関係者二人の会話 | ||
●久しぶりにお前んち来てみたら、何なのこの看板は。 「路上足型研究所」? ●実はぼく、道路の足型の奥深さに目覚めてしまいまして。とうとう研究所を設立しましたんで、君を副所長に抜擢してあげます。 ●抜擢してくれなくていいけど。 足型って何よ? ●見たことないかなあ? こういうの。→ ●交差点なんかによくある、「ここで止まれ」ってやつね。これが…奥深いかぁ? ●たとえば君、今まで生きてきてあの足型に足のせたことある? ●え? いやー、子供の頃はどうか忘れたけど、そんなのしたことないよ。恥ずかしいじゃん。今どき小学生だってあんなのに足のせないって。 ●でしょ。ぼくも足をのせたことないし、のせてる人を見たことない。誰も足をのせないのに、どうして道路にはあんなにたくさん足型が描かれているのか? これは謎でしょ。 ●だってあれは、要するに「ここで止まって左右確認しなさい」っていう、ただの目印じゃないのか。実際に足をのせる必要はないと思うな。 注意力が弱い人だっているだろ、すぐ飛び出す子どもとか。そういう人が足型見て「あ、ここで止まらなきゃ」って思えばそれでいいんだよ。 ●じゃあ君は道を歩くとき、あの足型を見て気をつけてる? ●小学生じゃあるまいし、あんなのいちいち気にしてたら道なんて歩けないよ。 ぼくが見る限り、このテの足型の80%は、子どもすら止まる必要がないような場所に描かれてますね。ゆっくり歩きながら左右確認すりゃいいだけのことでしょう。 まして車の存在も気にせず飛び出す小学生が、そんな足型に気がついて立ち止まるはずがありません。 ●そんなもんか。じゃ、あの足型は一体何なわけ? ●それを研究するのがこの「路上足型研究所」です。一つ一つ資料を収集し、分析していくことで足型の謎はもちろん、その地域の風土やさらには日本人の精神というものが明らかになっていくに違いない! ●こりゃまたでっかくぶちあげたな。 ●理屈はともかく、道路の足型を一つひとつ見ていくだけでも、形とか色とか描かれた場所とか、個性があってけっこう面白いんですよね、これが。足型には単なる道路標識以上の何かが隠されてますよ、絶対。 ●へー、そうっすか。たとえばどんな? ●ではさっそく研究室にお入りくださいませ〜。 研究レポート1 >>
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