私はね、この夏、壮大な計画があったの。
名付けて、
竜くんとラブラブ大作戦 !
←そのまんまじゃん
夏の情熱に便乗して、行くとこまで行っちゃおうかと・・・!
くっ・・・!(がくっ)
・・・やっぱり、最大の敗因は、あれよね。
英語で意思疎通ができない。
これにつきると思う・・・!
「 What ? 」の連発だもん竜くんってば!
会話が簡潔で、ちょっといいかも、と竜くん。
たしかに単語だけなら簡潔よね・・・!(泣)
眞乃や里佳にいわせれば、
『 ひとつ屋根の下、休みで一緒にいる時間も多い、チャーンス! 』
・・・らしいけど、でも言葉が通じないという・・・しくしく。
・・・・・・・・・・・・いっそ、夜這いしようかしら・・・ ← こらこら
はっ! だめだめ!
これまで我慢してきたんだから! ← がまん・・・?
むしろ竜くんからの夜這いよね !!
↑ ッするかーーー!!!
― ツッコミ、一宮竜也で お送りしました ―
「そんなこと考えてたのか・・・」
ぐったりとツッコミ疲れた竜くんがキッチンのテーブルに沈んだ。
夜食でも、と竜くんがインスタントラーメンを取り出して、お湯を沸かしているところに鉢合わせた私は、ラーメンの具にする野菜を炒めることにした。
「はあ、手際がいいねえ」
「竜くんも料理できるくせにやらないんだから」
「めんどくせ〜んだもん」
「こんなのすぐじゃないですか」
「まぁ俺の手にかかったらな!」
はっはっは、とエバる。
「 俺、いい嫁さんになるなあ〜。 まいったねーハッハッハ」
「またそんないい加減なことばっかり・・・」
竜くんは嫁をもらう立場でしょ!
(私を!)
そう考えて、ハタと気がついた。
「ハイ! 竜くん!!」
ハイハイ、と手を挙げる。
「はい、伊集院さん、どうぞ」
竜くんが偉そうに手の平を私に向けた。
「私、」
「竜くんをお嫁さんにほしいです!」
「・・・は?」
「いいお嫁さんほしいです!竜くんをお嫁さんに下さ〜い!」
ハーイ、と手を挙げたまま言う。
ぽかーん、と口をあけて竜くんは私を見た。
(・・・・・・・・・だめかな?)
(・・・だめ?)
冗談でも 、 " いい " って、 いってくれないかな・・・?
「・・・いいよ」
に、と竜くんが笑った。
「いいよ。 俺を、やる」
「ほ、ほんと・・・に?」
手を挙げたまま、訊く。
「おー、もってけドロボー」
肘杖をついた竜くんが、にこにこと笑いながら私を見た。
「あ、あとで返せって言われても返さないからね!」
「おう」
「ぜったい、ぜったいだからねっ!」
私が意気込んでいうと、竜くんはそうだ、と思い出したように言った。
「伊集院って、丈夫で長持ち?」
「え?」
な、なに? その新商品みたいな…??
「えーと、丈夫は丈夫だと思います…けど??」
大きな病気もしたことないし…
「長持ちは……まだ、わからないですけど……………頑張ります!!」
グッと拳を握る。
だって、竜くんのそばにいるって 、 絶対いるって 、 決めた。
「そっか、そっか、じゃあフツツカな嫁ですが」
どーぞよろしく、と竜くんが頭を下げるので、私も慌てて、
「いえいえ、こちらこそ」
と頭を下げた。
「フツツカな……婿?ですが」
(……な、なんか、やっぱり変??)
私が頭を捻ると、竜くんがハハ、と笑った。
「ま、よろしくな」
ぐしゃぐしゃーっと頭を撫でられる。
「あー!」
暑いから一つにまとめていた髪が乱れた。
「ぐちゃぐちゃになっちゃう!」
やだ、と文句を言うと、竜くんは益々かき混ぜた。
(だめだってば、竜くん)
(だめだよ)
うれしくって 、 泣くの、我慢してるのに
「・・・・・・もお!!」
ぎゅうっと竜くんに抱きついた。
椅子に座って抱きつかれた竜くんは、ポンポンと私の背を叩く。
・・・・・・うれしくって、
大好きで、
泣きたくって、 身体中がよろこんでて、 叫びたい、
あふれる気持ち
全部全部こめて、ぎゅうと抱きつく力にした。
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