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エアゾール缶・燃料缶の火災

                           A3 -15    07.03.11<08.06.01追記  <09.10.04全部改正 転載を禁ず

 1, エアゾール缶・燃料缶
 
☆ 平成20年のエアゾール缶の生産量は、実に52万5千件で、簡易型ガスこんろ用燃料ボンベは、
  14年700本が生産され、合計で年間約70万本となります。
  
(日本エアゾール協会。 日本ガス機器検査協会)
 
  この「LPGを充填した缶」が生産・販売され、一般家庭を含めた様々な場所で消費されています。
  整髪剤・消臭剤・あるいは洗浄剤や注油剤を噴射するために、主にLPGを充填剤として使用して
  いるのが「エアゾール缶」。
  簡易型こんろ用の燃料のLPGを充填しているのが「燃料缶(カセットボンベ」です。
  (噴射剤として炭酸ガスを使用し、火災上安全なものもあります。
  
  昔は、ガスボンベと言うと、「ライター用のガス充填ボンベ」ぐらいでしたが、簡易型ガスこんろの
  普及で、カセット・ボンベが室内で多数使用されるようになりました。
  
  また、平成9年12月に京都市において、地球温暖化防止のための京都国際会議が開催され、
  地球環境問題が大きくクローズアップされると、オゾン層の保護を目的とした。
  フロンガスの全廃に拍車がかかり、噴射剤のガスとして使用されていた不燃性「フロン・ガス」
  から、可燃性「LPガス」にさまざまな製品が切り替わりました。
  また、この時期から、産業廃棄物施設の火災も注目を集める火災が発生するようになりました。

  2, エアゾール缶・燃料缶の火災-統計から
 
東京消防庁管内の火災件数の推移 <増加傾向>
  
  
  平成5年(1993年) から16年間の火災発生件数の統計をグラフにした。
  平成5年頃は年間35件程度しかなかったエアゾール缶等の火災は、平成10年には136件となり、
  昨年の平成20年には206件にも増加し、15年間で約6倍の火災件数となっています。
  たぶん、日本国内全体においても同様の傾向を示し、2000件超えているのではと思います。
  平成17年に一度減少しましたが、最近、また増加傾向にある。

  この火災による負傷者は、平成20年では死者1名、負傷者74名と多く、平均して、毎年50人以上
  なっており、火災3件で1名の死傷者ですから、天ぷら油火災と同様に、負傷頻度の高い火災と言え
  ます。 


 ★ このエアゾール缶等の火災で、最も多いのが[清掃車両]の火災

 
 
   平成8年(1996年)から13年間の清掃車両の火災件数の推移です。
   平成20年を見ると、134件となります。これはその年のエアゾール缶等火災件数206件の65%
   にもなります。
   つまり、年間のエアゾール缶等の火災の約6割から7割が、[清掃車両]の火災となっています。
  
  こんなにも“多い”のです。年間の車両火災全体が440件で、その1/3が、清掃車の火災
  で、その原因がエアゾール缶等に起因していることになります。

  このことは、エアゾール缶等のガスが、充填されたまま“廃棄される”ことにより火災が発生し、
  その影響を清掃作業の作業中に発生していることを現しています。
   

  ★ どんな種類があるか (平成20年の火災から)
             

  エアゾール缶等を火災後に全て確認することは難しいのですが、分かった範囲で調査した内容が
  上図です。
  これを見ると、ガスこんろ用ボンベ(カセット・ボンベ)が最も多いのがわかりますが、それ以外に様々な
  エアゾール缶が火災発生に寄与しています。生活の隅々に入り込んでいるエアゾール缶の用途の多さが、
 分かります。平成20年の統計にはありませんが、「ライター用ガスボンベ」の火災もあります。


  ★ どの月に発生しているか (平成16年から5年間の月別発生件数)

           

     上グラフのように、秋から冬にかけて、増加します。
     主として、火災となるのが「ガスこんろ用ボンベ」であること、火災の場所が「廃棄物収集の清掃車」
     であることから、「冬」になべ物が家庭で行われるようになると、増加傾向を示すものと思われる。
     「季節性」の高い火災原因であると言えます。
    
     


  3, 火災原因はどのようものがあるのか (平成15年から6年間の統計集計)
 
主な原因に分類した。1~3は、廃棄で発生し、
 4~7は取扱不適、8はその他
 
 1,清掃車の荷台でロータの圧縮時に発火
 2,廃棄するため穴を空けた時、付近の火源で発火
 3,その他、(廃棄時)

 
 4,厨房器具付近にあって、その熱で発火
 5,暖房器具付近にあって、その熱で発火
 6,事務機器に噴射して、電気火花で発火
 7,簡易型こんろにカートリッジ装着が不完全で発火


 8,その他(不明等を含める。)

 上図の統計数値は、1,の清掃車が722件(66%)もあるが、他の原因は、8%以下の件数でしかない。
 この火災の特徴さは、清掃車両の火災に特執されるものであるが、4,の厨房器具付近では84件(8%)、
 5,の暖房器具付近では47件(4%)とそれぞれの原因こどの火災があり、年間200件の中では4%で
 8件程度となることから、その危険性から火災を予防する視点にたつべきものと言える。
 
 このように取り扱い不適での「火災発生件数」はそんなには多くはないが、室内で発生するためエアゾール
 缶の威力もあり、けが人の発生率は高い、ことに注意すべきと思われる。

 
 ★ 増加傾向が顕著な火災
 

 上図の中で、[2,廃棄するために穴を空けた時、
 付近の火源で発火] の火災件数は、年々増加

 しており、15年は4件であったが昨年20年は、26件
 に増加している。
 6年間で6倍近い増加となる。
 
 

 ★ 平成11年6月に東京消防庁と東京都清掃局の協議により、それまで清掃局では「エアゾール缶は
  穴を開けて捨ててください。」となっていたが、穴あけ時に噴出したガスにより「火災ややけど」が発生
  することから、両者協議により、都民の安全の立場から、
  以後
使い切り、穴を開けずに廃棄する。」に統一された。

  このことは、都内の消防署・清掃事務所からの回覧などの広報により、周知を図っているが、ごみ廃棄時
  の分別などが細かくなってきていることから、
“缶製品は、「穴を開けてガスを抜いて」金属の資源ごみ
  として分別廃棄する”
人が多くなってきたことによると思われる。
  整髪剤等のエアゾール缶を「空になるまで、使い切る。」ことが難しい場合があると、金属資源ごみとして
  出すために「空にする」状態で廃棄する際に、「穴あけをする。」ことがあるために、このように増加傾向を
  示すこととなっている。
 
 ★逆に、「使い切らないで、捨てる」と、清掃車のロータ内で爆発火災を起こし、清掃作業員の方が負傷する
  ことになる。原則「使い切る」をお願いし、どうしても残量がある場合は、付近に火源がない屋外で使い切っ
  てください。 

 事例 (「火災の実態 平成21年版)から

  平成20年11月、 江戸川区内での火災。
  この火災は、住宅の居住者が台所でガステーブルでお湯を沸かしながら、その側で、使用済みで残量の
  残っていたヘヤースプレー缶を廃棄するためアイスピックで穴を開けたため、缶内のLPガスが噴出し、
  ガステーブルの炎の火に引火して、出火した。
  この火災で、行為者の居住者が火傷により負傷しています。

   4, 火災事例に見る火災                              転載を禁ず
 4-1 清掃車両の火災

 現場から見つかったカセット・ガスボンベ
 
 清掃車の荷台箱内から出火
 した火災。
 事業所から出されたゴミを
 収集して、ロータを回したとこ
 ろで、ボンと音がして、火災と
 なった。
 
  
 
 事業所から出されたゴミの中に「簡易型カセットこんろ用のガスボンベ」が捨てられて入っていたため、荷箱内の回転板で
 圧縮する際に、ガスボンベが破裂し中のLPガスが噴出。回転板とガスボンベ等の間で発生した衝撃火花で引火し出火した。
 清掃車の後ろで作業していた清掃作業員が、「ボン」と言う音を聞いて、煙が出てきたので、車のホッパーをあげて、荷台内
 の燃えているゴミを外に出して、消火器で消火したが消えなかった。

 

 この事例のように、エアゾール缶等に起因して発生する火災で最も多いのが、清掃車の火災です。
 そして、昨年(平成20年)ではこの種火災の134件のうち、95件が清掃車本体に火災による被害が発生しています。
 
 荷箱内の「火災」に早く気づいて、路上等に燃えているゴミを排出すれば、ゴミだけの火災ですみますが、発見が遅れ
 ると配線等が焼けて、ホッパーが開かなくなり、箱内で燃えているゴミが消火できなくなり、荷箱台をエンジンカッター
 で切って、注水するため、清掃車の損害は甚大なものとなります。

 また、清掃車の火災として、ゴミの中に多量の100円ライターが混じっていると、同様の火災が発生しています。

  4-2 穴を開けての火災
 
 住宅の台所で、居住者がガステーブ上で
 やかんにお湯を沸かしながら、流し台のシンク
 の中で、ヘアースプレー缶に穴を開けていた
 ところ、LPガスが噴出し、ガステーブルの火で
 引火し火災となった。

 居住者は、近くにあったタオルに燃え移ったの
 で、燃えているタオルヲ流しの中で消火した。
 本人は、顔面等にやけどを負った。

 共同住宅のダイニングキッチンで、居住者が
 ガステーブルに鍋をかけて調理中に、使用済み
 のスプレー缶をスプレー缶穴あけ器で穴を開けた
 際に、噴出したガスがガステーブルの火で引火し、
 出火 した。
 行為者は、噴出した火の点いたガスにより両腕を
 受傷した。

 

 エアゾール缶に「穴を開ける」のは、ほとんどがゴミとして、廃棄するために行っている。
 火災になっているのは、その時にたまたま、ガステーブルを使用して「火」を使っていたため発生しており、たぶん、火を使わない時
 にも実施している習慣が見られる。
 料理店で、簡易型カセットこんろを使用する所では、残量が少なくなっているボンベは早めに取り替えて、穴を開けて捨てる職場環境
 となっている所がある。

 学術的視点から
 
 ★ エアゾール缶の(穴あけ行為による)火災危険性
         
⇒ 平成21年火災学会・研究発表会P1および、「東京消防」21年8月号
                                 東京消防庁・技術安全所 山本氏の論文から


 エアゾール缶の噴射剤
種類 内容量 噴射剤
  エアゾール缶は缶の噴射装置等の仕組みとして
  噴射した時の噴射量は、室内温度の影響はあるが、
  使い始めと終わりでの、残量の量による噴射量の差
  はなく、ほぼ一定に保たれる。
 
 ★ 噴射による「引火」は、噴射剤の引火性ガスのガス濃度
 によって、決まる。
 しかし、「制汗消臭剤」は、内容物の粉末剤が微粉末のため
 ガス濃度以下で発火する。
 
殺虫剤 280g  LPガス、DME
ヘア・スプレー 140g
 LPガス
42g
制汗 消臭剤 135g  LPガス、イソペンタン
45g
 
 実験結果から
 〇流し台の大きさを想定した実験では、シンク内(深さ20cm)で
  殺虫剤を噴射する
と、約1m離れたガス台に置いた火源に
  より、35秒で引火する。
  可燃性噴射ガスの爆発濃度に依存する形態で引火する。
 
 〇制汗消臭剤では、噴射ガスの爆発濃度以前に20秒で引火する

 

 [実験条件]
  
 制汗消臭剤は、その消臭成分の粉末剤が影響(粉塵爆発)して、
                     極めて容易に引火・発火しやすい製品です。


  

 4-3 暖房器具(厨房器具)付近に置かれたため、
           熱的に破裂等して、噴出したガスにより出火した火災 
 
 木造の料理店内で発生したエアゾール缶の爆発火災。
 
 料理店内の厨房内で使用しているガスファンヒータの前に、店で使用する“殺虫剤”
 を置いたまま、ガスファンヒータを使用したため、殺虫剤の缶が破裂し、内部の
 LPガスが噴出して、ガスファンヒータの火に引火して爆発火災となった。

 共同住宅の居室で出火し、室内等30㎡が焼損した火災。

 居住者が帰宅後、暖を取るために点火した石油ファンヒータの前に、消臭スプレー
 が置かれていたため、熱でエアゾール缶が破裂し、石油ファンヒータの火に引火し
 て、火災となった。

 石油ストーブに点火後5分ほどして、「バーン」と大きな音をたてて、燃え上がった。
 
 住宅の居室で、発生したエアゾール缶の噴出火災。

 居室内のガスファンヒータのな前に置かれたヘヤースプレー缶が、点火した
 ガスファン・ヒータで暖められて、上部の噴射口が破裂し、噴出したLPガスに
  より、出火し、内壁等を焼損した。
  学術的視点から

   エアゾール缶の破裂
   
  このエアゾール缶・燃料缶は
    
①機械的な圧縮等の力で缶が壊れる、
    ②缶本体の温度が
7090℃に温められ膨張して缶が壊れる、
  このような時に中の
LPGが噴き出し、火災等の災害を発生させる要因となっています。

    ① 機械的な破損により起こる火災は、主なものにゴミ収集の塵埃車ロータ部で
    発生するもので、年約
100件近くあります。ゴミ袋中に入っているエアゾール缶類が
    ごみ袋と一緒に塵埃車のロータ部で押しつぶされて、破損し、漏れ出たLPGに金属
   圧縮時の火花が火源となって燃え上がります。
   また、「使い切らない」で捨てる際に、缶に穴を開けて「ガスを抜く」作業をする人がいま
   すが、この時にも火災が発生します。住宅だと、流し台でガス抜きして、そのガスが
   瞬間湯沸器の口火に着火し火災となります。
   多量の燃料缶を使う焼き肉店などでは、店員が調理場で缶を潰していて、そのガス
   が充満して爆発事故となったこともあります。
  
  
② 缶が膨張・破損し、LPGが噴出して火災となるのは、
   ○ 住宅では、石油ファンヒータなどの熱風口に置かれていたエアゾール缶が膨張
     破損し、噴出したガスがストーブの火に引火爆発するケース、
   ○ 屋外のバーベキュウでコンロ全体を覆うような鉄板や2台並べての使用などで、
     その輻射熱により燃料缶が熱せられて破損・噴出して、爆発するケース、

     などがあります。

 
 さて、?の「暖められて破裂する」場合の実験結果
     平成19年日本法科学技術学会での 警視庁科学捜査研究所の工藤氏らの論文
       から引用。

  

 エアゾール缶はどのような状態の時に爆発するのか。

 
 容器を熱すると、その製品の種類に係わらず、温度が90~100℃
 で破裂する。


  破裂時には、(熱源を)電気コンロで過熱した時は(噴出ガスに)ほと
 んどの場合着火し、ファンヒータ過熱ではファンヒータの背面側で
 着火することがわかった。
 高圧ガス保安法(適用除外)によって規定され、こんろ用燃料容器に
 ついてはJIS S 2148で示されている。

 両方とも「1.3MPaで変形せず、かつ、1.5MPaで破壊しない」という
 項目がある。右図に蒸気圧曲線を示した。
 この図の縦軸の1.5MPaを越えるのは、温度が90℃前後である
 
ことからも、爆発する際の「温度」がこの範囲を越えるときであることが分
 かる。


 

   4-3 暖房器具(厨房器具)付近で使用したため、
                 噴出したガスにより出火した火災 
 住宅の浴室からの火災。
  
 居住者が、浴室にブキブリがいることから、浴室内
 に殺虫剤を噴射した。
 その後、シャワーを浴びるために、フロ釜に点火し
 たため、滞留していた噴射剤のガスに引火し火災
 となった。居住者は全身熱傷の負傷となった。

 この殺虫剤は、冷却剤を虫に吹きつけて急速冷却
 して、駆除するタイプのエアゾール缶
で、
 噴射剤に引火性の高い「イソペンタン」を用いている。
 
 この殺虫剤による同種事故が多いことから販売中止
 された。
 
 
  4-3 事務機器に使用したため、
                噴射剤のガスにより出火した火災

 販売店の1階事務室から出火した火災。

 事務室で使用しているシュレッダーに紙が挟まり、
 これを取り除いた後に、紙くずを取り除くために、
 エアダスターで清掃した。エアーダスターを念入り
 に使って、その後、すぐに使用するために、電気
 スイッチを入れたところ、爆発火災を引き起こした。
 店員は、前髪を焦がし、シュレッダー内の紙屑が燃
 えた。
 
 エアーダスターはLPガスに近い成分の噴射剤を
 使用しているため、滞留性があり、わずかな火花
 で発火する。特に、電気を通電させたままエアー
 ダスターを使用して、作業を始めると、マイクロ
 スイッチの火花で発火している事例もある。
 

   4-4  使用方法を誤って起きた火災
 
 学校の文化祭で、模擬店を出して
 焼きそばの調理・販売をしていた
 所で爆発火災が発生した。
 
 学生が、模擬店で販売する焼きそば
 を調理するため、簡易型カセットこんろ
 を2台並べて、その上に鉄板(57X43)を
 載せて、調理・販売を始めた。
 
 
 調理を初めて、約1時間30分後に、簡易型カセットこんろのボンベが
 破裂し、爆発火災を引き起こした。そばにいた学生等15人が負傷した。

 左図のように、2台のこんろを覆いかぶさるように、鉄板が載せられ、
 左側の簡易型カセットこんろのボンベは、鉄板の輻射熱を直接受ける
 形態であった。
 
 このように、簡易型カセットこんろは、ボンベ装着部分を覆う形で使用す
 ると覆った調理器具からの輻射熱で、ボンベが熱せられて破裂する。

 
 
 露天の焼きとり屋が、炭火を起こす
 ために、焼きとりこんろの中で、登山
 用カセットバーナを用いて、五徳鍋を
 使って「炭」を起こし、火の点いた炭を
 そのまま焼きとりこんろに入れていた。

 このため、焼きとりこんろ内の燃えて
 いる炭が多くなってきたことから、その
 輻射熱でガスボンベが破裂して爆発
 火災となつた。
 

 簡易型カセットこんろに正しく、ボンベ
 を装着しないで、使用しょうとしたため、
 はめ込み部から燃料ガスが漏洩し、
 器具栓つまみを回して、点火した際に
 はめ込み部に漏れていたガスに引火し
 火災となった。
 
 ボンベの切り込み部に、ムリに取り付けた 
 際の曲がっりが見られる。 

 同様に。
 はめ込み部に正しく取付けられないで、
 セットされて、使用したため、漏れたガス
 に引火して出火した火災

  「簡易型ガスこんろ」は「カセット・コンロ」の名称で、「火災原因調査」コーナの「カセット・コンロの火災
  として、このH.Pの入れてありますので、一緒に参考に見てください。

 5,まとめ
台所で「使い切れないかった」エアゾール缶の底に穴を開けていて、
 開けた際のLPGが、そばの瞬間湯沸器の口火に引火して、台所で爆発した
 ものです。

 この内容の関連記事が、東京消防H.Pにも掲載されています。
 参考にしてください。火災事例などが、絵入りですので広報として、
 使用できます。
 http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/topics/gas_cylinder.html

  冬の住宅火災で、火災調査時に、「爆発音がして」と言う供述がある現場は、石油
 ファンヒータを使用している時は、その多くが、このエアゾール缶類によるもので、ファン
 ヒータ本体とは直接関係がありません。
 この場合には、関係者から詳細に出火室に置いていた「物(殺虫剤・消臭剤などの缶)」
 を確認する必要があります。
 だいたいは、現場から焼損した「底の蓋がはずれたエアゾール缶」が発掘されます。


 火災調査から見ると、このエアゾール缶類の破損時の雰囲気温度「70℃~90℃」
 が日常生活上微妙な温度なのです。一般的には、十分に熱い温度で、容易には発生し
 ない温度でありながら、石油ファンヒータの温風出口やいくつかの条件下では十分に
 発生することがあり得る“温度”なのです。
 つまり、
「普通には安全なものだ」と「油断」させられる条件範囲にあるもの、
 と言えそうです。

 ★ 一番には、使用する人に缶の危険性を知ってもらうことです。
  昔は、一時、充填剤のLPGが危険なので、ハロンが利用されていましたが、地球的規
  模でハロン使用が禁止され、もとのLPGに戻り、不燃剤のハロンの充填剤だったころ
  の「誤った認識」が払拭されないのではと、思う反面、やはり、あまりにも多く、危険性を
  過小評価した製品が日常生活に入り込んでいる都市生活の脆弱要素とも言えます。
 
 ☆ ちなみに、「このエアゾール缶・燃料缶」を用いた火災実験は、極めて危険です。
 昔、この実験、何回かしましたが、始めての時は、「そんなに破壊力ないだろう」と
 思って行なったため、消防活動訓練棟の窓ガラスを見事に、吹き飛ばしてしまい、
 別の時は、安全を考えて、屋外で缶に針金をつけていたのに、引きちぎれて、飛び、
 庁舎の壁を損傷させました。
 「危険だ」との認識の上で、やってください。やってみると、火災現場で内部進入した
 時に 「もし、エアゾール缶が爆発したら!! 」と、考えてしまい、災害現場での
 安全サイドに立つことの意味が、少し、変わります。

 ★追記:エアゾール缶が火災現場にあったために、延焼拡大したのではと思われ
 る事例を 「火災原因調査」の「延焼火災事例No1」に入れてあります。



  <火災原因調査 <