ベッドの脇に投げ出された学バンをひっつかんでドタドタと音を立てながら階段を駆け下りる。 リビングに入る前に玄関で靴を履いている烈兄貴の背中が見えた。 「兄貴っ、学校途中まで一緒に行こっ」 上半身だけ廊下に残したままそう声をかけると渋い顔で「2分」と言われる。 2分もあれば余裕だろ。 1分半でトーストと牛乳を口に流し込み、学ランを引っかける。 「おまたせっ」 玄関まで行くと兄貴は「まったくしかたないヤツ」って顔で見上げる・・・ ハズなんだけど。 「・・・・ぷっ」 人の顔を見て急に吹き出すなんていくら兄貴でもヒデーじゃんか。 あ。もしかして、派手に寝ぐせついてるとか? 慌てて頭に手をやってみるが、どこがどうおかしいのかわかんなきゃ直しようがない。 「バーカ」 ムカッ。 なんだよ、なんだよ、なんだよーっ! 「トーストのカスついてる」 ・・・なんだ、頭じゃなかったのか。 今度は手の甲で口のまわりをゴシゴシこする。 「違う」 ん? 「どーやって食べたらこんなトコに食べカスつくんだよ」 そう言って俺の鼻の頭を手で軽く払う。 こんなやりとりは別に珍しいことでもないし。 とりたててどうってゆーんじゃないけど。 そのスゴク自然な動きと、優しい目と、柔らかい空気と。 もう、ずっと忘れてたような、なんだか妙に懐かしくてくすぐったい。 けど、幼かった頃とは質の違う。 こういうのって、なんか、スゴク・・・・・・。 「あー!!!バカにかまってたら時間なくなった! 母さん、行ってきますっ!」 腕時計を見て慌てて玄関のドアに手をかけた兄貴をぐいっと引き寄せて。 「なんだよ?」 「ちょっと幸せのお裾分けをv」 烈兄貴が「はぁ?」っと眉を寄せるのもお構いなしに顔を近づける。 後で「玄関でなんてことすんだ」とか、 「お前のせいで走らなきゃいけなくなっただろ!」とか、 「電車乗り遅れたらどーしてくれんだ」とかわめくだろーか。 もしかして拳のひとつくらい飛ぶかも。 まー、それくらい甘んじて受け止めてもいいかな。 こうやって・・・・・・兄貴が目を閉じて"俺"を受け入れてくれるなら。 「Sweet Silence」
− 6 −◇ END ◇ なんか、終わってみたら全然裏っぽい内容くないような・・・。 んーどこが爽やかエロ?(まったくだ。) エロさも暗さもたいしたことないけど、一応、総合判定で裏。 なんか・・・最後はバカップル仕上がりにしないと気が済まないらしい・・・はは。 ところで、この"秘密あとがき"を読まれてる方はどれくらいいらっしゃるんでしょうか。 見つけた方は裏チャットにハッピーアイスクリーム!と書いてみましょう。 何ももらえませんが、あいこがムダに喜びます(笑)。
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