S14 郵便箱 -その2- (2010. 10. 16) | |||||||||||||||||||||||||||||
既設のアルミ製ポストを木板で包んだ郵便箱が、あちこち傷みが目立ってきました。 板が反って細かい部分が欠けてきたのです。 修理するよりも新しいポストを作ろうかなー この際、アルミ製ポストは完全に引退かなぁ。 ポストの形は、やはり家形がスタンダード? 全部、木製となると防水性に工夫が必要だぞ! ...等と、時々ぼんやりと考えていました。 ところが、ある日、テレビで映画を何げなく見ていたら、その画面が目に飛び込んできたのです。 それは、2004年に公開されたアメリカ映画『バタフライ・エフェクト』。 カオス理論の一つ、バタフライ効果をテーマに製作された、斬新で衝撃的なアイディア、練り込まれた脚本が受け、本国アメリカで初登場1位を記録した映画です。(Wikipediaより抜粋) その中で、事件発生の重要な小道具として家のミニチュア型ポストが使われていました。 これだ! 思わず、学芸会での役者よろしく大袈裟に手を打っていました。 ちょうど自宅の外壁と屋根の塗装を計画中です。 タイミング的にもぴったり。 業者から外壁のペイントをわけてもらってポストに塗ったら完ぺきです! さて、以下は、実際に形状が決まり製作を始めるまでの心の葛藤。 (って、そんな大袈裟な....。 でも、旅行前の計画を立てるときと似ていますが、これって結構、至福の時なんです。) 「そっくり正確な縮尺で作ろう」と、最初は簡単に考えましたが... でも家は長方形をいくつも組み合わせた形だし、屋根の形も結構複雑だなー 表札とインターホンはどこに付けたら良いのかしら? それに、最も重要な投入口はどこにしよう? うーん、どこに取り付けても邪魔になっちゃうなー : : : ...等々、いろいろ試行錯誤があって最終的には、以下のようになりました。 新作ポストのコンセプトは「癒し系」 投入口に”ありがとうございまーす”のメッセージと蟻10匹(←わかりますよね?)を表示し、玄関口に犬(パルのつもり)を座らせ、更に夜間には内部に明かりを灯すようにしました。 構造は、製作上、防水上、ポスト形状上、...いろいろな観点からやはり単純な方が良いとのあたりまえの結論で、完璧なミニチュアは諦めました。 ポスト自体は長方形で正面と側面の一部だけ家の外観そのままとすることに決定。 投入口は、やはり屋根以外には考えられません。 屋根を二重構造にして、内側の屋根に投入口を設けました。 縮尺は、郵便物や新聞等の大きさを考慮して1/20としました。 横幅で約45cmです。(ここまで書いたら、広大な我が屋敷の大きさがバレバレ) 表札とインターホンは、やはり家のミニチュア型ポストには取り付ける箇所がありません。 ドアの横に、表札のミニチュアは付けましたが、これはあくまで遊び。 結局、ポストの隣に独立させることにしました。 最初は電信柱風に立てようかと考えたのですが、コニファー(針葉樹)の1種であるゴールドクレストの立枯が庭に捨てずにあったので、それを使うことにしました。 枝に灯と表札を付けるとなかなか風情があります。 但し、表札を掛ける枝は一旦切り離して角度を調整して接着し直しました。 ついでにインターホンはかなりくたびれていたので、映像モニター付きを新調。 表札は苗字を漢字とアルファベットで表裏両面にそれぞれポップ書体と隷書体で書き分けて気分によって変えられるようにしました。 (写真の表札は、全てモザイクを入れてます、あしからず。) 夜間の内部照明には、あかりセンサースイッチを使用しました。 言うまでもないのですが、窓を板にそのままペイントで描いたのでは意味がありませんので、アクリル板を使用して光が通るようにします。また、内側は白く塗装して屋根裏には反射用アルミシートを貼り付けました。 尚、表札の上に取り付けたミニ街灯風照明はポスト内部の照明と連動しています。 投入口と取出口は、最初は同じにして、屋根全体を開閉することを考えたのですが、内部の照明具が露わになることと、保安上の理由から、やはり取出口は裏側に別に設けました。 また、取出口に鍵を付けるといちいち操作が面倒なので、簡単な仕掛けを工夫してそのままでは開けられない構造にしました。構造は企業秘密、と言うかあまりにも稚拙なので未公開。 外壁塗装と並行して作業を進め、なんとか完成。 古いポストの撤去、電気配線等を実施後、ほぼ1日がかりで全て設置しました。 庭で後片付けをしていると、早速郵便屋さんがやってきました。 ところで、投入口は屋根に大きな把手を付けてあるので、誰が見ても一目瞭然です...と、自分勝手に考えていました。 郵便屋さんをそれとなく観察していると、物珍しげに見ています。...と思ったのですが、どうも様子がおかしい? 「おぉ、面白い郵便ポストだなー。 だけど入口はどこなんだ? うーん、わからん。 この忙しい時に、まったくぅ!」 慌てて、「あっ、どうも。実は入口は、...」と、出て行こうと思ったら、ようやく屋根を摘みあげて、郵便を入れて去って行きました。 独りよがりは、いけません。(反省) これでは「いやし系ポスト」ではなく「いかり系ポスト」です。 すぐに「ポストです。屋根を開けて下さい」の札を下げたのは言うまでもありません。 後で簡単に分解できるように必要部分以外は接着剤は使わずねじ留めだけにしてあります。 これは電気配線、あるいは雨による思いもかけない不備等に備えてかなりメンテナンスの容易さを考慮した結果ですが、実は、設置後最初の雨で、窓の中がひどい結露状態となりました。 窓枠と壁の間の防水は完ぺきだったのですが、窓枠とアクリル窓の間の接着が点接着で防水を完全に忘れていたのが原因です。 早速、わずか設置4日目にして最初の病院行き(修理のため取外し)となってしまいました。 更に、窓枠防水処理中に、大きなミスに気がつきました。 実は、2階の真中の部屋の網戸を左右逆に取り付けていました。構造上何ら問題はないのですが、ここは是が非でも修理しなければいけません。 これからも、いろいろありそう....。実は接着が一番心配なのですが、何かあればまた追記します。 ●製作メモ 主な部品の写真を載せました。 表札の上の照明は、E12電球ソケットにアルミビール缶(こんなところで見栄を張ってもしょうがないですネ。実は発泡酒缶です。)で笠をを作り、残っていた前の車のキズ修正用の銀ペイントを塗って作成。 電球は0.5WのLED電球。 表札とインターホンの柱の木は、沓石に70mm角材を入れ19mmφSUSパイプをダボ代わりにして接合し、更にビス止め。 90mm角ポスト柱とインターホン用木はデザインの観点から、表面をバーナーで焼いて防腐剤処理。 ポスト本体の材料には、合板の中で耐水性が最高レベルの構造合板(9mm厚)を使用。しかし結果的に強度は意外に弱かったので裏面をかなり補強することとなりました。 屋根には屋根葦用防水紙をコロニアル風に切断して貼り付け。 木工用耐水性接着剤は良いものがなく、結果的にはエポキシウッド充填剤と屋外にも使える(とのキャッチフレーズの)万能型無溶剤接着剤を使いましたが、耐久性はいまいち心配です。 窓は2mm厚のアクリル板で、窓枠は塩ビモール材を使い、内側は「N10 パーティション」で使ったプラスチック段ボールで目隠し。 雨戸は、窓孔子目隠し用に「マドミラン」という製品がありますが、その波のピッチがちょうど良かったのでその板を使って作成。 ポストの内部照明には4W蛍光灯を使用。 玄関口の犬は樹脂粘土で作りアクリル絵の具で彩色しました。 樹脂粘土とアクリル絵具は耐水性があり屋外でも大丈夫です。 ここは、数学嫌いの人は読み飛ばしてください。 寄棟屋根を作るときに、隣同士の屋根面のなす角度(θ)を知る必要がありますが、屋根の角度をKとしたとき、θは、以下の通り計算できます。 θ= 2×ATAN(SQRT(1+2/TAN(K)^2)) 今回は屋根の角度、Kは30°にしましたので、上記の式からθは138.6°と計算できます。 従って、屋根板の接合部は69.3°で切断してそれらを接着しました。 ...「へぇぇ、製作精度はさすが!」と、お思いでしょうが、実は切断に使用したジグソーに付属の角度調整メモリは最小値が15°(1.5°の間違いではありません)ですから、まぁ、何と言うか、...やってることが相変わらずチグハグです。 ●概略予算 12,500円
基本的に木ねじ、蝶番、補強金具等の金属は全てステンレスです。 尚、新調したインターホンは含まれません。 |
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