「금오신화」(金鰲新話)(きんごうしんわ)は、朝鮮時代に書かれた韓国最古の小説である。 作者は、김시습(金時習)(1435~1493)で、경상남도(慶尙南道)경주(慶州)にある금오산(金鰲山)(現在の남산(南山))で書かれたものである。 ハングル文字が誕生以前の小説であるから、当然、全文が漢文で書かれている。日本人のわれわれが、読むのは、難解である。 幸い、現在は、韓国でハングルに韓国語訳したものが出ているので、それを読むのがよいが、これとて難解である。 不幸にして、日本語訳の本は、ない。 現在、われわれが目にすることができるのは、「금오신화」(金鰲新話)(乙)であり、不思議なことに、原本は日本で発見されたものである。 更に、どこかに(甲)があるのではないか、という期待もある。 本書は、全部で、5篇の短編小説からなり、いずれも典型的な伝奇小説である。いくつか特筆すべき点があるが、第一に主人公が一様に才子佳人的な人物であること、第二に文章表現が漢文の文語体で書かれており、物事を美化させて表現している点、第三には日常的・現実的なこととはかけ離れた神秘的な内容である点、などを挙げることができよう。 5篇とも、「生きた人間と死んだ人間」、「この世とあの世」そして、「現実と夢」とが対比する世界に属した二人が登場する構図である。 ともかく、読者を不思議な世界に引き込んでくれる。 古風な単語や、難解な表現もあるが、ぜひとも、一読をお勧めしたい。 上に述べたように、残念ながら、日本語訳の書籍は、ないようである。 少し詳しく研究される方は、下記の文献が参考になるであろう。