A●Sシリーズ再び。
ダークと言えばダーク・・・?
どうして僕らはここにいるの?
「Sweet Silence」
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土曜の午後。 彼女がずっと見たいと言っていた映画を見に行った。 有名な悲恋モノのリメイク。 スクリーンの中の恋は、それがたとえ悲恋でもキレイに映されていて。 それを滑稽だと思いながら、隣で涙ぐんでる彼女の肩をやさしく抱く。 そんな自分の方がよっぽど滑稽で、笑えた。 映画館を出ると空はどんよりと曇り、今にも雨が降り出しそうだった。 傘も持ってないし、特にこの後の予定は立てていなかったので、 今日はもう帰ろうか。と言うと彼女は少し残念そうな顔をする。 それを見て、僕もとても残念そうな顔を作る。 「君に風邪ひかせたくないから」なんて僕の言葉に頬を染めて頷く様は本心から可愛いらしいと思う。 可愛い。 それ以上でも以下でもない想い。 ・・・・・・サイテイな自分。 彼女の家に着く頃にはパラパラと雨が降り出していた。 傘を持って行って、という申し出を柔らかく断り、触れるだけのキスをする。 次の約束を持たない代わりに、別れ際にキスするのが常となっていた。 「また、月曜日学校でね」とだけ残して駅の方へ駆け出す。 そこの角を曲がるまで、彼女が僕の背中を見送っているのは知っていたけど、 僕は振り返ったことはなかったから。 彼女が、どんな目で僕を見送っているのか、知ることはなかった。
φφφ φφφ φφφ
「豪っ」 聞き慣れた声で名前を呼ばれて振り返ると、そこに烈兄貴がいた。 本屋の雨よけから手招きをしている。 手に傘を持っていないとこを見ると、目当ては俺がさしてる傘だな。 なんて考えながら、俺は本屋に駆け寄った。 「こんなに降ってくるなんて詐欺だよなー。 ホント、豪がいて助かった」 「詐欺って・・・烈兄貴、朝、自分で今日は雨降るって言ってたじゃんか」 「僕は降る前に家に帰ってる予定だったんだよ。 こんな早く降り出すとも、こんなに大降りになるとも思わなかったし」 「あっそ」 なんだか烈兄貴らしくない。 降水確率50%で傘持ち歩くような性格なのに。 同じ傘に収まって隣を歩く兄貴にちらりと目線を移すと、 本屋に逃げ込む前に降られたせいで、赤い髪は濡れて、額に何本かくっついている。 制服のYシャツもしっとりと湿って幾分肌が透けていた。 俺が通りかからなかったらどうするつもりだったんだよ。 雨が止むのを待つつもりだったのか。 家に連絡くれるつもりだったのか。 それとも他のヤツを呼ぶつもりだったのか・・・。 どす黒いモヤモヤしたものが胸に広がっていく。 ジワジワと胸いっぱいに広がっていく、それが"嫉妬"だと、君に伝えられたらどんなにいいだろう。 「ところで、豪、こんな雨の中どこ行ってたんだ?」 私服な上、傘以外手にしていない俺を不思議に思ったのか横目に見上げてくる烈兄貴。 「レンタしてたCD、今日返却日だったから」 「あぁ、先週借りてきたヤツ?」 「っそ」 烈兄貴はその答えに満足したのかそれ以上は聞いてこない。 「烈兄貴こそ・・・・・・」 土曜だってのにこんな時間まで何してたんだよ。 「なんだよ?」 「・・・・・・なんでもねぇ」 「言いかけて止めんなよー。気になるだろ」 悪いけど。 聞きたくない答えを自分から問うほどバカじゃねーんだよ。
終わりのない想いが危険な迷路を彷徨う
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なんかね、烈受けの方はみんな烈に彼女いるところが想像できないっちゅーんですよ。 何故?烈兄貴、あんなに男らしいのに!! 豪はいつでも女を侍らせてるイメージなのに!!!<そんなイメージはお前だけだ。 でも、自分でも「烈と彼女」が想像できなーい。 よーし、じゃぁ、実際書いてみよう。 ということで書いてみたのですが、いやはや。 お前ら・・・・百合か?というデキでした(爆)。 ま、いいわ。どーせ豪烈がメインだし、彼女なんてオマケよオマケ。はは。 ってココに気づく人何人いるのかしら?