HOME   Lovely、Lovely、Happy !   sf 03 ← → sf 05
LOVELY、LOVELY、HAPPY ! - summer festival -





白い生地に桃色、赤色の小花が散った浴衣を着た桐香ちゃんは、嬉しそうにくるりと回った。
褒めてもらうのを待つ目で竜くんを見上げる。
「ん、可愛い可愛い」
ニコニコと言う竜くんに、この人だって相当 妹バカだと思う。
桐香ちゃんのお父さんに文句を言えない。
「可愛いですね」
細かく三つ編みをして、上でまとめた桐香ちゃんは、薄化粧をしてもらって、とても可愛らしかった。
私が褒めると、敵相手に複雑そうに口を尖らせたが嬉しいのか、頬を赤くした。
…うーん…やっぱり可愛い…。
いつもは敵対心でもって憎まれ口をきかれているから、そっちに意識がいってしまうだけで、本当はとても素直なイイコなのだ。

カラカラといくつもの下駄の音、屋台からの光、駆けていく子供たちの笑い声。
日は落ちて、ゆっくりと色が沈んでいく。
「りゅう、あれ、あれ!」
「桐香! 離れると迷子になるから!」
竜くんが走り出そうとする桐香ちゃんの腕を掴んで止めた。
その横を私が歩く。
はぐれるからと私の腕を掴んだ手は、今は桐香ちゃんのものだ。

「伊集院」
桐香ちゃんが ねだっている横で竜くんが振り返った。
「カキ氷 食べる?」
俺はイチゴにしよう、と品書きを眺めている。
「桐香もイチゴ!」
竜くんの手にぶら下がるようにして、桐香ちゃんが言う。
「私はオレンジ」
「オッケ」
竜くんはジーンズの後ろのポケットから お財布を出した。
「伊集院、持ってて」
「え?」
手渡されたのは、桐香ちゃんの、手。

「……」
「………」
思わず、桐香ちゃんと見つめ合ってしまった。
竜くんはオッチャン、氷、と注文している。
「……桐香ね、」
きゅっと少し痛いくらいに私の手が握られた。
「おねえちゃん、キライ」
泣きそうに俯うつむく。
それでも手は縋すがるように握られていた。

「いつも、りゅうといっしょで、……ずるいよ」

「桐香も いっしょに いたいのに…」

「……」
何も言えなかった。
俯く小さな女の子に、私まで泣きそうになってしまう。

気持ちが判るから。
すごく判るから。

その後、桐香ちゃんは竜くんではなく、私の手をずっと握っていた。
いずれ離される竜くんの手に、脅おびえるかのように。






つづく






HOME   Lovely、Lovely、Happy !  sport meet 1 19  s-fes 1
この小説は、楽園 に登録しています。 気に入ってくださった方、もし宜しかったら投票よろしくお願い致します。 (全データ、「祐」、「HAPPY」で検索して下さい)