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LOVELY、LOVELY、HAPPY ! - summer festival -






だって、普通の反応だと思うの。

口紅なんてシャツにつけてきたら、 浮気(付き合ってないけど)を疑っても仕方ないと思わない?
わざと竜くんの気づかない位置につけて、恋人(付き合ってないけど)に 見せつけようとしているのよね?
宣戦布告よね?!

「あー?これ?抱きついてきたときかな…」
いけしゃーしゃーとまあ!

「……はあ」
一気に脱力。
別に私は恋人じゃないし。
言う権利ないし。
竜くんが好きな人ができたら身を引かなきゃいけないし。
(…絶対いやだけど)

「…もしかしてなんか誤解してる?」
誤解?誤解なの?
「これは昔の知り合いの…」
面倒臭いなぁと竜くんの顔に出ている。
…確かにね。彼女でもない女に浮気とか言われてもね。
面倒だよね。

・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・面倒上等。

好きなんだから諦めてよ!!

(↑逆ギレ)

「なんだー? 伊集院どうした〜?」
私の頭の中がぐるぐる渦を巻いているなんて思いもせず、竜くんは俯いた私の髪をぐりぐりと混ぜる。
「…竜くんといるとね、ジェットコースターみたいなの」
「?」
「他愛のない一言で喜んだり落ち込んだり、」
一人で空回りして。

「竜くん」
「ん?」
屈み込んだ竜くんの首に手を回してぎゅうと抱き締める。
「…伝わらないかな」
「なにが」
「こうやってくっついてるところから、好きの気持ちが伝わればいいのにな」

『好き』が、竜くんに伝染すればいいのに。


竜くんが身動ぎしたので、しぶしぶ腕を解く。
「明日、一緒に行くか?」
「え?」
私が訊き返すと、竜くんは、背中の肩口辺りにあるキスマークを指して、
「今日は時間なくて、明日また会おうってことになったんだけど」
行く?と笑った。
やましいことなど何もないというその顔に毒気を抜かれる。
(確かに竜くんは何もないだろうけどね)
相手もそうだとは絶対に思わない。
明らかに挑発されている。

「…直接対決ですね…」
「だから違うって。」
呆れた目で竜くんが私を見る。
鈍い人。



「ああ、こっちこっち」
その人は、白い手を緩やかに振って、合図をした。
私の姿に気がつくと目を細くして微笑む。 まるで、私を待っていた、というように。
「シズカの妹」
竜くんにいきなりそう紹介された。
え? 兄さまの知り合い?
「伊集院真琴です」
気勢が削がれた形で挨拶をする。
「んー…意外。すごい可愛い」
目を丸くして私を見る。
(どうせ私は竜くんの好みじゃありませんよ!)
そうムッとしてから、ああ、卑屈になっているなあと自分で思う。
「ごめんなさい。気になったものだから」
「え?」
謝る女性をキョトンとした目で竜くんが見た。
「イチが選んだ女の子を見たかったの」
「へ?俺なんも言ってないじゃん」
「んー…前と雰囲気がね、違ったから」
だから試したの、ごめんね、と自分の唇を指した。
形のよい細い指は、うす紅色のマニキュアが施されていた。

綺麗な人。

ふと流す目がとても艶やかで、耳にその黒髪をかける仕草一つで色気が漂う。
普通に笑っていても少し憂いを含んだような長い睫毛が儚げだ。
思わず触りたくなる肌は白く細かい。
(…女の人、だなぁ)
小さな口から零れる声は鈴のよう。 女の子と称されることばかりの私は、なんだか自分がいたたまれない気分になって、 俯き……かけて、顔を上げた。
しょっぱなから負けてどーするの! グッと心の中で握りこぶしを作る。
目が合うとニコッと微笑まれた。
(う…)
やっぱり綺麗、この人…






→ ◇ 月子

つづく






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