平成20年1月4日(金)(旧暦11月26日)
中泊 コデ島の瀬戸

長潮(干潮10:15) 水温17.7℃

小学生の頃、バレンタインデーに高嶺の花から呼び出しを受けた。

「これ、○○君に渡しておいてもらえる?」

今日は4日、飛び石連休の平日。中泊2日目、沖の名礁に渡れるかもしれない。

しかし乗ったのはやっぱり岡行きの船。

そんな気分だった。

下校時刻、あ〜、むなしい・・・。

ふて腐れて帰っていたら、「途中まで一緒にかえろっ!」ふいに声をかけられた。

高嶺の花じゃない、少し身近な存在に。

「○松さん、ちょっといいかな?」

出船前、船室の奥でくつろいでいると船長によばれた。

「○松さん、ジャンケン強いかな。」

そして向かった先は「ナカバエ」。沸々と闘志が沸いてきた。

激流の名礁ナカバエ
(バックは横島、横島の左端にあるのはコケとノコギリ)
「西海にナカバエあり」

かつてはそう言われていたらしい。

激流差し込むコデ島と小地島の水道に位置し、神津島でいえばさしずめ祇苗のヒラダンのような存在だろうか。

「かつての英雄」

そんな言葉がぴったりのこの名礁は、ノコギリ、ヤッカンのそれとは違う独特の風格を醸し出している。

「えひめ渡船は大三角には行かないんだよな・・・。」

同じ岡磯まわりには大三角があるためか、ナカバエと聞いても素直に喜べないM先生。

そんな未熟な僕らに、このかつての英雄は、

「若いのよ、ワシはワシじゃよ。」そうやさしく語りかけてきた気がした。

60オーバーの尾長こそ最近は出ていないが、50オーバーなら数出ている。マダイは毎年90オーバーが数出ている。

ぼくは季節はずれに一度立ったことがある。船着きの足元はまさに「舞台」だった。

ぼくとしては、名礁バブラーのM先生、荒磯好きのバリ君に、この先人たちが歴戦の舞台に絶対に立たせたいのである。

今まさにシーズン、平日とは言え正月休み、そして天下のえひめ渡船。

十分に価値がある勝負、一生に一度のチャンスかもしれない、そしてぼくが他船との磯取りジャンケンに船首へ立った。

バリ君、ジグを投げている(AM7時)
不覚、まけてしまった・・・。

船はコデ島へ舵を切った。

向かった先はコデ島の瀬戸の裏方面。

ここは、ワンドの奥、口太場だ。

M先生「東、せめて東にいきたい!」と叫ぶ。

が、瀬戸の裏にチャカ付け。

若潮のナカバエ、磯際をじっくりやれただろうに。
2番目の客はコデ島の東のよう。

痛い!

前回はシケで船着場からまったく動けなかった。

今日は本命場は波を被っているが、途中まではいける。

M先生はサラシでヒラスズキ狙い(AM7時半)

まだあきらめない・・・(AM8時)
そこに立った時にやっと気が付いた。

ここは、忘れ物が5つもある場所だ。

今日は裏から回ってきたから気が付かなかった。

狙い方はわかっている。
季節は逆だが、潮は同じ。

生命反応も同じ、じっくりと狙える。

本命の潮が差してきた。

引き潮の時は引かれ潮、満ち潮の時は本流の枝。

本命場の足元に向けていつも同じ潮が流れる。

M先生、風裏でフカセ(AM9時)

コデ島の東(AM9時半)
尾長との勝負は「間合い」にあると思っている。

ボイルを風に乗せてできるだけ潮上に打つ。

竿下で2ヒロくらいのところを流れているのだろうか。

仕掛けも潮上にいれ、

足元から磯際に沿って潮下10mの範囲で勝負をかける。

そして尾長が潜んでいるであろうシモリに届くか届かないか

の間合いで仕掛け張って、緩めて、尾長を誘う。
とは言っても単なるイメージ、

実際にどうなっているのかはわからないが、

尾長がすぐそこまで浮いてこないような磯、

一級地域のB級磯で一番強烈なアタリに遭遇する方法。

シモリは目の前、バラシが多いが食わせなければ始まらない。

2ヒロまでは人の間合い、

2ヒロ〜1本半までは両者の間合い、

1本半以上は尾長の間合い、か。

例のポイントにたつM先生(AM10時)

ぼくとベラ
しかし、今日は潮回りが小さいためか、引き潮が弱く、

潮がフラフラフラフラしてポイントが定まらない。

11時頃、上げ潮が差してきた。

まだ2回しかウキが入っていない(沖の深場でベラ2匹)。

やっと、本命場に向けて潮が流れ始めた。

途切れた集中力をかきあつめ、シモリを狙う。
宮川明さんが神津のオンバセで58cmを釣った時、

半日粘ってたった一度のアタリでしとめたそうだ。

そんなことを考えながら、

海中をイメージしながら流し込んでいく。

ぼくに強烈なアタリ(AM11時半)

サンノジ
ここで掛けてもな、というところで、

スパッ!!!とウキが消えた。

リールがトラブリ道糸が一気にだされた。

ダメかとおもったら魚が沖に出ている。

尾長じゃないだろう。

「口太か!マダイか!?」

「サンノジだ!!!」
ダメだ・・・。

その後ちょっとグレっぽい魚が見えた気がした。

ハリス1.7号、ビトム4号に仕掛けを落とす。

あきらめムード(12時半)

やりとり中(13時頃)
そしてまた同じようなアタリ!!!

サンノジだ〜。といいつつも心の中で少し期待。

浮いてきた。M先生と叫ぶ。

「いやマダイだ!」

サンノジだった。
そしてついに心が揺れた。

明日は中泊はやめて、鵜来か由良か日振か・・・。

船頭に「未熟でした・・・」と話したら、

神妙な顔つきで船頭、

「こっちの練習もせんといけんで!」と。

ジャンケンのことだ。いい渡船屋だ。

小三角

平浦堤防でエギ中
船を代表して名礁に立つからには結果を出したい、

それが名礁バブラーたる資格だ。

あまりにも悔しいので2次会にいった。

そしてまた撃沈。

こんな沈みこんだ宇和海は初めてだ。

(仕掛)
制覇2号、道糸2.5号、ウキ3B〜5B、ハリス2.25号、
アワセ尾長6号

(エサ)
ボイル3枚
とじる?