです。

 その近所では、いまも「夜中に赤いストップマークを踏むと死ぬ」という噂があるそうです。

  



地方によっては、足型が家の中まで追いかけてきたり、町中から集まった足型の大群に追いかけられたりするパターンがあるらしいんですが、詳しくは現在収集中です。
 ご存知の方は是非情報をお寄せください。

それはいいから、早く電気を点けてくれよ!

※写真撮影地は左上から時計回りに熊本市、秋田市、沖縄市、鹿児島県佐多町。
(第2研究室に掲載する写真は全て、本文とは関係ありません)


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