起業・開業のための融資(銀行借り入れ)の基本
金融機関から融資を受ける(銀行から借り入れをする)方法は、大きく分けると3つあります。
- 政府系金融機関から融資を受ける
- 民間の金融機関から保証付き融資を受ける(信保付融資)
- 民間の金融機関独自の融資を受ける(プロパー融資)
政府系金融機関
政府系金融機関というのは、政府から出資を受けて設立された金融機関のことです。
経済の発展や国民生活の安定を目的として公的使命を帯びています。
いくつかある政府系金融機関のうち、主に事業資金融資を行っているものに
- 日本政策金融公庫
- 商工組合中央金庫(商工中金)
があります。
なかでも、起業や開業、また中小企業の事業資金については、日本政策金融公庫ということになります。
起業する場合の開業資金については、銀行など民間の金融機関からの融資はほぼ見込めません。
自己資金では開業資金が足りないという場合で、金融機関からの借り入れをしたいということであえれば、まずは日本政策金融公庫へ相談するということになると思います。
保証付き融資
保証付き融資は、まず銀行など民間の金融機関からお金を借ります。
融資の窓口は、銀行などの金融機関です。
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この借り入れをする時点で、信用保証協会に保証料を支払います。
そうすると信用保証協会は債務を保証してくれます。
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借りたお金の返済は銀行に対して行います。
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返済が終わる前に、不幸にもお金を借りた会社が倒産した場合、
信用保証協会が債務を肩代わり(債務保証)して、銀行へ返済してくれるのです。
信用保証協会
信用保証協会は、国や地方自治体が金融機関の協力のもと運営している機関で、都道府県ごとに設置されています。
信用保証協会の保証をつけるかは金融機関が判断することになります。
「信用保証」のしくみ
「部分保証」について例をあげて簡単に説明します。
事業の運転資金として銀行から1500万円を借り入れたとします。
借り入れの80%を信用保証協会が保証する信保付融資でした。
(20%部分は銀行がリスクを負います)
500万円を返済したところで、残り1000万円が返せなくなりました。
その残りのうちの80%部分である800万円は保証協会が代わりに、銀行に返してくれます。 (800万円の返済義務がなくなるわけではなく、一時肩代わりをしてくれた保証協会に対する返済義務が発生します)
信用保証協会の保証がつくと、銀行は貸したお金のうち、80%部分はほぼ確実に返してもらえることになります。
リスクが低くなるので、その分貸しやすくなる、というわけです。
借り入れをした会社は、この借り入れの肩代わり(保証)に対して、「信用保証料」という対価を支払うことになります。
これは利息とは別に支払う、借り入れのためのコストです。
信用保証料は、借り入れの金額に一定の料率をかけることにより、その金額が決まります。
制度融資
信用保証協会の信用保証の他に、「制度融資」というものがあります。
融資先(お金を借りた会社)が倒産した場合、都道府県や市区町村が肩代わりするしくみです。
制度融資は、信用保証協会とは別枠の保証制度です。
制度融資を受けるには信用保証協会の保証が必要という場合もあります。
地方自治体では「利子補給」や「セーフティネット保証」といった優遇措置を実施しているところもあします。
会社や事業所がある都道府県と市区町村の両方について、調べることをお勧めします。
(インターネット検索例「制度融資 東京都」「制度融資 世田谷区」など)
プロパー融資
銀行など民間の金融機関から借り入れをする場合、信用保証協会の信用保証をまったくつけずに行われる融資のことです。
借りる側の会社は、信用保証料の支払いというコストをかけずに借りることができます。
貸す側の銀行は、保証協会の保証がないので、融資のリスクを100%自行で負うことになります。
融資のリスクを100%負ってまでも融資を行うということは、それだけその貸付先の会社の返済能力を高く評価しているということです。
それだけ「良い会社」ということです。
銀行借り入れ・融資に関連する事項
2種類の返済方法
借りたお金の返済方法は2つあります。
- 元利均等返済(元利均等償還)
- 元金均等返済(元金均等償還)
です。
● 元利均等返済(元利均等償還)
金融機関への毎回の支払額が一定額になる返済方法です。
この支払額の中に、元金返済部分と、利息支払い部分が組み合わされています。
イメージとしては[図1]のような感じです。
□・・利息支払い部分
■・・元本返済部分
[元利均等返済イメージ図1]
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毎回の支払額が一定なので、キャッシュフロー(現金の出入り)が理解しやすいというメリットがあります。
返済期間の前半ほど、利息支払い部分が大きく、元本返済部分が少ないので、借入金自体がなかなか減りません。
● 元金均等返済(元金均等償還)
金融機関への毎回一定額の返済を行う方法です。
借入金の残高が減っていくので、利息部分の支払いも徐々に減っていくことになります。
イメージとしては[図2]のようになります。
□・・利息支払い部分
■・・元本返済部分
[元金均等返済イメージ図2]
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同じ金利、同じ返済期限であれば、支払う利息総額は、上記の元利均等返済より、この元金均等返済のほうが小さくなります。
このことと裏返しのことになりますが、借り入れて得たお金は、早期に出ていくことになります。
2種類の金利
● 変動金利
金利情勢の変動に応じて、定期的に金利が変動するものです。
● 固定金利
借り入れ時の金利が固定されているものです。
借り入れ時点の後、金利情勢が上昇した場合は得することになり、金利情勢が低下する場合は損することになります。
ただし、固定金利とはいっても、完全固定というわけではなく、長期的には金利の見直しはあります。
変動金利よりは「一定期間固定的」というところでしょうか。
返済据え置き期間
借り入れが実現したら、当然のことながら返済をしていく必要が生じます。
借り入れた1ヵ月後から毎月1回返済を開始する方法が一般的です。
そうではなく、金融機関の設定によっては、借り入れてからすぐに返済を開始しないで、一定期間据え置いてからの後に、返済を開始するという方法もあります。
返済の据え置き期間を設ける分、金利の支払い総額は高くなることになりますが、ケースによってはこの方法がマッチすることもあります。
開業後の2種類の借り入れ
会社設立や個人事業開業後、銀行など金融機関からの借り入れには、その資金の用途により2つに分けられます。
- 設備資金
- 運転資金
設備資金
建物、機械、車両などの購入用途のための借り入れです。
その設備資産の購入前に融資を申し込むことになります。
返済期間は、設備の種類や金額などによりますが、15年など比較的長期になります。
運転資金
設備資金以外の目的で借り入れるものです。
仕入先や経費の購入先に対する支払いにあてたり、賞与など人件費にあてたり、納税にあてたり、など。
返済期間は5年前後。
賞与や納税など、はっきりした目的がある場合は、次の支払時期までの半年間という短期のものもあります。
民間の銀行は、融資実績(借り入れしてから返済の実績)がない場合は、短期での借り入れからスタートという段階を踏みたがります。