波号第九潜水艦は波九型(S型)潜水艦の1番艦である。
明治末期、アメリカやイギリスから輸入した潜水艦の育成困難や川崎型(波六型)の失敗で国内建造を一時断念した日本海軍は、再度の技術導入のため1911年(明治44年)12月、フランスのシュナイダー(Schneider)社に最新式のローブーフ(Laubeuf)型潜水艇S型2隻を発注した。この潜水艇はフランスのローブーフ(Maxime Laubeuf)造船官の設計によるもので、複殻(二重殻)構造で艦内には横壁があり、機関はシュナイダー式石油機関であった。 しかし建造途中に第1次大戦が勃発したため、第十四潜水艇はフランスの要望によりに売却された。 第十五潜水艇は徴発を免れるため未完成のまま特殊運搬船「カンガルー」で日本に輸送され、1916年(大正5年)6月、日本に到着、呉工廠で残工事が施工された。 第十四潜水艇の代艇として、ほぼ同型の潜水艇を呉工廠で建造した。 S型の複殻式船体構造や石油機関2基2軸などの構成は、従来の日本潜水艇に見られないものであり、以後の潜水艦設計の設計上重要な参考になった。(1)
新造時 | |
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艦種 | 三等潜水艦 |
艦型 | 波九型(S型) |
水上排水量 ※1 | 480トン(基準)/480トン(常備) |
水中排水量 ※1 | 737トン |
全長 | 58.60m |
最大幅 | 5.18m |
喫水 | 3.25m |
主機 | シュナイダー式石油機関2基、2軸 |
主電動機 | 閉鎖通風型×2 |
蓄電池 | ペースト式×192 |
出力 | 2,000馬力(水上)/850馬力(水中) |
速力 | 16.5ノット(水上)/10ノット(水中) |
燃料 | 石油:35トン |
航続力 | 10ノットで2,050浬(水上)/4ノットで60浬(水中) |
乗員 | 39人 |
兵装 | 短5cm単装高角砲1基 45cm魚雷発射管2門(艦首) 45cm魚雷発射管4門(水上) 魚雷8本 |
安全潜航深度 | 40m |
その他 |
※1:英トン(1.016メートルトン)
年月日 | 履歴 |
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1918年(大正5年)12月5日 | 第十四潜水艇と命名。 シュナイダー(Schneider )社で建造中に、フランスに徴用された第十四潜水艇の代艦として建造。 |
1918年(大正7年)3月28日 | 起工。 |
1918年(大正7年)7月8日 | 進水。 |
1919年(大正8年)4月1日 | 第十四潜水艦と改名。 |
1920年(大正9年)4月30日 | 竣工。 呉鎮守府籍。 第二艦隊第一潜水戦隊第十七潜水隊に編入。 |
1920年(大正9年)8月29日〜9月7日 | 館山からシベリア沿海に向かい、教練演ののち小樽に帰着。 |
1920年(大正9年)10月11日 | 第十七潜水隊は解隊。 横須賀防備隊第二潜水隊に編入。 横須賀鎮守府に移籍。 |
1923年(大正12年)9月1日〜30日 | 関東大震災の救援作業にあたる。 |
1924年(大正13年)10月21日 | 波号第九潜水艦と改名。 |
1929年(昭和4年)3月20日 | 第二潜水隊は横須賀防備隊から除かれる。 |
1929年(昭和4年)4月1日 | 除籍。 |
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