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4. 骨盤底再建外来を受診、再建手術

「骨盤底再建術」まで

人工肛門造設、子宮摘出後に次に起こってくるであろうと言われていた膀胱瘤のことが 2005年1月頃から気にかかる様になり東京都老人医療センターを受診し、膀胱造影を予約。膀胱造影では膀胱瘤は起こっていなかったが、そもそも骨盤底を治す時は、子宮脱、直腸瘤、膀胱瘤と別々に行う事はないということを知ることとなった。
2006年1月に違和感が強くなり、初めて名古屋第一日赤「女性泌尿器科」を受診。膀胱造影により膀胱瘤を確認、手術を予定するも、直腸からの下血も起こってきた為、泌尿器科と婦人科の二科では手術が困難となってしまった。
消化器外科主治医の紹介で「骨盤底」を専門とする病院が解り、紹介状を持って市立砺波総合病院大腸肛門科を受診となった。すぐに泌尿器科の医師も加わっての診察となり、会陰全体の下垂、「骨盤底全体がゆるんだ状態で膀胱、小腸、大腸が出てくる状態」という診断がなされ、手術の運びとなる。
骨盤底再建術として膀胱、直腸の手術を同時に行うこともできるが、私の場合は直腸の方は開腹手術が必要となる為、感染を起こす事がない様にそれぞれ別々に行う事となった。


泌尿器科

診察及び膀胱造影検査と、今までの経過から判断して手術適応となった。
膣前壁と膣後壁にメッシュ
*1を入れるTVM*2の手術が可能であったらと思ったが、既に膣後壁はレクトシールの手術の時に手を加えてある為に、後壁にメッシュを入れるのは不適と判断された。前壁側は、メッシュをいれ、後壁側は大腸肛門科が行う事となった。
腹圧性尿失禁に関しては、自己導尿をこまめに行っていた為に左程の症状はなかったが、膀胱造影から判断すると失禁があってもおかしくない状態であった為、ポリプロピレン製のテープで尿道を支えるTVT
*3を行うこととなった。

大腸肛門科

排便が困難で2004年6月に人工肛門を造設し、その時に同時に子宮摘出もしていた。排便造影
*4検査により、初めて、骨盤底出口閉鎖症のうちの「直腸重積」という診断がなされた。
これは、直腸がアコーディオンの蛇腹の様に折り畳まれてしまうという状態で、その為に排便が困難となっていたことがわかった。肛門筋電図検査、人工肛門からの大腸ファイバー検査により、人工肛門を閉鎖し、重積している直腸を伸ばして仙骨に固定、さらに萎縮性腸炎の部分は切除するということとなった。これにより、萎縮性腸炎による下血の症状もなくなる。
排便造影、肛門筋電図などはいずれも聞いた事もなく、初めて受ける検査であった。

以下は手術説明より


膀胱瘤の手術 (泌尿器科)(2006,6.29)
(直腸に関する疾患は、二次的に手術予定)

診断名
膀胱瘤・腹圧性尿失禁・神経因性膀胱

状態
骨盤底全体がゆるんだ状態で、膣壁を介して、膀胱、小腸、大腸がでてくる状態。膣後壁(大腸側)は既に手術し、再発の状態。

手術内容
膣前壁側(尿道から膀胱)の手術のみを今回行う。膣前壁と膀胱の間にポリプロピレン製のメッシュ(5×6)を入れ、骨盤骨側の固い組織に固定。さらに、ポリプロピレン製の細長いテープを尿道周囲から下腹部皮下に入れる。(失禁防止)

目標
膀胱が膣から脱出しない様にする。腹圧性尿失禁を軽減。自己導尿は継続。

直腸挙上固定術・S状結腸切除吻合・人工肛門閉鎖術(大腸肛門科)(2006.7.26)

診断名
直腸出口閉鎖症(直腸重積症)・直腸からS状結腸腸炎・骨盤底筋群機能低下

手術内容
直腸挙上固定術
重積している直腸を伸ばし、後方を仙骨に固定、前方は腹膜で固定する。S状結腸切除吻合、人工肛門閉鎖術、萎縮性腸炎の部分の切除と人工肛門を閉鎖して直腸につなげる。

  • *1 メッシュ
    もともと弱くて緩みやすい自分の組織の変わりに用いられる様になったポリプロピレン製のメッシュのこと。メッシュが骨盤底の筋肉や筋膜の役割をする。
  • *2 TVM
    骨盤底全体を膣前壁用メッシュと膣後壁用メッシュを用いて支え、骨盤臓器が膣から脱出しないと同時に力がかかってもそれ以上下がる事がない様にする手術のこと。緩んだ靭帯や筋肉を補強する。
  • *3 TVT
    TVT手術は尿道の下に、調度尿道を支えるように人体に影響のないポリプロピレン製のテープを通す方法のこと。緩んだ恥骨尿道靭帯を補完し、尿漏れを防止する。
  • *4 排便造影
    造影剤を使って排便時の直腸肛門の動きや形態の変化をX線で調べる検査のこと。
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