2000年12月上旬の日常

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2000年12月1日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001201~.htm#Day01

 お買い物なしー。

 今日は、「夜会」からプレMYSCONまでの間東京に出ている松本楽志さんに、行き付けの蕎麦屋で奢る約束になっていた。この店は電車では行きづらく、バスもどの路線が一番近くに止まるのか把握できないような場所にあるため、あまり人に紹介できないという悩みがある(あまり人が詰めかけて親父さんに潰れられると困る、という理由もある)。蕎麦好きを自認する彼の反応見たさと、先日頂戴した本の代価という意味合いもあって、色々互いの都合を考えて(主に私の事情ではあったが)、今日母に車を運転して貰って案内する運びとなった。
 楽志さんは浅草辺りを彷徨いている筈で、こちらの仕事が終わり次第連絡を取って待ち合わせることになっていた。午前中に大体の仕事を片づけて、電話をかける。
「――あ、深川ですけど。仕事終わったんですけど、今どこにいます?」
「あ、今、多摩プラザです」
「…………は?」
まだ田園都市にいるんですわ
 ……おい。
 話では午前10時頃に起床し、それから色々と所用を片づけていたとかで、正午近くなってもまだ泊まっていた所から出ていなかったそうな。仕方なく、親父の昼飯をちょこっとだけ横取りして、急ぎでない仕事を弄る――これが存外手こずって焦った。
 結局楽志さんと、急遽同行することになった若奥様と浅草で落ち合ったのは午後二時頃。月初めに金曜日という悪条件から来る渋滞で、到着したのは二時四十分頃。その間、夜会の話などをする。見えなかった舞台装置については先日触れたが、実はその更に奥にもかなり重要な装置があったことが判明。ということでこれから鑑賞する方に警告しておきます。右前方の立ち見は、かなり損をします。楽志さんは車に置いてある犬のぬいぐるみがかなりお気に召したようで、カンカンノウノウをやっていた。
 蕎麦屋は、案の定我々が最後の客だった。客人二方は天せいろを、私は暖かい天ぷらうどんで母は蕎麦を頼む。概ね好評ではあったが、お二方はかなりの量に苦しんでいる。大体初めて来る人はここの分量に驚くものだったが、にしても終盤苦しそうである。――支払いのとき、意外な真相が発覚した。店の親父さんが、「若い人はよく入るから」と、多めに盛っていたというのだ。確かに、私が注文するときも、最初の頃に較べて多いという疑惑を抱いていたが、図らずもそれが証明された格好だった。
 四時頃日暮里で母に降ろして貰い、二方ともそこで別れ、私はやや早めながらそのまま帰宅する。

 郵便が届く。思いがけず興味深い話なので早速返事をe-mailで送る。……結局、来年前半も大車輪かな。


2000年12月2日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001201~.htm#Day02

 漂泊旦那さんの真似。……半分嘘。ただ夜中に書くことが出来てしまったから、忘れないうちに追加しておこうと思っただけ。

 真夜中に、Gatewayのユーザーサポート相手にエキサイトしてしまう。どうも半年に一度ぐらい、相手にとってはとばっちりもいいところの攻撃に出てしまう癖があっていけない。話しているときも、また電話を終えて冷静になった段階でも大体間違ったことは言っていないと思いつつも、相手の立場を考えると申し訳なくなるのである。その度に、少しは容赦した方がいいかと思いつつ電話をかけているときはそれなりに深刻なトラブルを抱えている状況故どうしても歯止めが利かなくなるのであった。――肝心の問題については、後日平日のみ開いている窓口相手に幾つかの確認をした上で、数ヶ月後、今使っている筐体が下取り対象になる時期まで堪え忍ぶことに決めた。

 昨日――これを記している今の気分的には「今日」なのだけれど――、絵の練習ついでのラフを描いていて、やはり人物写真は参考として必要だ、ということを痛感する。人の躰の線などは、流石に年季が入った今なら想像でもある程度まともなものが描けるけれど、考えているとおりのポーズを取った人物写真があれば描き易さは格段に違う。今後は遠慮せずに、気になったカタログや写真集は購入するなりかっさらうなりしておこう。特に水着の女の子とか……決して自己正当化ではない、と思う。

 本日はプレMYSCON2開催日である。起床後、11時半頃までだらだらと過ごし、そののち渋谷へ向かう。迷った場合を考えて早めに出立したが、割と速やかに到着。場所を確認したあと、隣にある楽器店で時間を潰す……うう、見るとDTM機材を揃えたくなる。MIDIキーボードー、HDレコーディングー。
 12時40分頃に会場に上がる。まだ人はぱらぱら。間もなくやって来た近田鳶迩さんにご挨拶したり、フクさんに以前譲っていただいた本の代金をお渡ししたり。三々五々参加者が集い、1時20分頃開幕。挨拶を経て全体企画は「題未定」――という正式題のイベント。提示された30枚弱の写真(恐らくデジカメで撮影した映像をプリンターで刷ったもの)から、使用を義務づけられた3枚に適宜写真を添えて、班ごとに自由にお話を捏造するというもの。面白い企画なのだが、如何せん私のように凝り性な面がある人間には製作時間が短すぎた。班内で自己紹介を済ましたあとあれこれ協議するもいまいち纏まらない。ロエ蔵さんの鶴の一声で何故かメルカトル鮎ものになり、気付くと私がたかはしさんのサポートを得て発表していた。タイミングを間違えてネタの面白さを活かせなかったのが遺憾。他の方のネタの詳細は、公式レポートに譲る。というか纏めたりするのに必死でうろ覚えです。
 次の企画開始までの休憩時間、所用を済ませたり挨拶したり。政宗九さん葉山響さん(リンクは謎宮会)、直接お会いするのは初めての漂泊旦那さん、……えーと、他にもご挨拶したりした記憶がありますがかなり曖昧。
 次は並行で二つの企画。会議室前方で三部構成の「最高の探偵対決」、後方で一部が「賞を語る」、二部が「ボケましょう in MYSCON」。最初は市川憂人さんが推薦者として第一部に参加するというので、「最高の探偵対決」を拝見する。蔓葉さんが笠井潔作品の矢吹駆、内藤さんが麻耶雄嵩作品のメルカトル鮎、で市川さんが西澤保彦作品の匠千暁シリーズを、それぞれの思い込みで推薦するといった格好。それぞれの論理もさることながら、一応「新本格」という枠に括られながら三つの探偵役たちの性格付けも方法論も全く異なり、そのくせ何れもクイーン後期問題と呼ばれる、探偵役の孕むジレンマにそれぞれの解答を示している、という点で一致していることなどか浮き彫りになり、なかなか興味深かった。
 その後、「ボケましょう」を見ようかと思ったら後方ではまだ「賞を語る」が続いており、折角なので後半ながら拝聴する。しょーじさん・たかはしさん・葉山さんが英国推理作家協会賞(CWA)にオール讀物推理小説新人賞、小説推理新人賞について語るというもの。私が席に着いた段階でまだCWAの話が続いているが、この辺は前後関係を把握していないので皆目理解できず。その後日本発の二つの新人賞に話題はシフトし、葉山さんが博覧強記ぶりを発揮された。
 慌ただしく「賞を語る」が終了のち、更に慌ただしく「ボケましょう in MYSCON」が始まる。松本楽志さんおがわさんINOさん・蔓葉さんがGAKUさんの司会で、自作と公募のボケを飛ばしまくる。この辺はただ笑っていただけなので詳細は記憶してません。取り敢えず自分のボケが採用されなくて良かった。
 17時過ぎ頃、プレMYSCON2はひとまず終了。些か慌ただしかったが、前回・前々回と較べれば大分流れは整ってきた印象がある。そのままぱらぱらと、帰宅する方は駅へ向かい、他の参加者は宴会会場へ。私はセンター街周辺を適当に裏へ裏へと練り歩いて、どう考えても遠回りしつつ宴会場到着。ここでは取り損ねた昼食分の食物を摂取しつつ、市川憂人さん・えんじさん・おがわさんとだらだら会話。この辺から酒を入れつつだったので、細かい部分は失念。やって来た政宗さんにロバート・J・ソウヤーのお薦めを窺ったり(……ってタイトルうろ覚えだー!)、葉山さんに脅し(?)をかけられたり(ちゃんと書かせていただきますー)する。
 19時半頃、宴会も終了、またばらばらと退出しつつ、二次会(……三次会か?)参加者は外で適宜合流するかたちとなる。このとき、同じケーブルネット内にサイトを開設されているMasamiさんと初めてご挨拶。一旦表に出たものの、結局かなりの人数で同じビルの最上階へぞろぞろと向かう。入ったのはやたら照明の暗い無国籍風居酒屋。ここでも何故か市川さんとおがわさんと固まって延々昨今のミステリ談義を繰り返していた。
 そんなこんなで、11時ちょっと前にラスト・オーダーの飲み物を片づけたのを潮に、私はお暇させていただく。混み合う山手線に揺られてよたよたと帰宅。都合10時間、見事にミステリずくめの一日であったとさ。

 ――以上、その日のうちに早足で流れを振り返ってみました。疲れで朦朧とした頭で記しているためどなたが何処に参加されていてどなたとどんな会話をしていたのか相前後していたり勘違いしていたりそれ以前に殆ど覚えていなかったりしているかと思いますが御容赦下さい。当事者の方でお気づきの点御座いましたら遠慮なくフォームなどで御指摘下さると大変有り難いです。明日以降、記憶が定かであれば加筆するかも知れませんが――期待しないでください。ともあれ、大変有意義な一日でした。

 留守の間に私宛の荷物が届いていた。というわけで、今日はないと思っていた本日のお買い物
1,『20世紀アリス』(Alicesoft・Windows対応ゲーム・18禁)
 ――ってちょっと待てい。発売日は7日だろうが。ファンクラブ通販利用のため早めに着くことにはなっていたが、それにしたって4日指定である。何故今日届いているのだ。……まあ、私は一向に構わないのだけど。しかし流石に今夜は疲労困憊で遊ぶ気にならず、梱包を解いて特典とソフトの巨大な箱、それに一緒に購入したカレンダーがちゃんと収まっているのだけを確認して脇に寄せる。


2000年12月3日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001201~.htm#Day03

 この一週間のイベント過多で疲労気味。最近毎週日曜日は怠惰で終始しているが、今日は頓にだれていた。……それでも本は買いに行くんだなこれが。

 本日のお買い物
1,秋山瑞人『猫の地球儀 焔の章』
2,秋山瑞人『猫の地球儀 その2 幽の章』(以上、メディアワークス・電撃文庫)
3,ロバート・J・ソウヤー『ゴールデン・フリース』
4,ロバート・J・ソウヤー『さよならダイノサウルス』(以上、ハヤカワ文庫SF)

 いずれも昨日のプレMYSCON2で推薦していただいたもの。買いましたぜー市川憂人さん政宗九さん。早めに読まなくては……はいいのだが、何故MYSCONで薦められたのが何れもSFなのかが不思議。それにしても、妙に椎名優づいている気がするのですが気のせい?

 何もしないのは拙いかと思い、リンクページの新調に軽く着手するつもりが没頭してしまい、CG作家・イラストレーター・デザイナー・漫画家の頁が大体完成してしまったので、折角なので中途ではあるがひとまずアップしました。書斎のとき同様、じわじわと追加していきます。また、日記で言及したサイトも可能な限りそのまま収録する予定。今後無許可リンクが多発しますが、問題がありましたらご一報下さい。ジャンルごとに整頓するのは結構頭脳労働だったりする……


2000年12月4日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001201~.htm#Day04

 小鷹信光『新・探偵物語』(幻冬舎)読了。途中ではいまいちな印象だったが、いざ読み終えると好転。いいぞ。でも出来れば続編を出してくれ。そしてロスマク・チャンドラーばりの私立探偵小説を!

 本日のお買い物
1,丹沢 恵『アシタのアタシ(1)』
2,水城まさひと『エン女医あきら先生(3)』(以上、芳文社・まんがタイムコミックス)
3,菅 浩江『<柊の僧兵>記』(徳間書店・デュアル文庫)
4,『精神科がおかしい』(宝島社・別冊宝島Real#005)
5,岩井志麻子『岡山女』(角川書店)
6,柄刀 一『マスグレイヴ館の島』(原書房)

 3は一度は買うのを止めたのだが、緒方剛志氏のイラストを見て再度惹かれ、結局は購入してしまった。
 4は衝動買い、資料目的。5は予定通りの買い物だが、行き付けの書店に入荷が送れたのである。
 6は、実は買うかどうか悩んで一度は予定表から抜いたもの。何故あるかというと、bk1の買い物かごに、いつか買おうと思っていた資料や小説が溜まりつつあったので、そろそろ纏めて買おうかと思ったところ、そこそこの金額だが送料無料にはならないようなので、興味があるついでに追加してしまったのであった。尤も、柄刀氏はデビューの遙か前から存在を認知し期待していた方なので、何れ買うだろうとは思っていたけれど。……なら何故積読にしてるねんとか突っ込まないでね。

 帰宅後着いていた郵便に少々落胆。色々な意味で。

 夕食直後、Gatewayの方からの電話を受ける。プレMYSCON2前夜にこちらから問い合わせた件について、改めて連絡をしてきたのである。話を聞くにつけ、やはりサポートシステムの不備を感じたが、こうしてきっちりと事情の再確認と訂正・改善の努力をしようという姿勢を見せてくれるのは評価に値する。少なくとも、他の大抵のPC企業と較べて遙かにまともな対応であるのは間違いない。

 ここで初めて貼ったリンクは全てリンクページに収録する、というルールを自分に課した途端に、一日で四つ増加。今までも張ってあったのが単にリニューアル版に掲載されていなかった、というのもあるのだが。どちらにしても、このシステム当分は苦労させられそうではある。


2000年12月5日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001201~.htm#Day05

 毎回ちゃんと見ているというのも我ながらどうかと思うが、またしても『笑っていいとも』の話題である。
 現在、火曜日のオープニングコーナーで、出演者に小学校の入学試験問題を出すという企画を行っている。対象が幼稚園児だから計算問題や書取をさせるわけではなく、いわばなぞなぞの延長上の問題を出す訳なのだが、これが見ていてどうにも不愉快にさせる。今日付けの放送で確か三回目になるはずで、前の二回もかなり悪質だったが、今回のものが一番酷い代物なのでこれを例に取って説明したい。
 問題は、時間を区切って(番組では二秒間ほど)四枚のイラストを見せ、その中から仲間外れを選ぶというものだった。例題含めて都合四つ出題されたが、その中に「すずめ」「にわとり」「たか」「からす」が項目として提示されるものがあった。実際はイラスト、しかも白黒であったことをお断りしておく。
 名前だけ出されたなら、多分かなりの方が「にわとり」を選択すると思われる。実際これが正解で、理由は「唯一飛べないから」。これによって何が解るかと言うと、その子供に柔軟性があるかないか、なのだそうだ。
 かなり歪んだテストというほかない。この解答には、「にわとり」が「飛べない」という「常識」或いは「先入観」が必要となる。一般にこの両者にばかり囚われた思考をする人間を「頭が固い」と言うのではなかろうか。ここで提示されたイラストは、「からす」を除いた何れも黒の線のみで描かれ着色されていないことからすれば、「からす」と応えるのもまた正解であるだろう。まして、実際に「にわとり」が飛ばないというのは偏った思い込みに過ぎない。普通の鳥のように長時間の滞空は不可能にしても、多くのにわとりは跳躍できるし、著しいものだと屋根ぐらいなら飛び越えることが出来るのだ。もし出題された子供がそれを知っていて悩み、別の回答を出したとしたら、それもまた柔軟性がないとして省かれるのだろうか? 寧ろ、ここで私達が思いもかけないような回答を思いつく子供の方が遙かに柔軟性に富んでいると言うべきではないのか?
 本気で柔軟性を問いたいのであれば、取捨選択した動機から子供に尋ね、その如何で判断するのがあるべき姿勢だろう。はなから正解を一つしか用意していない問題こそがそもそも柔軟性を著しく欠いている。
 今回のケースが一番重傷だったため今日敢えて取り上げてみたが、第一回も第二回も似たり寄ったりで、正直こんな問題で選ばれる子供が気の毒に思えたし、ましてこの先にあるものが「一流」小学校であるなどとは信じがたい。恐らく一流小学校とやらが欲しがっているのは、柔軟性に富み想像力溢れる将来の英才ではなく、度しやすく御しやすく自己主張のない、低レベルのお役人なのだろう。
 ついでに言うと、こういう問題が通用するのは所詮洒落混じりのバラエティー番組の中でのみでしかない。洒落を理解している大人達が見てその愚かさ加減を楽しむ分には無害だが、これから知識や知恵、感情を育んでいく子供達がこれを鵜呑みにしてしまったなら――そう思うと空恐ろしくなる。某番組の某コーナーなどよりずーっと有害じゃありませんか? って暫く前に出したのと同じ結論になってしまったが。大人を自称する連中の小賢しい知恵がなんぼのもんじゃい、だ。

 本日のお買い物
1,恩田 陸『上と外 3 神々と死者の迷宮(上)』(幻冬舎文庫)
2,山口美由紀『ひとゆり峠』
3,筑波さくら『目隠しの国(3)』(以上、白泉社・花とゆめコミックス)
4,円山夢久『リングテイル(3) グードゥー狩り』(メディアワークス・電撃文庫)
5,高田裕三『3×3EYES(35)』(講談社・ヤンマガKC)

 2は珍しく『ララ』系列での発売。一読して宮部みゆき風渡世人もの、と思ってしまった。少女漫画としてはダーティだが、出来はいい。5は……好きなんだが、もういい加減終わってくれないだろうか。見ていて辛いのです。

 未鑑賞DVD消化キャンペーン。『スリーピー・ホロウ コレクターズ・エディション』(Pony CanyonHERALD)を帰宅したあとから食事までの間に観る。古典を原作に採用しているだけにホラーとしてはオーソドックスだが、オーソドックスなだけに映像の美しさが利いている。ヒーロー・ヒロイン・協力者、戦い・逡巡・意外な真相・ハッピーエンドという冒険物語の定石を踏まえているが故の安心感も相俟って、肩の凝りも感じさせず気楽に観られる作品。スーパーナチュラルを扱っているにも関わらず展開が整然としており、幻想的で何処か物憂い映像に独特の美学が感じられるのもいい。賞には無縁でも愛されて残り続けそうな気がする。公開当時の評価の高さも宜なるかな。しかし何度見てもクリスティーナ・リッチって童顔だと思う。


2000年12月6日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001201~.htm#Day06

 ちまちまちまちまと仕事が入って他の作業している時間殆どなし。そういうときは読書を進めるに限る――というわけで倉阪鬼一郎『首のない鳥』(祥伝社・NON NOVEL)読了。今回は前半でいまいち引っ張られるものを感じなかったため、いつもより読み終えるのに時間がかかった。エンディングで何となくにやにやしてしまう自分もどうかと思う。

 本日のお買い物
1,網野善彦『蒙古襲来 転換する社会』(小学館文庫)
 だけ、だが高い。文庫で本体1000円だとう。資料用途の意味合いが強い買い物だが、この著者の本だからこそ購入予定に組み入れていたこともあって、やや忸怩なものを感じないではないが黙って買う。
『ダ・ヴィンチ』最新号でBook of The Yearなるランキング企画の結果発表が行われた。ミステリー・ホラー・SF部門の一位は京極夏彦『百鬼徒然袋―雨』、二位トマス・ハリス『ハンニバル』、三位岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』。読者投票という性格上、作品そのものの出来よりも売り上げとのバランスが大いに影響してしまうのは仕方がないにしても、やはり一般的な読者層とマニアとの間にある評価の差違を痛感する。

 鈴木その子氏急逝、死因は肺炎。医療が発達した現在でも肺炎は決して侮れない病だが、弱いのは体力・身体機能面に問題があったか長年何らかの無理を重ねていたかの何れかであるケースが殆どだったはず。活動内容の全てを評価する気は更々ないが、いい人であるのは間違いないと思う。心から冥福を祈りたい。それはそうと、公式サイトの存在をYahooニュースで初めて知ったのだった……流石に今日は重い。
 松田聖子はどうでもいいです。実は旦那の方が百枚ぐらい上手だったのでは、という推測が成り立つのは非常に興味深いが。

 結局来週も飲み会があるらしいのだが、予算は大丈夫か私。


2000年12月7日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001201~.htm#Day07

 本日のお買い物
1,石崎幸二『日曜日の沈黙』
2,辻 真先『デッドディテクティブ』
3,中島 望『牙の領域 フルコンタクト・ゲーム』
4,西澤保彦『転・送・密・室 神麻嗣子の超能力事件簿』(以上、講談社ノベルス)
5,田中芳樹『創竜伝11 銀月王伝奇』(講談社文庫)
6,栗本 薫『魔の聖域 グイン・サーガ76』(ハヤカワ文庫JA)
7,『TRICK vol.1〜vol.5』(テレビ朝日/Pioneer LDC・DVD Video)

 講談社ノベルスにはいつか還元して貰わなきゃいかんと思う今日この頃。1はメフィスト賞最新作。4だけでも最優先で読みたいところ。しかし、『<擬態>密室』はざっと読むだけでも苦笑を禁じ得ない。やっぱり水玉螢之丞氏のところに写真でも渡っているとしか思えないぞ。
 今月の大物の一つである7を買うために秋葉原まで。今日も今日とて校正待ちのため職場を出るのがいつもより遅めとなり、後ろを走るバイクが無灯火なのを気にしつつ向かう。これ自体は予約済みだったので問題なく購入した。ついでに、このところ頭の中で鳴り続けているジャズスタンダードの名曲『Giant Steps』のオリジナルが聴きたくなったので、下の階にて探す。作曲者も第一号の演奏者もジョン・コルトレーン、アルバムタイトルもそのものズバリ『Giant Steps』なので、探すのは難しくない。しかし店頭に並んでいる気配がないので、レジで注文すると、店員は随分調べた挙句「限定版のため、確実に取り寄せられるか解りません」。嘘だろ、と思いつつ店の別の場所にある端末で一緒に確認する……確かに、未発表テイク収録のものとそうでないものの二つがデータベースに登録されているが、どちらも限定版。駄目で元々で、未発表テイク収録のものを優先して探して貰うことにした。更に、今月のハイライトであるパット・メセニー最新作『Trio 99→00 Live』もその場で予約。意外にも発売は来週の今頃。楽しみだー! このトリオによる『Question and Answer』も収めた超強力盤だー!!
 更に日本アーティスト作品の置いてあるフロアで二枚ほど捜索。双方ともコーナーは設けてあるものの、肝心の欲しいアルバムが見つからないためそのまま撤退。既に一枚注文しているのと、タイトルを漠然としか記憶していなかったため(見れば思い出すのだが)、レジに向かうのが躊躇われたのである。
 で、帰宅してこれをしたためつつ、何か忘れていると思い……今気付いた。THE ALFEEのニューシングル買うの忘れてた。

 ――はさておき、7のvol.1に手をつける。久々に見る第一話は、記憶にあるよりずっと大人しい出来だった。既に生瀬勝久は完成されていたが。ストーリー自体も全体を理解した上で見るとかなり破綻を来していることにも気づき、一度に見るのは初心者には気の毒かも知れない、と感じた。あくまで登場人物らの珍妙な駆け引きと独特のアクのあるシナリオ、拘りのある映像などを楽しむドラマであると改めて認識する。しかし一度見た方でも本放送の時に全部標準で録画済みだという方でも、この充実のおまけがあるが故に買う価値は充分にある、と申し添えておこう。ドラマ開始以前に放映されたCM、親子編最後の台詞が大好きだ。何故そんな単語を知っているんだこのガキは。
 さて、今度は20日に『踊る大捜査線』が待っているのだな……


2000年12月8日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001201~.htm#Day08

 今日買う予定のゲームがまたぞろ延期しやがったので暇。仕方ないので、昔のゲームの未攻略キャラを片づける。……その前にやることあるだろうが、設定作ったり部屋片づけたり年賀状書いたり来年執筆予定の小説のプロット作ったり……あ、眩暈が。

 本日のお買い物
1,貴志祐介『天使の囀り』(角川書店・角川ホラー文庫)
2,原 ォ『さらば長き眠り』(早川書房・ハヤカワ文庫JA)

 ……両方とも親本持ってる……。2が沢崎シリーズ第一期完結作品とは初耳だ。確かに、本書で一つの区切りがついたのは事実なのだが。因みに2の親本刊行は1995年。この時も5年振りの刊行と言い、更に五年を隔てた現在まで続編の刊行はない。愛読者は黙って待ちますがね。

 ほさかなおき、って保尚輝だと思いこんでいたのだが、ここで確認したところ保が正しいらしい。しかし検索すると保でもちゃんとピックアップされる。どうやら『踊る大捜査線』頃は間違いなく保を名乗っていたのが、いつの間にか改名したような気配がある……覚えて貰えなかったからか? 解らん。
 ……日記で言及したサイト全てをリンクするのは考え物かもな。

 昨日の段階で20000カウントを越えましたが、敢えて何も申し上げませんでした。自分で20001を踏んで悶絶したのと、ここまで来たら50000とか100000に達するまでは平静でいようかなと。……それまで続ける気か。感謝の言葉もそれまで保留とさせていただきますことを御了承下さい。


2000年12月9日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001201~.htm#Day09

 休日だというのにいつも通りの時間に起床し、従姉と待ち合わせ(例によって遅刻……早朝出勤だろうとこの娘はそうなのだ)電車に乗って有楽町まで映画を見に行く。同じビルで『ダイナソー』や『世にも奇妙な物語』がかかっているが、それらを無視して『ホワット・ライズ・ビニーズ』(20世紀FOX配給)である。更に親類とその友人も現地で合流して鑑賞。
 舞台はヴァーモント州、湖の畔に建つ、最近改築を終えたばかりの瀟洒な邸宅。遺伝子研究の博士ノーマン・スペンサーとその妻クレアが、娘のケイトリンを寄宿舎に送ったときから物語は動き始める。夫婦水入らずを満喫しようとした二人だったが、クレアは塀越しに、最近越してきたばかりの心理学者の妻が酷く怯えている様を目の当たりにして、隣の家の動静を見守るようになる。雨の降りしきる深夜、車のトランクに荷物を積めて何処かへ走り去った心理学者、その後クレアが日中訪れても妻の気配はない。不審を募らせるクレアは、ノーマンの帰りを待つ家中で奇妙な出来事に遭遇するようになった。気付くと開いている玄関、突然かかるステレオ、誰のものとも知れない囁き、いつの間にか湯に満たされるバスタブと、そこに映る女の顔。超常現象を頑なに信じようとしないノーマンはクレアをカウンセラーに委ねるが、それでも異常は収まらない。そして、ある出来事を契機に、一連の怪奇現象は異なった意味を帯びてクレアに迫り始める――
 非常に作り込まれたスリラー。血は殆ど流れない代わり、微妙なカメラワークや間で恐怖感を煽り、最後まで異常な緊張感を保つ。シナリオも小物から大仕掛けなものに至るまで様々な伏線が熟考して鏤められており、その無駄のなさに見終わった瞬間溜息が出る。――が、溜息が出るのは出来の良さ故のみではない。すんごい疲れる。最後まで何かしらこちらを怯えさせる演出が盛り込まれ、見ている方も緊張が続きすぎて段々心臓が痛くなってくる。極めて巧妙に伏線が張り巡らされているが故に、真相もかなり早くに察せられるのだけれど、そのあとにも幾度も幾度も演出面での驚きが添えられていて結局エンドロールが流れるまで気が抜けない。結果、見終わったときの気力・体力の消耗は、物語的な面で休むところのなかった『ホワイトアウト』以上だった。
 広告などで「結末は誰にも明かさないでください」といった趣旨の警告がなされているが、実際結末自体に意外性はない。あまりに丁寧に作られているが故に半分も見れば察しがつくし、最後の展開もすれた視聴者なら予測できるだろう。演出も絶妙だが、終盤になると「ここではたぶんこう来るだろう」と想像できてしまうため、その作り込みに反して些か安易ではないか、という気分にもさせられた。だが、流血描写を殆ど用いず、基本的なシチュエーションと細やかな表現でヒッチコック的なサスペンスを現代に再現した精神と手腕は大いに評価できる。最新の技法を地味に、繊細に応用してみせる辺りもいい。
 ――が、親父には不評。兎に角作りすぎで見ていて疲れる。ハリソン・フォードの新境地だが、マイナスイメージに繋がるのではという言い方もした。同感。恐らくスーパーナチュラルを扱った映画として『シックス・センス』はかなり意識していた筈だが、あちらは見終わったあとすぐにもう一度・二度と見たいという気分にさせるのに対し、こちらは一度見たら例え「面白い」と思っても当分御免被りたい、という気分にさせる点で異なり、多分損をしている。ハリソンのイメージについては、寧ろ今後の活動を睨んでこのキャスティングを承諾した、という考え方も出来るように思うが、取り敢えず静観。
 ともあれ、些か見る人間を選ぶ作りであり、また体力的に不安のある状態では入場を避けるのが懸命な作品だろう。ホラーの創作に携わる人間なら一見の価値有り、とそれだけは断言する。

 銀座で食事を採ったあと、親類と別れ、沖縄物産展に向かう両親及び従姉とも別れ、私は帰路の電車を途中下車して秋葉原へ。約二時間渡り歩き、CD一枚とCD・DVD収納用の折り畳みコンテナを二つ買って帰る。やはり休祝日の秋葉原は電車で来るべきところではないと痛感する……出入口が狭すぎるんだよっ。いい運動にはなった。……映画も含めて。

 本日のお買い物
1,ルシアン・ネイハム『シャドー81[改版]』(新潮文庫)
2,Quincy Jones『Back On The Block』(wea japan・HOT PRICE 1800・CD)

 1は、これ一作で夭折したネイハムの著作の改版。旧版で読んでいるがどの辺が変わったのかに興味が湧いてbk1で注文した。見たところ、解説に著者の死に関する記述が追加されただけのようだが、まあ別に良し。名作だからダブっていてもいいの。
 2は、1988年に発売された伝説の名盤。発売当時、収録曲のマキシシングル(当時はこういう呼び方をしていなかったと思うが)を購入し聴いた覚えはあるのだがあまり理解できないまま忘れてしまったように思う。最近、マイルス・デイビス絡みで名前が挙がったので、一枚手頃なCDが欲しいと思い彷徨っていたこのタイミングに購入してみた。……ある程度あちらのミュージック・シーンが理解できるようになって初めて解る凄まじさである。先述のマイルスに、ジャズフィールドからはサラ・ヴォーン(vo)、エラ・フィッツジェラルド(vo)、ジョー・ザヴィヌル(key・アルバムでは作曲・シンセプログラミングで参加)、ジョージ・ベンソン(g)、ソウル・ロック畑からもレイ・チャールズにチャカ・カーン、スティーヴ・ルカサー(g)といった綺羅星が名前を連ねている。或いは題名だけで何となく曲を思い浮かべられるという方も多いであろう「I'll Be Good To You」に、発売当時あまりのアダルトさに眩暈がした(今聴くとさほどでもなかった流石に)「Secret Garden」、クインシーによって見出されたばかりの12歳(!)のヴォーカル・テヴィン・キャンベルをフィーチャーした「Tomorrow」など佳曲揃い。この年代に完璧に近いヒップ・ホップを導入していることも瞠目する。マイルスらジャズ界のヒーローを集結させた「Birdland」に象徴される過去、当時、そして現在のブラック・ミュージック・シーンすら既に包括してしまっているアルバム。……正直に言おう、今日本にいるR&Bシンガーのアルバムを複数買うよりこれ一枚買った方が、多分収穫は多い。


2000年12月10日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001201~.htm#Day10

 昼飯は行き付けの蕎麦屋で、と数日前から心に決めていたのに雨が降り始める。だが、この程度なら止むだろうと強引に出発したところ、案の定間もなく青空が見え始めた。世の中何とかなるものである。ちゃんちゃん。他には何をしていたか? ……あとで記す。

 本日のお買い物
1,ジョン・ディクスン・カー『震えない男』(早川書房・ハヤカワポケットミステリ525)
2,『コミックマーケット59カタログ』(コミケット)
3,谷川史子『魔法を信じるかい?(1)』(集英社・りぼんマスコットコミックスCookie)

 1は最近頻繁なbk1での購入商品。近場でも買えるのだが点数稼ぎに拾ってしまった。3は、谷川作品初の数字付き単行本である。大丈夫か? と関係者も思ったのか、短篇一本併載。
 今回はチェックするところが多そうだったので、早めに2を購入。まず必須の某秘密組織二箇所と、あるイラストレーターの方のサークルを探索……発見。しかもカットにHPのアドレスが載っていた、のでアクセスしてみるも……繋がりません。何故なら、アドレスの中にある大文字が一つ小文字で記載されていたから。問題のサークルはこちら。……で、ここからはもう私の仕事じゃないよな。

『笑う犬の冒険』(フジテレビ系)に森山周一郎が出ていて、それだけで笑った。しかも葉っぱ隊だよりによって。この番組はなんの断りもなく結構豪華なゲストを使っていたりするので好きだ。


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もっと本を読みたいよう。

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