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3. 膀胱瘤・下血などの心配
2005年1月
骨盤臓器脱に関する情報が知りたかった私は、東京都老人医療センターの婦人科の医師がメールで相談に応じて下さっているのを知り、 早速、今までの経過を書いて送る。それに対して以下のコメントを頂戴する。
「大変複雑な経過ですが、最初の病態は『pop (pelvic organ prolapse)と直腸脱』であったものと思われます。直腸脱の手術は外科で受けられたと思いますが、この時にPOPが並存していたと考えるのが自然です。二回目のレクトシール(直腸瘤)の手術は何科で受けられましたか?専門とする婦人科医、骨盤底外科医の場合、直腸瘤だけで治療を終わらせる事はありません。三回目の手術では腸の切除、人工肛門を造設しなければならなかったということはかなり重大な問題が起きていたこととなります。
何回か手術をしているので、現在再発だとすればそれを治すことができるか難しいところですが、一度診察をしていただければ、適切なアドバイスができるのではないかと思います。」
経過を待って受診する。後日、膀胱造影を行ったがすぐに手術が必要な段階ではなかった。
2006年1月
導尿する際に、カテーテルが入りにくいことと違和感を感じることで膀胱造影*1を行い、膀胱瘤*2と診断される。繰り返しの手術となる為、初めて「女性泌尿器科」を受診することとした。診察では、
排尿に関しては尿意を感じないので”低活動膀胱”で、これからも自己導尿は続ける必要があること、膀胱造影では、寝ている状態では骨盤内にある膀胱が、立位で腹圧をかけるとぐっと下がることがわかった。側面から撮った写真では、立位になると撮影の為に尿道に入れたチェーンの角度がかなり鋭角になっていて、これがカテーテルが入りにくいという私の訴えにつながっていることがわかった。メッシュを使った手術を予定するが、メッシュの手術が始まったばかりという点、高齢の方ではなく、実際に働いている年齢の人に対する手術だという点で環境が整う8月とすることとなった。
2006年4月
人工肛門から排泄をしている為に普段使っていない肛門からの下血が始まる。ペンタサ注腸*3で対応する。5月に内視鏡検査で萎縮性腸炎と診断され、膀胱瘤だけでなく、直腸の問題が重なってきた。そこで、泌尿器科、婦人科、大腸肛門科からなる骨盤底再建外来受診となる。
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- *1 膀胱造影
膀胱にカテーテルを挿入し、造影剤を注入し膀胱内の状態を抽出する検査。女性の場合は、チェーン膀胱造影と言い、造影剤と同時に尿道からチェーンを入れて膀胱と尿道の形態を評価する検査もある。
- *2 膀胱瘤
「骨盤臓器脱」のひとつ。
膀胱が膣前壁を介して膣に落ち込んだ状態のこと。また、尿道が落ち込んだ状態は尿道瘤という。
- *3 ペンタサ注腸
腸の炎症を抑える薬で主に潰瘍性大腸炎に用いられる。
一日一回、直腸内に直接注入する。
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