1999年7月下旬の日常

1999年7月中旬に戻る
1999年8月上旬に進む
最近の日常を覗く


1999年7月21日(水)

 思っていたほどじゃなかったがやっぱり溜まっていた。以下、今日買った本。
 紀田順一郎『第三閲覧室』(新潮社)
 ウォルター・サタスウェイト『名探偵登場』(創元推理文庫)
  
*あの映画の原作かなんかだと思ってました。勘違いでした。でもいいの面白そうだし。
 高見広春『バトル・ロワイアル』(太田出版)
 鮎川哲也『碑文谷事件』『不完全犯罪』(出版芸術社)
  
*もう殆ど持ってるか読んでるんだよなー案の定。内容的にも創元推理文庫の『下りはつかり』『急行出雲』と被ってるし。でもいいの好きだから。
 西村京太郎『十津川警部 海の挽歌』(ハルキ文庫)

 最後のはおかんのである。でも私も後で読む。こういう「売れ線」も実は嫌いじゃないのだ――積極的には買わないけど。他に漫画雑誌二冊・漫画単行本四冊とその他一冊。しかし買った小説群は一体いつ読むんだろう私。謎。
 しかし一番切に捜していた『青春と読書』八月号は発見できず。あとで明正堂辺りを見てこようかと思ったら大雨洪水警報。自分の足が使えず親の車に便乗してすごすご帰宅した。

 …………勢いに任せて、ある掲示板に非常に青臭い書き込みをしてしまった……………………
 恥ずい。
 …………ちょっと落ち着いた。はあ。疲れた。場所は幻想的掲示板。でもあのログの早さだとこのHPがアップされる頃にはもうとっくに流れ去っているに違いない。そうだと言ってくれ。

 そう言えば創元推理文庫の帯に「藤原先生キーホルダー」なるものをプレゼントする旨告知があった。帯に印刷された応募券二枚が必要。「となりの山田くん」絡みで、方々でいろいろやるよなー本当。しかしこれを目当てに買う奴ってどれくらい居るんでしょうか。あんな危険な目つきの女性をあしらったキーホルダーなんて………………えーと、来月はポール・ギャリコの「幽霊が多すぎる」買う予定だから…………………………


1999年7月22日(木)

 昨日の書き込み続報。取り敢えず真摯に受け止めて下さった方が多数いらっしゃったので安心しました。あとはもう自然と解決してくれるのを願うばかりですが……っていつ発表するか解らない日記にこんなこと書いても仕方ないやんか。未来にここを見ている奇特な方で、尚かつ事情が全く見えないと仰言る方はこちらを参照めされよ。多分過去ログが残ってる……でもやっぱりまだ恥ずかしいよぉ。

 今日も沢山買ったぞ本を。しかし「買ったとか云っておいてお前一体いつ読んでるんだ」などとは突っ込むなかれ。本人だって嘆いてるんです。本当に読むのがとろくなって……
 木原浩勝・中山市朗『新耳袋 第四夜』(メディアファクトリー)
 戸井十月『モヒカン族の最後』(痛快世界の冒険文学)
 柄刀一『4000年のアリバイ回廊』(光文社)
 辻真先『平和な殺人者』(カッパノベルス)
 それとあさりよしとお『宇宙家族カールビンソン』の復刻版1・2巻。この作品には愛着があるんで、たとえまだちゃんとオリジナル版を持ってても関係なし……問題は置き場なんですが……

 さっきから雷鳴が幾たびも轟き、折節礫のような雨が地を叩いている。かつて雷というものが伴っていた恐怖は、妖怪や幽冥の類にも似た得体の知れぬものへの恐怖と同質だった筈だが、今感じているのはもっとリアルな形の恐怖である。その境界上にあったのは一体何なのだろう…………

 どうでもいいが猫、お前少し怯えすぎ。一体何処の押入に隠れてんだ。

 などとやっていると自宅の方で落雷が直撃したらしく、電気が止まったそうな。すぐに恢復したのだがテレビが映らないとか何とか。気もそぞろでバイトを済ませて帰ってみると格段の被害は無し。一番気に懸かっていたPCも無事だった。しかしやっぱり落ちるんだな、雷って……
 実はバイトの前にまた本を買っているのだが、もう面倒くさいので一々書かない。ちゃんと読んだら「懊悩」の方に書き込みますです。


1999年7月23日(金)

 一昨日の書き込み続々報。最大の懸念だった「もう一方の当事者」の意志が人を介して掲示板に発表されました。個人的には納得。あとは全て当事者の判断に委ねるのみで、私が口を挟む余地はなくなりました。まあ、なんだか別の場所に火種がありそうな気配もあるんですが、あとは個々人の信念の問題になりそうなので、私は静観します。あーほっとした(……と言えるほど実際に状況は沈静してないんですけど、まあひとまず、ということで)。

 今日の読書:神坂一「スレイヤーズでりしゃす4 るなてく・へすてばる」(角川mini文庫)
 角川の薄い本。読むのに三十分。寝る前に読んで頭の上に置いといたら、知らない間に枕と頭の間にあって寝汗で湿った。
 とゆーばか話は脇に置いて……このシリーズは昔からお気に入りで通読してます。王道や常道を逆手に取った組み立てと、長篇シリーズにおけるどんでん返しの妙(個人的にはこの辺り、ミステリに通じるものがあると思ってます)が好きなのですね。
 しかしこのmini文庫の「でりしゃす」シリーズには疑問を感じてます。内容云々じゃなく、mini文庫における「売れるソフト」として利用されているだけのような気がしてならない。何せこの「でりしゃす」シリーズは富士見ファンタジアでの「すぺしゃる」シリーズと同様に「ドラゴンマガジン」連載分を吸い上げているだけですから、「でりしゃす」として分けて発売する必然性は、少なくとも作品上はない筈。――まあ、お気楽に読めるという意味ではどちらにも適してますから、くどくどと云うようなことでもないんでしょうね。
 作品は――今更論じる必要を感じません。好きな人は好き、嫌いな人は嫌いな作りでしょう。魔族のペットという一発ネタがナイス。

『GREEN〜秋空のスクリーン〜』という、ちょっと期待していたソフトが30日発馬予定だったのだが、何とマスターアップを宣言した直後にバグ発覚で延期。因みにこのソフト、今年の2月が当初の発売予定時期だった……深川はそれからずっと待っています。はっきり言って呆れてます。どこかスタッフの聞こえるところで説教してやったろかいな。守れない予定なんかはじめから打つんじゃない。


1999年7月24日(土)

 上野から秋葉原界隈を彷徨。買い物人生。漸く『KADOKAWAミステリ』プレ創刊号2号を見付けた。しかし完全にホラー大賞特集なのな……また読む前に全部単行本が出てしまいそうな気がするんだが……いーやどーせいつものことじゃん(無理な若者言葉)。炎天下をバイクで走り回り、けれど唯一目的としていたものは発見できず。疲れた。
 家に戻り、購入した『シンジの愉快な仲間たち 爆裂大富豪』(GAINAX)で遊んでみる。もともと息抜き程度のつもりで買ったので、文句はありません。オマケでレイとアスカの着せ替え(?!)が出来るのだが、その衣裳の値段(ゲーム中に稼いだポイント数を利用する)が異様に高いのが気になるくらいで。キャラが騒がしけりゃ音声切ればいいだけのことだし……しかしそこまでやると「エヴァ」のアイデンティティは消滅するな。

 どうしてこんな暑い時期に、昼にカレーうどん、夜にすき焼きなんて喰うんでしょう。汗だくだく。


1999年7月25日(日)

 殻に籠もる。暑さにだれながらひたすら長篇の書き直し。残り目算30枚弱。
 何処かの掲示板でも書いたが『怖い日曜日』(読売テレビ系)が結構いい。原作の『新耳袋』は後日まとめて読むつもりなので先にネタばらし的なものを見るのがいいのかは解らないが。


1999年7月26日(月)

 訳あっていつもより一時間ほど早く起きろ、と両親に云われていたので一時間早く寝たら普段より二時間早く起きてしまった。損なのか得なのか。
 早起きついでに数日ちんたら読み続けていた鮎川哲也・編『本格推理6』を漸く読了。ずっと買い続けていたのだが怠け癖のためこの巻以降ずっと読んでいなかったのを一念発起して読み始めたのだが、……如何せん練達の文章ではないので、他に意識がいっているとなかなか内容が頭に入ってこないのだ。故に時間がかかってしまった次第。実は深川は数年来これに落選し続けているので、本当はとやかく云える立場じゃないのだが、一応レビューを書いて掲載しておく。

 仕事帰りに本屋とCD屋へ寄り買い物。CDはJungle Smile『夏色シネマ』というコンセプトアルバムである。前々から一度じっくりと聴いてみたいグループだったので、安いのを幸いと(1890税込みだ。最近じゃこれより高い書籍もざらだぞ)買ってみる。
 填りました。多分、今後余裕が出来次第旧盤も買ってしまうでしょう。シンセサイザーを安直なリズム構成にばかり利用せず、一種幻想的と云おうか懐古的と云おうか、独特な「空間」の生成に活用しているのが、最近の深川の嗜好と一致したようで。収録曲は旧盤の焼き直しが大半な所為か、全体に長尺に作られている。多分歌い方も意識的に変えているんだろうが、その心地よさがアルバム全体を支配していて、始終ゆったりした気分で聴いていられる。個人的には、ずっと直し続けている長篇の季節が夏なもんで(お陰で五年くらい私はずっと夏の中だ)BGMにいいのですね……でも一両日中には書き上がってしまうんだよな流石に。もうちょっと早く買っていればよかったか。


1999年7月27日(火)

 今日は猫に起こされて6時起床。まあどっちかと云うと寝苦しかったんだろうな。という訳で朝っぱらから読書。木原浩勝・中山市朗『新耳袋 第四夜』(メディアファクトリー)読了。朝っぱらから読むものじゃない、というのが率直な気持ちか。

 ………………長篇の改稿、やっと終った。400字詰原稿に換算して847枚。表で代用した箇所を含めても870枚程度だろう。初稿と比較して凡そ330枚の削減。出来不出来は解らん。まさか前より悪くはなっていまいが……取り敢えずバイト先の社長が読んでくれるようなので一部余計に刷る。

 そう言えば先に記した『GREEN〜秋空のスクリーン〜』の延期原因はバグではない、というコメントがメーカーサイドにいる人物のHPに掲載された。この作品はある流通会社が販売を請け負っているらしいのだが、どうも両者間であれこれ軋轢が生じている模様である。仕様のない。

 長篇がひとまず仕上がったので、HP用のファイルをちょっと手入れ。一部のタイトルを変えたりしました。「懊悩」を「書斎」に、「囀り」を「音匣(オルゴールの意)」に、それぞれ解りやすく変更。これ以前の日記における記述には手をつけませんので、戻って読まれる場合は了解されたし。


1999年7月28日(水)

 昨日プリントアウトした原稿に朱を入れる。流石に800枚超の誤脱を調べるのは結構手間である。多分明日ぐらいまでかかるだろうな。

 倉阪鬼一郎『田舎の事件』(幻冬舎)がバイト先で入荷が難しそうとのことで、近隣で一番大きなチェーン書店を訪れた。ミステリ関連書籍の棚を幾ら捜しても見付からず、よもや、と思って日本文学の棚辺りを見る……あった。更に、『新耳袋』の旧刊を捜していた処、怪奇実話ものなどが纏められた棚に津原泰水『蘆屋家の崩壊』が置いてあるのに気付く……突っ込んだ方がいいんだろうかこれ。倉阪氏の作品集はまだ解釈次第という気もするが、津原氏のは……店員、中身見てるんだろうか果たして。


1999年7月29日(木)

 朱入れ、終らない。だから木曜日は仕事が多すぎるのだというのに。この上六時以降にバイトがあるのはやはりきつい。一応社長に9月ぐらいからシフト替えを申し出てみたが、他のバイト君(年下)の都合も結構あるようだし……しかしきついってばやっぱり。

「妥協がない」とは果たしてどんなことを言うのでしょうか。少なくとも、他者に告知した、或いは契約に示された期限内に作品を完成させられない言い訳に使っていい言葉ではないでしょう。「制作は順調に遅れています」と頻りに云い募っていた某映画も、ああしてきちんと上映予定通りに公開されて、(極めてコアな層の人々に限られているようですが)好評を博しているわけですから、遅延行為と妥協のなさは同じ意味ではない。幾ら作っても納得がいかない、というのは単純に己の資質を見誤っているだけのような気がします。自身の引いた水準にどうしても達しないのであれば、それは理想に実能力が追いつかないだけの話でしょう。少なくとも、能力が理想に到達できないことと「妥協しない」ことは全く別です。遅延の言い訳に、お題目のように「妥協なし」を使い続けるのは、予告された期日を待っていた人々に対して失礼ではないでしょうか。妥協しなかったことを誇りにしたいのなら、まず「完成品」を人々の前に示すことが先決です。妥協しなかったことを讃えるのも、その発言を「誇大妄想」と罵るのも、結局作り手ではなく、「完成品」を手に取った人々のみなのです。その上で、人の評価はどうあれ納得のいくものを創造できた者だけが、「妥協がない」ことを自らに誇れるのでしょう。
 妥協がない、という言葉は畢竟自己満足でしかない。それを弁えないうちは、所詮「作り手」としては二流なのかも知れません。
 ある騒動に際してちょっと感じたこと。自戒を込めて書き留めます。因みに私が長篇をなかなか書き終えないのは「妥協しない」からじゃなく、処理能力が落ちているからに過ぎません悪しからず。


1999年7月30日(金)

 金曜にしては仕事が立て込む。終業後に『雛鳥の囀』(STUDIO B-ROOM)を買いに行く。行きつけの処だと、当日なら急がなくても大体買えるのだった。ゲーム内容は、……私が買うものにしては珍しく18禁らしい代物(定義は求めないように。危険なところまで語るぞ)。ゲーム性は高いので結構遊べそう。ひととおり終ったら論評でも……とか考えていたが、ひととおり終らせるのはかなり時間がかかるぞこれ。

 岡崎二郎という漫画家はやはり藤子・F・不二雄の数少ない正統的後継者のような気がする。『国立博物館物語』シリーズはどんどんと先進科学豆知識みたいな展開になって、屡々「スーパーE」という本来の大風呂敷がお座なりにされたりしたが、それだけでシリーズを繋いでゆける知識量と構成技術は半端ではない。ファンとしては取り敢えずちゃんとシリーズを括ってくれただけでも嬉しかったが。今日発売の3巻でもって、ひとまず完結。


1999年7月31日(土)

 ひょんな縁で松本楽志氏GAKU氏春都氏とお会いする。私は大した発言は出来なかったが、色々と……まー色々とお話が聞けたので、私にとっては収穫でした。次のオフ会にはちゃんと参加させて戴きますです、はい。

 でそこからバイトにほぼ直行。人が花火に浮かれてる中で店番だい畜生。こういうときには無意味に騒がしい輩も頻出しますが、爆音を蹴立てて走り去るバイクに向かって雑誌を投げつけたお客様、その行為推奨はしませんが密かに快哉を挙げてました(笑)。何より投げた雑誌をもう一度買い直して下さったのが商売上嬉しかったです。でも決して真似しないように。

……なんか異様に疲れてます。文章もひととおり頭の中で組んでから打っている筈なのにやたら字を打ち洩らしてます。寝ます。ぐう。


「若おやじの日々」への感想はこちらからお寄せ下さい。深川が空を飛びます(飛ばねえって)
下からでもメールアドレスに直接でも構わないんですけどね。 

お名前:  e-mailアドレス:
内容を本文で引用しても宜しいですか?: Yes No

 


1999年7月中旬に戻る
1999年8月上旬に進む
最近の日常を覗く