戦争を見つめ平和を考えるために
これら5本の映画は1990年代半ばに迎えた終戦50年目を境に、太平洋戦争やそこに至る道のりを描き、戦争に明け暮れた日本の近・現代を見つめてみようと企画され、制作されたものです。
5本を順に通して見てみると、ある必然性が浮かび上がってきます。明治維新後、欧米列強に肩を並べんと近代化を急ぎ成し遂げていく日本が、その道のりの中で朝鮮半島や中国大陸に市場と資源と労働力を求めて侵略の手を伸ばし、覇権を巡り中国やロシアと戦争となり、勝ってさらなる侵略へと進み、激しい抗日の戦いには武力と残虐な殺戮で臨み、中国大陸での戦争が泥沼化すると打開の道を東南アジアに求め、ついに世界を相手に戦争をしなければならなくなり、その終着駅が1945年(昭和20)の廃墟と化した日本であった、という破滅への道の必然性です。
どんな戦争にも必ず起こる原因があり、その原因は様々ですが戦争の顔は、どれも惨く同じです。そして最後は破滅であることも同じです。アフガニスタンでの戦争も、イラクでの戦争も、パレスチナでの戦争も。歴史はそれを示唆しています。そうした意味で、21世紀を迎えてもなお、戦争が時代の主役である今、平和を考える一つの力でありたいと願い「日本の戦争」シリーズを一人でも多くの人に見てもらいたいと思っています。
脚本・監督 中津義人
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スタッフ
企画 岡田順徳 撮影 川田秀明 高岩 仁 常田高志 録音 栗林豊彦 照明 田久保剛
編集 桑原孝子 音楽 杉田一夫 ナレーター 下條アトム 制作 東映株式会社教育映画部 |