2000年8月上旬の日常

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2000年8月1日(火)

 吉本の88周年企画のお陰で、私は吉本の講演をただで見られるらしい。だがその為だけに大阪まで遠征するのも我ながらどんなもんかと。行くだけなら何とかなるけど……

 予告通り外付けCD-RWドライブを購入。しかしいつも訪れる店では今ひとつ思惑通りの品物が発見できず苦労した。のちのち仕事で利用することも考えてMac/Win両対応でUSB、それに当分の利用方法も考慮に入れると薄型のデザインが望ましい。当初用意していた条件はこの程度だったが、いざ店頭を覗くと他にも要求が出てきてしまう。例えば通常のCD-Rは640MB(音楽CDだと74分)が容量の限度だが、実際には700MB(80分)のものも多く出回っており、若干古い機種になると700MBへの対応を明言していないドライブが多く存在する。データ保存のみなら640MBでもさほど問題はないのだが、音楽CDを作成する場合はこの6分の差が結構ポイントとなる。つまり、80分メディアへの対応を明言したドライブであることも必須条件となるのだ。
 これだけ要求を厳しくすると納得のいく品物は見つかりづらい。他は全て備えているけど薄型ではなく内蔵ドライブを外付けにしたものだったり、読み書きに加えてDVDも読み込めるがSCSI対応だったり、ほぼ完璧に条件を満たしている上に単体でのCD再生もサポートしているらしいのに80分メディアとMacへの対応が明言されていなかったり。そして当然ながら、理想に近づけば近づくほど高くなる。内蔵のATAPIならばかなりのハイスペックでも安いし、外付け・Mac対応を考慮から外せば、同じ予算でDVDドライブをひとつ増やせるのだが、今回の用途からすれば検討の余地もない。結局、Mac対応という条件付けを外すことで妥協した。TDK販売の、薄型USB対応ドライブ。
 午後、仕事の暇を埋めるように、職場にある私専用のWindowsノートで書き込みの実験を行った。しかし職場のノートはハードディスクがシステムドライブの空き容量が200MB弱、CPUもMMXが頭に付いた奴というロートルである。複数枚CD-Rを作成する際に有用なイメージファイル作成のスペースすらなく、環境設定でまだ余裕のある外付けハードディスクドライブにイメージファイルを作成するように指定し直した。だが、その間のケーブル取り回しが悪いのかはたまたもう既に処理能力の限界を超えてしまったのか、イメージファイルを作成すると上手くコピーできない。ドライブからドライブへ音楽データを直接転送する方法を選んだところ、時間はかかったものの何とかCDの作成には成功した。但し、あとで普通のプレーヤーにかけてみたところノイズが入りすぎて非常に耳障りだった。外付けの問題点はこれに尽きる。
 だが、自宅に戻りハードディスクにあるMP3を、そのままでは訳あって書き込めなかったのでwavデータに作り直し、そこからオリジナルの音楽CDを作ってみたところ、今度は比較的まともなものが出来た。一度MP3にしたものを改めてwav方式に変えるという迂遠な手続を踏んだためか若干籠もったような音になってしまったが、この程度なら充分許容範囲だろう。
 ここまではほぼ問題なく作業が進んだのだが、最後でまた面倒が持ち上がる。以前にも同様のトラブルが生じたことがあった。書き込みの作業を終え、いざWindowsのデスクトップに戻り作成した音楽CDを再生させようと、内蔵のドライブにメディアを挿入すると――通常すぐさま動作するはずのCDプレイヤー(私が愛用しているのはMSPlus!98添付のデラックスCDプレイヤー)が一向に立ち上がらず、もどかしがってデスクトップに作成してあるCD-ROMドライブへのショートカットをダブルクリックすると、CDの内容をエクスプローラーが表示する。Windowsの設定にあった音楽CDの自動再生に纏わる項目が完全に無効化されてしまう現象である。
 今までは力業で解決してきた(Windowsの完全再インストールとか、ファイル・タイプの書き換えとか)この問題だったが、今回ばかりはきっちりと解決させようと、ハード発売元のユーザーサポートに助力を請うた。
 ――解決法は単純。Windows標準添付されているCDプレイヤーを一度システムからアンインストールし、再度WindowsのマスターCDからインストールし直す。そののち、普段自分が使用しているCDプレイヤーを再インストールするなり設定し直すなりすればいい。……あまりにも単純すぎて、というか何故かWindowsに「アンインストールせずに初期設定に戻す」方法が存在しないために見過ごしていた手段であった。あああほらし。

 兎に角、これによって内蔵CD-RWはシステムの設定に問題があって書き込みが出来なくなっていたわけではないと判明した。ので、ハード発売元のユーザーサポートにかけたついでにこちらの解決方法も訊ねてみた。すると、試しにRWのフォーマットと書き込みを確認して欲しい、とのこと。言われるがままに時間をかけてRWのメディアを初期化し、ひとつ大きめのファイルをエクスプローラーで投げ入れてみる……
 ……書けた。
 つまり、ドライブで動作不良を起こしているのは、CD-Rの書き込みのみ、ということになる。考えられないことではないらしいが、私は寧ろハードに添付されたライティングソフトのマザーディスクそのものに異常がある可能性も出てきたような気がする。どちらにせよ、ハードの発売元では修理は交換のみだとのことで、部品さえ送ってもらえれば私が自宅で済ませられる訳だ。サポートにはRWの動作確認後こちらから連絡を入れる段取りになっていたが、ここまでの過程で随分時間を食ってしまったので、懸案が片づいてから対応することにした……というか、今日はもう疲れた。作業は全く進んでいないが、……いい、もう、今日は。

 本日のお買い物
1,平井和正・梁慶一『死霊狩り(3)』(enterbrain・BEAM COMIX)
2,『To Heart コミックアンソロジーVol.6』(スタジオDNA・DNAメディアコミックス)
3,京極夏彦『怪 『巷説百物語』のすべて』(角川書店)
4,中島みゆき『THE FILM of Nakajima Miyuki』(Pony Canyon・DVD Video)
5,『ブギーポップは笑わない Boogiepop phantom evolution5』(Vap・DVD Video)

 他にもジャコ・パストリアスのファーストアルバムに未発表の音源ふたつを追加したCDを購入する予定だったが、4と5を買う際に店員に訊ねたところ18日発売と答えが返った。何が原因で遅れるのやら。一瞬輸入盤でもいいかと思った。
 今、4をつけながらこの日記をしたためているのだが、画面を見ないとただのCDと一緒である。


2000年8月2日(水)

 ――でその後、中島みゆき『THE FILM of Miyuki Nakajima』(Pony Canyon・DVD Video)を一通り見終わる。出色の出来はオリジナルとはコーラスやミックスダウンに違いの窺える『おだやかな時代』、画質が目に見えて違う撮り下ろしの『竹の歌』だろう。前者は中島みゆき自身の演出による、ちょっとアメリカナイズされた雰囲気のクリップ。そういう意味では独創性に乏しいが、終盤ゴスペル風のコーラスに至るまでの臨場感がいい。後者は妙な演出に最初戸惑うが、ちゃんと全体を通して描こうとしているものが明確であり、クリアな画面と相俟って歌の世界を堅牢なものに仕立て上げている。反対に困ったのが、楽曲としてはここ数年のベストだと思っている『たかが愛』。何故裸のねーちゃん出す必要あんのじゃ。そんな誰でも考えつくような陳腐なラブストーリーを更に陳腐に演出してどうするんじゃ。笑わせて貰ったのでそういう意味ではまあ見る価値有りだが。因みに『たかが愛』のクリップの監督は、夜会映像版『海嘯』の演出で松本楽志さんに大顰蹙を買った根岸吉太郎……って結局あんたかい。

 河内実加さん南澤大介さんのHPで触れていた死に様占いとゆーものをやってみる。結果はこちら。……まあ、それなりに長生き出来るみたいで良かった。ついでにちょんまげ占いというものも。結果はなんとこれ。悪い冗談かと思った。社交的……かなあ。

 本日も買い物なし。毎月前半は穏やかな日々が続き、中旬に漫画地獄、下旬に書籍地獄が来るというのが常のようだ。

 今年の中島みゆき『夜会』復活第一作には谷山浩子が参加する、とは(ミステリ系の人々にとっては)楽志さんのサイトで既に御存知の事実だろうが、更に谷山氏が自らのホームページに書かれた話に拠れば、ビデオ発売はないらしい。見たければ意地でもチケット取れってか。尤もビデオについてはあとになって変更される可能性大だろうが。私はでじなみの先行予約で申し込もうと思っていたのだが……手続が面倒臭いぞ。


2000年8月3日(木)

 そこそこに忙しい一日。お陰で自分の作業はあんまし進まないしー。

 本日のお買い物
1,恩田 陸『上と外(1) 素晴らしき休日』(幻冬舎文庫)
2,あかほりさとる『アーバックス(2) ”B”』
3,円山夢久『リングテイル(2) 凶運のチャズ』
4,上遠野浩平『冥王と獣のダンス』(以上、メディアワークス・電撃文庫)
5,ほったゆみ・小畑 健『ヒカルの碁(8)』(集英社・ジャンプコミックス)

 恩田陸は隔月書き下ろし刊行全五巻のはじめ。著者の言葉が妙に素敵。だが、巻末を見るとこの一冊に費やした原稿枚数は210枚ちょい、全五巻全て同じ厚みだとすれば総計1100枚に満たない程度。最近は一冊本としてもよく見られる分量である。価格は今巻が440円、X5だと2200円(税込み)――単行本だとすれば妥当な価格設定ではあるが、何か騙されているような気がしないでもない。
 ヤングアダルト系は敢えてコメントせず。『ヒカルの碁』は、取り敢えず精度を維持といった感じか。

 単純な出力待ちの時間が多いと読書が進む。というわけで芦辺 拓『和時計の館の殺人』(光文社・カッパ・ノベルス)よおやく読了。詳細はリンク先を参照のこと。因みに単純でない出力待ちとは「出力したあとの状態が予測できない」「正常な出力が期待できない」場合の待ち時間を言う。いや今日もあったんだけどねそういうの。実は毎日そんなんばっかしだったりするんだけどね。比較的信頼性の高いデータが殆どだったということで。

 ……あかん、やっぱり感想書きが一番時間を食う。作業大して進まず。但しスピードだけは目に見えて早まっている。


2000年8月4日(金)

 本日のお買い物
1,『カナリア 〜この想いを歌に乗せて〜』(フロントウイング・18禁)
2,内田康夫『秋田殺人事件』(光文社)
3,なかじ有紀『ビーナスは片想い(3)』
4,やまざき貴子『ZERO・IV』(以上、白泉社・花とゆめコミックス)

 1は発売記念イベントが秋葉原で行われているような話を聞いたので、珍しくそちらまで足を延ばしてみた。が、抽選によるプレゼント大会で、参加するには午前9時頃から配布されていた整理券が必要だったらしいと解り、明日も開催されるというもののすっぱりと興味を失う。まだパッケージを開けただけだが、変な凝り方をしているのが気に掛かる。そのくせCD盤面に記載されたタイトルに誤字があったり、オフィシャルサイトを見ると例の如くバグが多発している模様だし。今の精神状態でバグに遭遇すると暴発する危険があるので、バグフィックスが出てくるまでプレイはお預け。というかその前に作業をおおおおお。

 チャットとかICQとかやっているうちに時間を浪費してしまったので今日はこれだけ。明日はきっと大丈夫。


2000年8月5日(土)

 柴田よしき『桜さがし』(集英社)読了。既に感想も書いて、あとは粗筋を添えるだけだがそれどころではない。積み上げた荷物の一部が荷崩れを起こした。下二層は本を詰めた段ボールでその辺は無事なのだが、問題はその上にCDやPCゲームの箱をはじめ、書簡類や紙袋なども一緒くたに積み上げてしまったためで、この中で特に空洞の多いPCゲームの箱が歪み、積載物の上部に傾斜を生じさせたのが崩落の原因のようだ。大事には至らなかったというものの、取り敢えず整頓は出来ないまでも安定した積み方に変えなければならない。そのために一時的にCD類を避難させ、ある程度分類するためのスペースは、私の部屋では机の上しかない。で、机の上に積み上げて今夜中に整理がつかないと、今度は普段机の上に避難させているベッドの上の荷物を移す場所が無くなる。……いざとなったら、床の上で寝るしか。
 そんなわけなので幾つか書くことはあるのだけれど後回し。無事暫定的整理が終了しましたら再びお会いしましょう。

 ――で一通り終了。しかしCDの帯がひとつ行方を眩ましてしまったことに気付く。よりによってお気に入りの奴のものである。悔しい。兎に角悔しい。昨日某ゲームショップでCD・DVD専用のコンテナを見かけたとき「買わなくては」と思いつつ後回しにしてしまったのだが、それはもしやこの惨事の先触れだったのだろうか。だとすれば余計に悔しい。

 今朝は突発事故からICQで熱弁を交わしてしまった。ゲームシナリオに関するお話、って大体相手は想像がつくな。その傍ら柴田よしき『桜さがし』(集英社)の感想を書く(粗筋部分はこの日記をアップする前に書いた)。同時進行のせいか結構手こずり、お絵描きが上の空になってしまった。一応複数枚仕上がったが、かなり適当。……まあ、元々おまけのような意味合いが濃いイラストだし、書き込みすぎても細部は見えない筈なので、ある程度はいい加減でも構わないのだけど。残り枚数からして……月曜か火曜に終われば、というところか。最早完成予定時期の算出に寸毫の信憑性も見出せない。


2000年8月6日(日)

 書くことが特に何もないので、また存在証明で誤魔化しておく。

以前扉を飾ったあの娘ですだ。

 ……自分で言うのも何だが、慣れてきたな流石に。因みにこの下は描いておりません念のため。

 今週お会いする方と待ち合わせの場所や時間などを決める。そうかとうとうそういう時期か。お会いする方々は皆西の方からやって来られるのだが、私もどっかへ旅に出たい……。今のうちに英気を養っておかないと、10月が終わる頃には潰れるかも……
 ……と言いつつ、今日新しい執筆作業をひとつ引き受けてしまったため、10月までで地獄が終わるのかよく解らなくなってしまった。11月末まで、下手をすると年末まで続く悪夢。……でもないんだけどな。結局好きでやっているんだから。


2000年8月7日(月)

 私だけ何も仕事がない。これが明日だったら話が早くて良かったのによう。

 本日のお買い物
1,麻耶雄嵩『木製の王子』
2,太田忠司『まぼろし曲馬団 新宿少年探偵団』(以上、講談社ノベルス)
3,ささだあすか『パジャマでごろん』
4,樋野まつり『とらわれの身の上(2)』(以上、白泉社・花とゆめコミックス)
5,種村有菜『神風怪盗ジャンヌ(7)』(集英社・りぼんマスコットコミックス)
6,『小説現代2000年9月増刊号 メフィスト』(講談社)

 記念に未読の『痾』と続けて読んでみようかと思う1の刊行。でも個人的により待望だったのは2の方である。
 5はやっと終わったねえ、という印象。私は「購入した順、同時購入なら巻数の少ない方から」という風に決めているため、今日買った漫画の中では読むのは最後になるのだが、ちょろっとだけあとがきを読む。……冒頭を読んで首を傾げる。連載開始前に担当が口にしたという「世間の偏見の目」という台詞はこの作品のどの辺りを指して言ったのだ? XXXがXXXで途中でXXXしたことか? 性急すぎる展開か? 剥き出しな理想に無批判な感情を重ねたような表現の拙さか?(しかしこれは今に始まったことでもあるまいに) どれを取っても、表現の世界ではありがちなもので今更口に出して言うほどのものでもないと思う。敢えて冒頭に掲げたということは作中かなりあからさまな点を指し示した発言だと思われるのだが、前記のいずれかなら、この一文は作者か編集者の未熟さを露見しただけと言える。そもそもこのあとがき全体が、種村氏より低い年齢層や低い立場にいる人間を対象にしていると捉えられるのだが、その「意識」と、「男の子にも少女漫画を読んで欲しい」という先立つ発言に見られる「認識」とのずれが窺われ、そのずれに私らのような些かすれた読み手が彼女の作品群を読んだときに屡々表明する「イタイ」という感覚の源泉があるのかも知れない。
 ……などと考えてもあまり意味のないことをつらつらと書き連ねてみたり。

 バスストップを見てちょっとショックを受けた私。何にショックを受けたかは内緒。

 ところで某氏夫人って誰だ。……明日聞き出すか。

 リンクページが旧デザインのままだったことが判明したので、至急直しました。スタイルシートの指定を修正しただけなので追加などはありませんが。


2000年8月8日(火)

 前記:この日撮影した写真類は、こちらの別ファイルに掲載させていただきました。集まりに関する記述も加筆を施して写してありますので、重いのが苦にならない環境で接続されている方はどうぞそちらをご覧下さいませませ。

 本日のお買い物
1,ベルンハルト・シュリンク『朗読者』(新潮社・CLEST BOOKS)
 と……あ、あとは雑誌だ。

 その頃プロバイダに届いていたメールの存在を私は知らない。

 時間が近づいた頃を見計らって、丁度浅草近くの銀行に向かう母の車に便乗して駅前へと発った。約束よりも20分早い。元々移動はバイクか親の車か自転車、その範囲内で用事を済ましてしまうのが常の私は駅の周辺をゆっくり巡ったという経験がなく、訳もなく右へ行き左へ行き時間を潰した。思っていた以上に蕎麦屋が多く、予め行く予定の店を決めていなかったら目移りして結局スカを掴まされる羽目になるところだった。目的の蕎麦屋までの道筋を確認すると、駅の前まで戻り日陰からなるべく動かないようにする。
 3時。待ち人来たらず。15分ほどになって漸く相手から電話がかかってくるが、雑音が激しく聞き取れない。やっと東京駅に着いたという箇所だけは何とか聞き取り、そこから浅草までの乗り換えを指示する。更に数分のち、もう一人の待ち人から電話が入った。吾妻橋近くの出入口にいた市川憂人さんとお会いする。まだもう一人が姿を見せる様子がないので、近くにあった31でアイスを買うと、表の椅子に座って食す。BGMは虎舞竜『ロード第一章』、続いてチューリップ『サボテンの花』。何故。待ち人なかなか現れず。
 松本楽志さんが現れたのは結局3時40分になってから。前日ビデオを返し忘れ、新幹線に乗る前に返そうと考えていたら、思惑よりビデオ屋の開店が1時間遅かったらしい。予定通りであれば夜の待ち合わせ時間の前に幽霊画を見に行く予定だったが、この時点でかなりシビアな状況である。ともあれあとのことは蕎麦を食ってから考えよう、と予め決めていた店の前まで行くと、
 盆休み
 急遽私の職場に電話をかけ、私の母に「他にこの界隈でいい店はないかーっ?!」と問い質し、別の店の名前を引き出してそこまで移動。新仲見世通りにほど近い場所にある、私も一度来たことのある店だった。二階席でとにかく一息つく。私はここで松本楽志さんから念願の鏡 明『不確定世界の探偵物語』(トクマノベルス)を戴く。お返しに似たようなタイトルの似たようなものをお渡しする。内容は極秘。『ダ・ヴィンチ』今月号の特集を眺めつつ、怪談とか大学の不可解な建築構造とかの話をして時間を過ごす。そうこうしているうちに4時半も近くなり、予定していたもう一箇所に向かってもゆっくり見ている時間はなくなってしまった。そこで次の待ち合わせ場所である上野までひとまず駒を進め、そこで適当に涼める場所を探して時間を潰すことに。
 しかし到着した時間がそもそも5時近くであり(殆ど地元で暮らしているくせに駅構内で迷った私もいけない)、主要な施設はもう閉館の時刻で駅周辺の人波も宛ら引き潮である。もし開いている可能性があるなら、とややマイナーな施設へと向かう。事実上山を登って越えなければいけないのだが、二人には黙っておいた。途中でおじさん連に餌を貰っている猫にちょっかいをかけつつ(特に楽志さん)上野公園内を抜ける。不忍池の周りで折良く開かれていた骨董市でカルトな出物を冷やかしながら歩いた。
 下町風俗資料館はまだ開いていた。私も知らなかったが8時半まで開いているらしい。300円を払い、やたらディテールの凝りまくった下町風景の再現の中で涼み腰を休める。結構喜んで貰えたようで、案内した私は一安心した。特に二階展示室にある知恵の輪とパズルに揃って填り、たっぷり時間を潰した。知恵の輪といってもあの鉄製の小さなものではなく、縄と木の細工などを利用した如何にも職人芸的な代物であり、これが思いの外難物で、一個を市川憂人さんが攻略できただけであとは突破口さえ見出せず、楽志さん切れる。創作の話をするつもりがこれだけで時が過ぎていった。
 程なく次の待ち合わせ時刻になり、上野駅の公園口まで戻って待つ。近田鳶迩さん東風さんを迎え、再び既に暗くなった公園内を抜けてパセラへ。カラオケよりも食事をしつつ、創作ML同士の集まりということもあって創作の話をするのが目的……だったが、ML周辺の話とか間違っても公にしてはいけない話を中心に駄弁る。というわけで内容に関する詳細はご勘弁を。
 それぞれに注文するのも面倒なので、コースで纏めて注文したのだが、これが案外に重く、腹ごなしの意味も含めて(というかそうやって自分を納得させたというか)カラオケにも手を出した。私ははじめの方で中島みゆき『たかが愛』(こっちのクリップはシンプルで良かった)と椎名林檎『ギブス』を歌って好評を博したので大満足でした。曲数と注文した数からすると私が一番得をしていたような気がするのでここでお詫びしておきます。すまん。

 帰宅してメールボックスを開けると、出発直前の楽志さんから「遅れるかも」という主旨のメールが届いていた。日中は見られないっちゅーの。

 久々に動き回って語り合って心地よく疲労しました。ちょっとは作業の続きをするつもりだったが流石に無理、なのでもうちょっと待ってね>U様。遅れるのは痛いんです私自身。

 追記:なお、この日撮影した写真類は、こちらの別ファイルに掲載させていただきました。集まりに関する記述も加筆を施して写してあります。


2000年8月9日(水)

 本日のお買い物
1,椎名高志『MISTERジパング(1)』
2,藤田和日郎『からくりサーカス(14)』
3,高橋留美子『犬夜叉(17)』
4,安西信行『烈火の炎(25)』(小学館・サンデーコミックス)
5,『怪 第九号』(角川書店)

 職場が熱い。私が作業用に与えられた環境はMacを前に、後ろは製版用精密スキャナー、右には出力装置、左には壁。そして頭のほぼ真上に空調……だからか。短時間の作業なら気にならないが、一度に三十分・一時間と要する作業だと、いつの間にか額から胸許から止めどなく汗が滴る。思考能力は減退し冷静なら他に対処のしようがある手直しを標準通りの方法で片づけようとして失敗する。文字通り頭に血が上っている状態なのでいつにも増して怒りっぽい。どれもこれも設備の搬入を行った業者の見込み違いや手抜かりに起因しているような気がする……のはあながち間違いじゃない筈。

 写真が見たい、という意見を幾つか戴いたので、8日の日記の加筆修正・写真追加ヴァージョンを作成した。さささっと終わらせるつもりだったが、結局かなり時間を潰してしまう……。昨日遊んだために作業が滞っているので、今日の日記はこれだけでご勘弁。なお、掲載した写真について苦情などがありましたらご連絡下さいませ。なおこのファイルは宝物殿のページから直行できるようにしてあります。


2000年8月10日(木)

 本日のお買い物
1,あずまよしお『ぼ・ん・ど(2)』
2,安童夕馬・朝基まさし『サイコメトラーEIJI(24)』(講談社・マガジンKC)

 ……だけ、か、今日も。

 昨日書き忘れてましたが福澤徹三『幻日』(ブロンズ新社)読了しました。これはいい。アイディアの一つ一つは凡庸なのだが、その語り口と喚起するイメージの鮮烈さは既に職人技に近い。決して特異ではないエピソードを、ちゃんと怪談的な恐怖に昇華している枠組みも巧妙だった。部分的に語句の扱いに首を傾げることもあったが、文章面でも高水準。確かに瞠目すべき新人と言えよう。最大の悩みは、誤植の多さかも知れない。ある作品など、前半と後半で名前が変わっていた人物がいたぐらいである。
 ともあれ、時間が出来たらちゃんと感想を書いてみたい。楽志さんのように生々しくインスパイアされたりはしないまでも、創作意欲は刺激されました。

 さて、明日からコミケが始まる訳だが。明後日は某氏と約束しているので必ず行くとしても、問題は明日。上手く仕事が早めに決着してくれれば、昨年末と同じ処ぐらいはお邪魔出来るはずなのだけど、どうなることやら。


「若おやじの日々」への感想はこちらからお寄せ下さい。深川が空を飛びます(飛ばねえって)
遠くに行きたい……

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